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2005.12.31

革命的税制改革

中国の新聞(人民網)を見ていたら、全人代常務委員会が農業税を2006年1月1日より撤廃することを決定した、という記事がありました。農業税条例は1958年の全人代で定められたもので(下に挙げる記事によれば、2000年の税率で年間18キロの穀物の納入)、2004年から農業優遇策として減免が実施されてきたが、今回は行政措置ではなく立法措置として撤廃が行なわれるとされています。都市と農村との経済的な不均衡を是正するために行なわれるのでしょうね。

人民網英語版の記事は、もっと話が雄大で、そもそも農民への課税は春秋戦国時代に始められたもので、2,600年の歴史に終止符が打たれる、とされています。すげー。まさに「革命的」な出来事のように思われます。

私、共産主義のことを詳しく知らないので、封建領主-農奴の体制と変わることなく、商品取引を伴わなくても(剰余価値を生み出さなくても)、単に農業に従事しているというだけで課税されていた(これからも商売をすれば課税されると書いてあるので、今までは商売をしなくても課税されていたということだと理解しています)ということが驚きであったのですが、そんなものなんでしょうか。うーむ、そもそも、賃金労働者(プロレタリアート)と(自営の)農業従事者の間に厳密な線引きがあるということに納得できていないのかも。

補記:一々記す必要はないのかもしれませんが、念のため書いておきます。私のブログのコメントやトラックバックは、中国(にしろ、他のどんな国にしろ)を攻撃したり嘲笑したりする場ではありません。失礼な書き方のものは言語道断。一見まじめな議論を装っていても、主な意図が国家主義的、民族主義的な主張の伝播にあると私が判断するものは、消去も厭いません。

2005年 12月 31日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2005.12.30

タマサート大学にて

今回の旅行で私が一番行きたかったタマサート(Thammasat)大学です。運動場を僧侶が一人、苦行のように何周も何周も歩いていました。

1976年10月6日の朝、この運動場で、武装した右翼反動勢力によって多数の学生が虐殺されました。学生たちは1973年の民主化運動で失脚し亡命したタノム(Thanom Kittikachorn)元首相が秘かに帰国したことに抗議して大規模な集会を開いていました。"Hok Tulaa" と呼ばれるこの虐殺の犠牲者は百人以上に上ったと言われています。この日の夜、軍事クーデターが起こり、タイの民主化は冬の時代を迎えます。

上の写真は、構内地図の(12)のあたりから(17)を背景に(19)を見たものです。ちなみに市街図にあてはめると、左がチャオプラヤー川岸、下が学生街、右がサナームルアン公園、上が国立博物館です。事件当時の地図らしきものもありますが、タイ語なので残念ながら読めません。

地図の(16)の上に、タマサート大学の歴史をたどる記念碑群があります。ホック・トゥラーの記念碑には、学長を務めた Puey Ungphakorn さんの「最も残念なのは、若者たちが第三の選択肢を失ってしまったことだ。もし政府に与することができなければ、逃げなければならない。平和的な方法で自由と民主主義をもたらそうとする者たちは、はじめからやり直さねばならなくなってしまった」という言葉が刻まれていました。

記念碑の一つは、今年(2005年)の8月に建てられたもので、タマサート大学が日本の占領下でレジスタンスの拠点となったことの誇りを語るものでした。総じて日本に好意的だと思われ(靖国神社のサイトに、後に首相となる右翼の大物 Kukrit Pramoj が日本の戦争を高く評価した言葉が紹介されています)、1930年代後半から1940年代前半において非常に微妙な立場をとったタイ(日本軍の進駐を許容し、米英に対して宣戦布告をしました)においても、やっぱり日本の帝国主義的侵略に抗したことが誇るべきこととして語られるのだと考えると、かなり複雑な気持ちがしました。

遠い子どものころの記憶を呼び返すと、1970年代の半ばには、貿易摩擦が原因でバンコクで大きな反日デモが繰り広げられていました(同級生の父親が味の素のバンコク駐在員だったので、印象に残っています)。昨日書いたように、今、タイでは日本がとても好意をもって見られているようなのですが、反日感情とか親日感情って、遠い過去の記憶が根源的な原因なのではなくて、その時々の日本の政府や社会の姿勢を反映しているんじゃないかな、と思いました。その意味で、今、関係の冷え切っている中国や韓国に対しても、排外的な世論や自民党・公明党政権の反動的な姿勢を批判し、市民のレベルでの親善を諦めてはいけないのだと思いました。

1932年から1991年までのタイの政治に関するかなり詳しい年表(英語)を見つけました。

そういえば、民主記念塔とカオサン通りの間に1973年10月13日の民主化運動の記念碑のようなものがありました。私の持っているガイドブックにはどれにも出ていないのですけれど。

2005年 12月 30日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.29

タイでは日本が大人気

9月の終わり以来、ペットボトル飲料を買うのを全くやめてしまった(毎日、ペットボトルにお茶を入れて仕事に持って行っています)のですが、もともと私って“B級飲料”が好きじゃないですかー。ちょっと辛いな、みたいな日々でした。

タイの水道水は飲用には適さないということで、旅行中はミネラルウォーターやら見たことのない飲み物(緑茶系がブームみたいです)やら、買って飲んでいました。水はガラス瓶とペットボトルのがあって、ガラス瓶は再利用されるのだそうですが、それ以外のものはみんなペットボトルだったので、今後、水筒代わりに使おうと、洗って持って帰ってきました。ご覧ください。

写真は左から、お茶+グレープフルーツ+ぶどうの種風味の「とぜん」(右上のほうにひらがなが書いてあるのですが見えるでしょうか)、ザクロ味の緑茶 "Zenya" (裏側に「緑茶石榴」と小さく書かれています)、チェリー風味の「アミノウォータ」(amino の下に小さいカタカナが)、富士山と茶摘み娘の絵が和風な「白い茶」です。日本で Tozen のボトルを持ち歩くのには、ちょっと勇気が要るかも。

この他にも日本語が書いてあるペットボトルがたくさんありましたし、チョコレートなどのお菓子も日本からの輸入品や日本語の名前がついているものが売られていました。本屋には日本のものを訳したのかなあと思われる(詳しくないので、間違っているかもしれません)コミック本とかを多く見かけました。

地下鉄の駅で配っていた無料紙の表紙には "J Fever" の文字とともに "Gothic & Lolita" ファッションの紹介が。スキャンしたら、ちょっと分かりにくくなってしまいましたが、メイドさんのような黒い服を着た女の子が、なぜか日本刀を持っています。

このように、タイでは日本の文化が人気みたいです。とてもうれしく思いました。

2005年 12月 29日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.28

投稿テスト中

Performancing for Firefox というブログ投稿用の extension をテストしています。編集画面等では日本語がちゃんと表示されているのですが、投稿に用いる文字コードのオプションがないのが少し心配。

うまくいくようですね。なかなか使いやすいです。書き直しも楽だし。ただし、改行は <br>タグを使うみたいです。今まで使ってきた WB Editor (無料だった最後の版)が <p> タグだったので、<br>はちょっと行儀悪く感じるけど、どうせ短い文章しか書かないし、いいか。

2005年 12月 28日 午後 09:31 | | コメント (0) | トラックバック (1)

象の歩く街

An Elephant on a Bangkok Street

タイのバンコクに行ってきました。ちょうど大津波から一年でしたが、それとは全く関係なく、完全に観光客をしてきました。暖かいし、天気にも恵まれていたし、何と言っても食べ物はおいしいし、ちょっと罪悪感を感じてしまうほど楽しかったです。

バンコクは、都市化がとても進んでいて、あまり“異国情緒”は感じませんでした(たぶん、都市を出ると様変わりするのだと思います)。「仏教国!」という強い先入観があって、たしかにお寺はすばらしい(日本のお寺より遥かに興味深いと思います)のですが、街のいたるところでクリスマスを祝っていました。私は了見が狭くて、信仰の伴わない商業的なクリスマスというのは“日本独特”のものかとも思っていたのですが、篤い仏教徒の国で店員さんや駅員さんがサンタクロースの格好をしているのを見て、とても驚きました。

で、一番“異国情緒”を感じたのが、スクンビット通りという繁華街を歩いていて、象を見た時です。「象だ、象だ」と興奮していてカメラを取り出すのが遅くなってしまい、後ろ姿しか写真に撮れませんでした。ちょっと暗いんですが、見えるでしょうか? サーカスとか動物園で飼われている象の散歩なのかなあ。見慣れているのか、街の人はさほどびっくりしていませんでした。人間の背丈よりちょっと高いぐらいの、まだ子供っぽさの残る象でした。

2005年 12月 28日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.12.23

南氷洋海戦

南氷洋で日本の捕鯨船団と環境団体グリーンピースの間で繰り広げられる攻防の写真集(110枚のうち、20枚ほど)。こういう危険な事態を招来して捕鯨を阻止する代わりに、出漁差し止めの請求とかを司法の場でできないものだろうかと考えてしまいました。

この写真集へのリンクのあったロイター電は、APEC で小泉首相とオーストラリアのハワード首相が会談した際、ハワード首相が日本の捕鯨に対する苦言を呈したことを伝えていますが、そういう話、気が付きました? グーグル・ニュースで調べると、日豪会談については日経読売の記事がひっかかりますが、クジラの話題は出ていません。まあ、中心的な議題ではなかったのでしょうから、仕方ないのかもしれません。

豪 ABC のニュース等は、グリーンピースは日本の捕鯨船が来たる24日にオーストラリアの港で給油するのを阻止する構えだと伝えています。あまり危険なことにならないといいなぁ。

クジラの問題は、なぜか必要以上に感情的に論じられることが多い気がします。私は、生物の多様性の保全はとても重要なことだと思うので、捕鯨のモラトリアムに賛成しています。日本が現在行なっている捕鯨を「調査捕鯨」と呼ぶことには、鯨肉が商品として出回っていることから考えて、説得力を感じません。くじらの肉を食べるのが伝統的な文化だという主張については、捕獲が伝統的な手法ではなく近代的な装備で行なわれていることとの不整合による独善性を強く感じてしまいます。

落ち着いた誠実な話し合いで、多くの人が納得できる解決が見つかるといいですね。 

今までに書いた関係のある記事:

では、私、旅に出ます。探さないでください。

2005年 12月 23日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.22

「毛沢東語録」の件、その後

3日前(12月19日)に書いた『毛沢東語録』の件ですが、21日付けの地元紙 Standard-Times に、University of Massachusetts, Dartmouth の声明が掲載されています。事実関係は調査中とのことで、大学は関与を否定しています。声明文からは、学生の主張にあいまいな点があるという印象を受けます。事件の報道自体が撤回される可能性もあるように思います。

私事になりますが、23日から数日間不在になるので、この件について展開があっても、ここで適宜、論じることができません。

情報源が報道を撤回した場合、それを紹介した私も何らかの道義的な責任を感じるべきだと思いますので、そのような場合に備え、あらかじめ、私自身が現時点でこの話の信憑性にいささかの疑問を持っていることを明らかにしておきます。私の疑念は、主に、American Civil Liberties UnionAmerican Library Association などの団体がこの件について声明を発していないことによります。

合州国の愛国者法は、以前にも論じたように、図書館の守秘義務に関して重大な侵害の可能性に道を開いています。ですから私は、今回の“事件”の真偽にかかわらず、自由社会の一員としてそのことを憂慮しますし、有事法制等により日本でも同様な状況が起こりつつあるのではないかと懸念しています。

19日の記事に付けられたコメントにあるように、「疑われても仕方が無い」(図書館利用者の思想傾向等に国家の調査が及んでも構わない、という意味だと思います)と言って憚らない人がこの社会にいることも事実で、そのことは自由で民主的な社会を護っていく上で、大きな不安材料だと私は考えます。

これを機会に、一応、そのコメントに対する私の反応を若干書いておきましょう。「反論になっていない」とご不満の様子ですが、私は反論をしようとなど思っていません。同じような意見は他のところでうんざりするほど読んでいるので、どうか私がお金を払っている場所で、またぞろ、そのような話にお付き合いを強要させられのは御免だよ、と言うのが私の趣旨です。まあ、街を歩いてみると、「犬のおしっこお断り」と書いてある塀のところでも、相変わらず犬に用を足させている人も見かけるので、こんなこと書いても効き目がないのかもしれませんが。

2005年 12月 22日 午前 12:24 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2005.12.21

地下鉄のスト

Metropolitan Transportation Authority の労使交渉がまとまらず、AFL-CIO 傘下の Transport Workers Union of America, Local 100 がストライキに入りました。このため、ニューヨーク市の地下鉄やバスがほぼ全面的に停止しています。MTA の職員はニューヨーク州公務員であるので、州の Taylor 法により、ストライキ権が認められていません。このため、今回のストライキは「違法スト」ということになります。組合員は、ストライキの実施された日数の倍の給料を差し押さえられることになります(New York Daily News の記事より)。

先日、私自身が職場でストライキを経験したことにもよる(その後、非常勤講師と嘱託講師の組合もストライキを行ないました)のかもしれませんが、労働(あるいは民衆)と資本との関係が、さまざまな地で、微妙に動き出したように感じます。日本では、私が子どもだった時に見たいわゆる「スト権スト」以降、主立ったストライキがなりを潜めてきたのですが、その均衡状態が揺らぎ始めたのではないでしょうか。今後2、3年の間に、また激しい労働運動が盛り返してくるような気がします。そうなるかどうかは、私たち労働者自身の手にかかっているわけですが。

もしかして、「資本主義の最高の段階としての帝国主義」とかいうレーニンの言葉は現代(21世紀初頭)を描写している? ちょっと古いか…

写真は Flickr.com で Adam Fields さんが CC by-nc-nd で公開しているものを使わせていただきました。公共交通機関が止まってしまって、道は大渋滞の図。

2005年 12月 21日 午前 12:17 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.20

史上最も偉大なる男が表彰された

ボクシングの元オリンピックチャンピオンかつプロの元ヘビー級世界チャンピオン、モハメド・アリ(Muhammad Ali)が、その生涯にわたる公民権運動や国際平和に関する活動の功績を認められて、ドイツのオットー・ハーン平和賞(Otto-Hahn-Friedensmedaille)を受賞しました。隔年で授与される賞だそうで、過去にはこんな人たちが受賞しています。

生まれた時に付けられた名前(Cassius Clay)は奴隷所有者の一族の名前だとして、その名で呼ばれることを拒んだり、ベトナム戦争の時代に兵役を拒否して世界チャンピオンの称号を剥奪されたり、ザイール(現在のコンゴ民主共和国)キンシャサでの劇的な闘いで王座を奪還したり、文句なしに「すごい奴」ですよね、彼。惚れてます。 "Float like a butterfly, sting like a bee" (蝶のように舞い、蜂のように刺す)は当時、世界的な流行言葉になりましたよね。まあ、アントニオ猪木さんとのやる気のない対決でがっかりさせられることもありましたけど…

引退後はパーキンソン病と闘ってきた彼。その病をおしてアトランタ・オリンピックの聖火点灯者となったのは、もう10年近く前だったのだと気が付きました。ぎこちない動作で聖火を灯すモハメド・アリを見て、目頭が熱くなったのは、昨日のことのようです。私事になりますが、この十年の間に、私の知り合いのパーキンソン病患者が死にました。アリよりも年上だったので、仕方ないのかもしれませんが、ここにもアリの力強さを私は感じてしまいます。

グーグルで調べたところ、日本ではライブドアニュースがAFP/時事電を掲載しています。英語メディアはたくさんありましたが、ちょっと現状肯定的(保守的)な臭いのするサイト HappyNews.com の記事にリンクしてみます。

私の拳は弱いけれど、力の限り握りしめて、Muhammad Ali, the Greatest of All Time にパワー・サリュート!

2005年 12月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.19

ビッグ・ブラザーが図書館にいた

アメリカの大学で政治学の授業のためにタームペーパーを書いている学生が『毛沢東語録』(The Little Red Book)を大学の図書館で借りようと思ったら、その大学には置いていなかったので、他大学から取り寄せることになった。数日後、本を持って彼の家を訪ねてきたのは国土安全保障省の捜査官であった。

という、映画にありそうな話が、本当に起こったようです。大学はマサチューセッツ大学ダートマス校。地元紙 Standard-Times が17日付けで伝えています。捜査官は『毛沢東語録』が要注意リストに掲載されていると学生に語ったとのこと。

図書館の守秘義務とか学問の自由って、現代の市民社会(ないし、工業化の進んだ経済の上になりたつ民主社会)の礎にあるものだと思います。それらをことごとく破壊しようとするブッシュ政権(に限らず日本の自民党政権もそうだと思いますが)って、いったい何を考えているんでしょう。

2005年 12月 19日 午前 12:00 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2005.12.18

チェの死んだ国で歴史が創られる日

今日行なわれるボリビアの大統領選に関する最新の世論調査では、社会主義運動(MAS)のエボ・モラレス(Evo Morales)候補への支持が34.2%で第一位、新自由主義的な経済政策を採るPODEMOS の Jorge "Tuto" Quiroga Ramirez 元大統領が5%差の29.2%で第二位。だれも過半数の票を得られない場合、これら上位二名の間で国会議員による決選投票が行なわれるそうです。三位以下は、Unidad Nacional の Samuel Doria Medina 候補が 8.9%、Movimiento Nacionalista Revolucionario の Michiaki Nagatani 候補が 4.2% で続きます。最終的にモラレス候補が選ばれると考える人が52.1%、キロガ候補が選ばれると考えている人が30.4%です。

同時に行なわれる上院選を地方ごとに見ると、MASはモラレス候補の出身地である高原地帯(Altiplano)を含む中西部の La Paz、Oruro、Cochabamba の三つの地方で優位に立っていますが、富裕な白人層(caras blancas)が多い残りの六地方(Santa Cruz、Tarija、Potosí、Pando、Beni、Chuquisaca)では PODEMOS が優勢です。モラレス候補が大統領となったとしても、議会では少数派となり、豊富な天然資源の国有化などの公約を実施できるかどうか、強く危ぶまれています。

キューバのグランマ紙は、ボリビア陸軍のAntonio Vázquez 将軍が、モラレス候補が大統領になることを認めないと発言したと伝えています。アメリカの勢力圏内でまた一つ、新自由主義経済に抗する政権が誕生することはほぼ確実だと思われますが、その行く手はまさに前途多難なようです。

以前書いた、関連のある記事:

2005年 12月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005.12.17

東北アジア紛争の伏流

North East Asia's Undercurrents of Conflict ― The International Crisis Group という NGO が12月15日付けでまとめた、日本、中国、韓国の間のぎくしゃくした関係に関する報告書です。中国の反日デモ、島根県の「竹島の日」問題、小泉首相の靖国神社参拝、『嫌韓流』本など、今年の動きを詳しく盛り込んだ、かなりバランスのとれた分析が提示されていると思います。読んでいて新しいことが出て来た気がしないので、ある意味つまらないのですが、時が経ち、今年が歴史の中に取り込まれていくのに従って価値が出てくるのかもしれません。今月に入ってからの新聞報道が引用されるなど、この瞬間をとらえようとしている一方で、長期的には間島地方(中国国内の朝鮮族が多く居住する地域)の領有権が問題になるなどとも指摘してあり、賞味期限が分かりにくい報告書でもあります。

尖閣諸島(釣魚島)問題の解決に中国とASEAN諸国の間の申し合わせに範をとることを中国政府に提案したり、日本の過去の謝罪をもっと率直に受け入れるように韓国に求めたりしています。日本政府に対しては、閣僚の歴史認識発言をなんとかしろ等との注文を付けています。

全体的にちょっと日本の反動勢力に甘いかもしれません。12月7日の麻生太郎外務大臣の「過去に韓国や中国をはじめとするアジアの国々で無辜の民を苦しめたことは謙虚な反省の念をもって臨まなくてはならない」という発言を評価していますが、これはどう考えても買いかぶりでしょう。また、韓国で反日意識が下降してきている一方、中国では依然として「日本を許さない」という姿勢が強く、その差を日本人も認識しているとしていますが、実際のところ、どうなのか、私は疑問に思いました。ちなみに、左翼の現状については、社会党の崩壊によって右傾化に対抗する機関的な存在を失ってしまった、と書かれています。

余談。「度を越したナショナリズムは治療法がまだ見つかっていない慢性疾患に喩えられるかもしれない。しかし、もしその病気そのものを治すことができないとしても、炎症のもとを抑える努力をすることはできる」という一節があります。だから、どんなに困難に思われても領土や歴史の問題が悪影響を起こさないように努力すべきである、そうしなければ地域の秩序はよくすることができない、という論なのですが、私はちょうど、右寄りの人の書いたものを見て、つくづく、これは「死んでも治らない」の類だなと思ったところだったので、喩えが妙に生々しく思えて、頷いてしまいました。

もう一点。ドイツのシュレーダー前首相がアウシュビッツ解放60周年に際して、「今生きているドイツ人のほとんどはホロコーストに対して何ら罪を負っていない。しかし、特別な責任は負っているのだ」と述べたことが紹介されていました。なかなか考えさせられる言葉だな、と思いました。

2005年 12月 17日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2005.12.16

ケータイの機種変更でご相談

今使っている携帯電話は3年ほど前に買ったものなのですが、めっきり電池の持ちが悪くなってきたし、人並みに(なぜ、そんなことを気にする?)カメラ付きの機種を持ってみたい気もするし、そろそろ買い換え時かなと考えています。お薦めがありましたら、教えていただけませんでしょうか。

話を読んで、これにしようかなあと考え始めたのがドコモのN701iECOというやつなのですが、どう思われますか(だれに話しかけてるんだ、私)? とうもろこしから作ったバイオプラスチックにケナフの繊維を加えて強化しているのだそうです。製造時の二酸化炭素排出量が従来の機種の約半分だと謳っています(私、そもそもケータイ一台作るとどれくらいCO2が出るのか分からないので、「へー、そうですか」という程度の反応しかできません)。

会社全体の環境や平和、人権などへの取り組みを考えないと、この機種の話だけを聞いて飛びつくのはバカみたいなので、そこらへんの事情に詳しい方からコメントがいただけたら、うれしいです。よろしくお願いします。

どんなユーザかと言うと、あまり多く使う人間ではありません。通話料は繰り越す月もあります。付加機能は、ウェブで新幹線の予約をするぐらいしか使ったことがありません。電子テキストをケータイで読むというのにとても興味がありますが、やったことはありません。眼鏡にはまだ老眼は入っていません。全体的に不器用です。

2005年 12月 16日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.12.15

抗議世貿

The Derailers' Guide to the WTO (Cover Photo)

The Derailers' Guide to the WTOFocus on the Global South という団体が作った、WTO を止めたい人たちのためのガイドブック。全42ページで WTO の問題点をやさしくまとめています。まだ拾い読みしかしていないのですが、略語(NAMA, AoA 等)とかも説明されていたりして、とても為になりそうなので、しっかり読もうと思っているところです。グローバリゼーションが世界にどんな悪弊をもたらすかは、“なんとなく”は分かるのですが、やっぱり、しっかり理解しなくちゃね。苦手なんですが、この分野。

香港で行なわれている閣僚会議に対抗する活動の情報を日本語で紹介しているブログを見つけました。その名も「抗議世貿」。こちらもすごい情報量です。トラックバックを送ろうと思うのだけど、どの記事がいいかなあ。軍事化と新自由主義の関連のことが書いてあるこの記事にしようっと。

2005年 12月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.14

共同通信の記事が伝えなかったこと

共同通信が12月13日朝に配信したイラクにおける世論調査に関する記事は、非常に不公正であり、読者に誤った印象を与えようとする悪意さえ感じてしまいます。

それぞれの通信社や新聞社が自らの良識に従って報道する自由は十全に認められるべきだと思います(だから、抗議の電話等は圧力ととらえられかねませんから控えようと思います)。しかし、私たち一人ひとりがこの記事の妥当性を判断できるような社会であることは重要であり、読者にその判断を委ねるために必要だと考え、(記事の内容が事実関係の概述のみであることから、引用が著作権法に照らしても許容される範囲であると判断し)あえて全文を引用します。

イラク国民、将来に楽観的 現地世論調査
【ロンドン12日共同】 英BBC放送などが調査機関に委託しイラクで実施した世論調査で、回答者の約6割が移行政府の仕事ぶりを評価し、約7割が国の将来を前向きにとらえるなど楽観的な回答が多数を占めたことが12日明らかになった。
BBCによると、調査は今年10月から11月にかけて全土の1711人に面談して実施。移行政府の仕事ぶりが「とても良い」「良い」と答えた人は61%、イラク全体の現状については53%が「悪い」と答えたが、将来は「良くなる」が69%で「悪くなる」の11%を大きく上回った。
しかし、武装勢力の活動が活発な中部地域だけは、将来を悲観する見方が優勢だった。

調査を企画した報道機関の一つはNHKです。そのNHKの記事はすでにネット上では読めなくなっていますが、Google News に残っている記事の見出しは、上記の共同電とは全く異なった印象を私たちに与えます。

イラク 外国部隊に反発強まる
イラクの正式な政府の発足に向けた議会選挙が今月15日に行われるのを前に、NHKなどがイラクで行った世論調査で、アメリカ軍など外国部隊の駐留に反対する人が65%と、去年より ...

BBC のサイトで調査結果の全文を見ることができます。共同電では言及されていない、否定的な回答のめだつ質問項目をいくつか挙げておきます。肯定的な面のみを取り上げた上記共同電と併せてお読みください。あるいは、ぜひとも調査全文をご覧になることをお勧めします。

Q6 - 今日の視点で見て、合州国に率いられた連合軍が2003年の春にイラクを侵攻したのは正しかったと思いますか?

絶対的に正しかった 18.6%
どちらかと言うと正しかった 27.6%
どちらかと言うと間違っていた 17.2%
絶対的に間違っていた 33.1%
むずかしい 3.5%

Q16 - 戦後のイラクの再建に一番貢献したのはだれだと思いますか?

イラク国民 12.3% (1位)
イラク政府 8.9% (2位)
アメリカ 6.3% (3位)
連合軍 1.8% (6位)
欧米以外の国々 0.5% (12位)

Q31 - 戦争以降、合州国や連合軍がイラクで行なった仕事をどう評価しますか?

とてもいい 9.6%
かなりいい 26.6%
かなり悪い 18.8%
とても悪い 39.8%
分からない 2.7%
答えたくない 2.4%

Q32 - 連合軍がイラクにいることを支持しますか?

強く支持する 12.8%
どちらかと言うと支持する 19.4%
どちらかと言うと反対する 20.8%
強く反対する 43.7%
むずかしい 3.4%

リンク集のようなもの:

2005年 12月 14日 午前 12:00 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2005.12.13

歯の生えた女性器

RapeX: Anti-Rape Condom ― 内側にトゲが並んでいる筒をタンポンのように膣内に挿入しておくと、レイプしようとした男性の性器にトゲが刺さるため、女性は自分の身を守ることができる。というレイプ防止のための女性用コンドームの公式サイト(だと名乗っています)。

南アフリカの Sonet Ehlers さんの発明で、夏ぐらいから話題になっていたようですが、私は年末恒例「今年の発明」みたいな記事で初めて知りました。市場に並ぶのは2006年の後半になるらしいです。

上記サイトの写真はアプリケータが付いたままの状態で、体内ではこのロイター電の写真にあるような形状です。

「まるで貞操帯のようで前近代的だ」「むしろ、殺される女性を増やしてしまうのではないか」等、批判も出ているようです。

たしかに、「女性専用車両に乗っていないほうが悪い(痴漢がいることが分かっていながら普通車両に乗るな)」といった倒立した世論が出て来かねないし、見知らぬ男に無理矢理というのだけがレイプじゃないからなあ、と思ったり。

2005年 12月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005.12.12

汕尾

武装警察による発砲で20人近くの住民が死亡したといわれる中国広東省汕尾(Shànwěi) 市の位置を示す地図を作ってみました。上記地図で桃色で示した部分です。テキサス大学 Perry-Castañeda Library で複製自由として公開されているものに彩色しました。

ここの東洲(Dongzhou)というところで、発電所の建設に反対して集まった住民に対し、12月6日夜、催涙弾や威嚇射撃の後、市民に対する発砲が起こったと伝えられています(ニューヨークタイムズ紙9日付け10日付け記事)。当局側発表は、死者は3名で、誤射だったというもの。

尊い人命を軽んじた中国警察当局の姿勢に抗議します。このような人権侵害に対して強く憤りを感じますが、私が日中戦争における数多くの殺害や略奪の反省を怠る歴代の日本政府を民主的に選択してきた日本国民である限り、発言の道義的な説得力が著しく損なわれてしまうことを、とても悔しく思います。

発電所建設による環境破壊、土地の強制収容などの問題が背後にあるようですが、これらは日本の社会も今までに経験してきた事柄です。それらの点で市民の交流ができるといいのですが。

2005年 12月 12日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.12.11

ノー・イングリッシュ・プリーズ。オーケー?

German Town Hopes to Lose English Accent ― Deutsche Welle の記事。ドイツ中部のMühlhausen という都市が、町ぐるみで英語の駆逐に乗り出したという話。ドイツではドイツ語に混じって英語が使われることを "Denglish" と呼ぶのだそうです。日本の「カタカナ語」みたいなものですね、きっと。

町のウェブサイトには、まだ "home" とか "sitemap" とか Denglish らしきものが見られます。先は長そう。英語排斥に取り組んでいるのは Verein Deutsche Sprache e.V. という団体だそうです。サイトはドイツ語なので全然私には読めません。

こういう話は多くの国で話題になっているんでしょうね。いろいろな国の新聞記事とかを集めてみると楽しいかも。何かご存知の方、いらっしゃいましたら、ご一報ください。 

地図はテキサス大学のPerry-Castañeda Library から。Mühlhausen は Kassel と Leipzig の間にあるようです。1990年までは東ドイツの中です。

国立国語研究所の外来語言い換え提案のページにリンク。

2005年 12月 11日 午前 08:45 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.12.10

名古屋はルワンダ

Rwandan paper knifeとても興味深い情報を水曜日に友人が送ってくれました。名古屋の金山駅のすぐ近くにルワンダの人がコーヒーや民芸品の小さな店を出したとのこと。愛知万博に出店したのだが、大量にコーヒー、紅茶の類が売れ残ってしまい、帰るに帰れなくなって困っているという話。

金曜日に私用で名古屋に行ったので、帰りにさっそく寄ってきました。店主の女性はビアトリスさんと言って、カトリックの学校で育ったことや政治的な信条とかが私ととても似ていて、かなり長い間、話し込んでしまいました。裏を返せば、私の他にほとんどだれもお客さんが来なかったということですが。

私は不勉強で知らなかったのですが、ビアトリスさんの話では、現代におけるトゥツィ族、フトゥ族という分類は、混交によって部族の均質化が起こった後になって(第一次大戦でルワンダの宗主国ドイツの敗戦後に委任統治の名の下にルワンダを植民地化した)ベルギー人がかなり恣意的に行なったものだということです。「部族」間の対立感情も、聖職者を含む植民者たちが煽ったという面が大きいと話してくれました。

彼女の店は人々の善意によって支えられているらしく、私がお邪魔している時に、店のウェブサイトを作成している人が店に立ち寄り、そのまま私もご飯をおごってもらってしまいました。なんてちゃっかりしているんだろう、私。ここにも書きたいことをいろいろとビアトリスさんから聞いたのですが、彼女自身がサイトに書いてくれるでしょうから、それを待ちましょう。

上の写真はキリンの模様のペーパーナイフです。素敵でしょう? その他にもコーヒー、紅茶等、買ってきました。まだ家では飲んでいませんが、店で飲んだコーヒー(180円)は、苦みや酸味が弱く、全体的なバランスがとてもいい感じでした。

もし名古屋近辺にお住まいの方がこれをお読みになっていましたら、ぜひ行ってみてください。場所は金山駅北口のアスナル金山の裏通り側です。地下鉄の5番出口を出たら直進、道に出たら左側すぐ。

2005年 12月 10日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.12.09

東ティモールの30年

12月7日がインドネシアによる東ティモール侵略の30周年だったことを、Democracy Now! が教えてくれた。この日の放送では、1991年11月12日のサンタクルス墓地での虐殺(インドネシア軍の発砲により、葬列に加わっていた200人を越す東ティモール人が殺された)のようすが映された(上記リンクから Watch 128k/256k stream をたどってください。東ティモール関係のセグメントは18分過ぎから)。この事件の場に居合わせたインドネシア国外のジャーナリストらが逃げまどう市民の姿を映したものを、はるか昔に私もテレビで見た記憶があるが、その一人が Democracy Now! の Amy Goodman さんだったということを初めて知った。

A Quarter Century of U.S. Support for Occupation in East Timor は、最近、機密扱いが解かれて公開されたインドネシア・東ティモールに関する米英の外交資料集。侵略前から1999年の住民投票直後まで。1993年の在ジャカルタ米国大使館からの報告(書類36)は、インドネシアに併合された東ティモールで、大きなインフラ投資などによっても、残虐な統治に対する不満は収まる気配はなく、市民はただインドネシアに「出て行ってほしい」と考えていると伝えている。侵略、占領、植民地支配、併合などに伴う一般的な問題として、自分とは十分に距離を置いて冷静に読める事例として、「日本による朝鮮半島の統治にはいい面もあった」とか「日本はアメリカと協力してイラクの人道復興支援にあたっており、感謝されている」とか信じている人には、ぜひ一読をお薦めしたい。

2005年 12月 9日 午前 12:00 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2005.12.08

黄金の獅子

ふだん私はさんざん金の採掘に関して批判的なことを書いている(例えば11月21日の記事)のですが、今日は金の効用らしきものについて。

"Lion at Rome zoo is treated for arthritis" というAP電によれば、ローマの動物園にいる高齢のライオンに関節炎の治療として、直径1ミリの24金の粒を約50個、背部の筋肉に注入したところ、少し元気を取り戻したそうです。野生のライオンの平均寿命は16年で、このライオン、ベラミーちゃんは13歳。関節炎のため、ほとんど歩くことができない状態でした。金の粒は筋肉の萎縮を阻止する効果があるそうで、萎縮に伴う痛みが緩和され、少し歩けるようになりました。というのはベラミーちゃん本人ではなく、手術にあたった獣医さんの弁。

ふだん、私はできるだけ、この世界に関与していくために重要な情報に目を配ろうとしているつもりだし、その意思を支持して私の書くものに目を通してくださる方も多いのではないかと思うのですが、今日はライオンの関節痛ですか、と言われそうですね。すみません。大小を問わず、ネコちゃんには弱いもので。

やっぱりジョン・レノンの話題にしておいたほうがよかったかなあ。あの日から早25年。「みんなが望めば、戦争は終わるよ」「平和にチャンスを与えてやってくれ」。いまだに言挙げする必要の減ずることのないメッセージを私たちに残したジョン、安らかに眠れ。

2005年 12月 8日 午前 12:16 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.07

署名しました

Petition Spot - An Urgent Appeal: Please Release Our Friends in Iraq ― イラクで拘束されている Christian Peacemaker Teams の四人の解放を求める署名サイト。私がこれを書いている時点で、2万1千筆に達しようとしている。ぜひあなたも。ページ右に名前とメールアドレス(公開されない)を記入し、ボタンを押すだけです。

拘束の詳細については、12月2日の記事のリンク先をお読みください。

ありゃ、私の署名が消えてしまってる。もう一回署名しようとすると "You have already signed this petition" と言われるから、登録はされてるんだろうな。ま、いいや。

2005年 12月 7日 午前 12:15 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2005.12.06

アメリカ海軍の軍拡計画

Navy to Expand Fleet With New Enemies in Mind ― ニューヨークタイムズ紙の記事。12月3日に書かれたようですが、5日付けになっています。アメリカ海軍は2020年までに現有の艦船281隻に32隻上積みして313隻の布陣にするという計画を立てているとのこと(何を数えて281だの313と言っているのか、私には分かりませんでした)。この計画は来年2月に正式発表になるのだそうです。

冷戦末期、1987年に保有艦船数568で頭を打った後、着実に減ってきたのだけれど、中国の海軍が増強し、かつ現代化してきたのに対抗するため、またテロなどの変則的な戦闘に備えるため、軍拡に転じるとのこと。議会で予算が大幅に付くとは考えられないので、人件費を圧縮したり、造船業者に費用削減を要求していくことになりそうだと書いてあります(姉歯さん、出番ですよ、という冗談を言いたいところですが、彼の建てた建物に住んでいる人たちに失礼にあたるかもしれませんね)。

建造に一隻当たり300億円ぐらいしかかからない littoral combat ship (沿岸戦闘艦?聞いたことないなあ)という小型の船を55隻も作る反面、destroyer (駆逐艦、自衛隊的には「護衛艦」?)の増強計画は当初の20隻台から7隻にまで縮小。ミサイル防衛用の Cruiser (巡洋艦)が19隻。Attack submarines (攻撃用潜水艦?)は現在50隻超ありますが、48に削減される予定です。Amphibious assault ships (強襲揚陸艦)は31艘作られます。空母は一艘減って11隻。

配備の順番などから考えると、短期的には中国からの脅威は少ないとし、中国の潜水艦、巡航ミサイル等の脅威は10年後以降に備えればよいという判断がうかがえるのだそうです。

はあ。やっぱり『護憲派のための軍事入門』の知識だけでは読み解けませんねえ。努力はしているんですが。世の中には、こういうのがやたら好きな人たちもいるんですよね。おもしろいものです。もしそういう人がこれを読んでいましたら、littoral combat ship の訳語とか教えてください。でも、コメント欄を乗っ取るようなことはしないでね。 

2005年 12月 6日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.12.05

大学の外国語

Language Acquisition for Global Relations ― ボストン近辺の大学生が編集している the Student Underground という新聞サイトに載っていた記事。アメリカの大学でのアラビア語教育の話。

以前は、大学でアラビア語を取るのは中東地域からの移民の家に育った学生たち(家でアラビア語を使っていた者も、使ったことがない者もいる)ばかりだったが、近年は様々な動機でアラビア語のクラスを取る学生がいる。もちろん、軍や国務省などでの就職を目指して学ぶ学生が増えている。

ハーバード大のアラビア語プログラム主事の William Granara さんが「まともに使えるようになるまでは、5年から6年の学習が必要。そのうち1年か2年はアラビア語が話されているところで暮らす経験をすることが必要」と述べるほどアラビア語は英語話者には難しい言語だが、初級の受講者が増えているだけでなく、継続して学ぶ学生が増えている。

学習者の急増で、十分に訓練を受けた教師を探すのも難しい上に、大学に教員の増員をさせるのもまた難しい。そんな中で、Boston University はアラビア語の三年生の授業を開講し、エジプトの大学への短期留学制度も作ったそうだ。でも、BU の外国語プログラムのページを見ると、アラビア語に限らず、外国語の教員は冷遇されているなあ、というのが偽らざる印象だ。

記事の中で、教育省の人が、さまざまな外国語を話せる人間を育成することが「アメリカが競争的であり続け、世界の超大国という地位を確保するための唯一の道だ」と述べているが、その意識は教育機関の経営者たちに浸透しているとは言いがたいようだ。同じようなことは日本についても言えるだろうと思う。

今までに書いた関係のある記事:

2005年 12月 5日 午前 12:03 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.04

チラシの上の自衛隊

景気が少し上向いてきたのか、新聞折り込みの求人広告が少し増えたような気がします。私は今のところ現在の職場を辞める予定がないので、ふだんは全然目を通さずにいるのですが、先日ちょっと目を引くイラストの入った広告がありました。昨日が試験だったみたい。

 

「多様な職域で」云々とあるわりには、イラストがステレオタイプに堕している気がします。

「特殊勤務手当」とか、「特地手当」とか、興味津々。どこで何を? 問い合わせてみようかな。 でも私は年齢制限に引っかかってしまいますね。相手もいそがしいだろうから、やめておこう。

「受験資格:18歳以上27歳未満の男子」という記述に、「あれっ?」と思いましたが、男女雇用機会均等法(本当はもっと長い名前らしい)の第5条「事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない」は自衛隊員には適用されないんですね(第28条、「…及び自衛隊法(昭和29年法律第165号)第2条第5項に規定する隊員に関しては適用しない」)。

地震とか洪水などの際には頼りになる存在ですし、いい人が入って、生き甲斐を持って働けるといいな、と思います。ただし、「国際貢献」については、私は甚だ疑問に思います。特に、周りの空気に押されて心ならずも旅だって行く人がいないといいのですが。また、突き詰めて考えれば、「国の防衛」についても、もっと落ち着いた議論が必要なのでしょうけれど、今の世の中の雰囲気だと、かけ離れた議論の前提を折り合わせていくのは、なかなかむずかしそうです。

それにしても、イラクやその周辺にいる自衛隊員の人たちへの「殺すな、殺されるな」という私たちの願い。この願いがかなっているうちに帰れるといいですね(実際に引き金を引く人以外は「殺す」の主語には立たないという解釈で書いています)。一刻も早い撤退を!

2005年 12月 4日 午前 12:01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.03

アフリカの女性作家たち

Women's E News が、三人の英語で著作するアフリカ人女性作家を紹介している。

ナイジェリアの Chimamanda Ngozi Adichie さん。 アメリカ留学中の2003年に小説 Purple Hibiscus を出版し高く評価される。妻や子どもに対する家庭内暴力を扱った小説。「私が女性であるということは、私がすべての点で男性と対等であるという意味です。これは私の生まれ育った文化を私が尊重していないということではありません。アフリカのフェミニズムはアフリカの女性への信念に基づいているのです」という言葉が紹介されている。

スーダンの Leila Aboulela さん。2000年に The TranslaterCaine Prize を受賞。今年、第2作の Minaret を出版した。「母や祖母が私に伝えてくれた信仰について書きたい」「イギリスに移住してから、まわりに自分のアイデンティティの拠り所であるスーダンとイスラムについて知っている人がいなかったことがとてもさびしかった」と語っている。

ジンバブエの Tsitsi Dangarembga さん。1988年に Doris Lessing に認められて Nervous Conditions を出版し、ポストコロニアル文学の中心と目されるようになる。1993年に監督した映画 Neria はジンバブエで史上最大のヒット昨となる。今年、サンダンス映画祭に Kare Kare Zvako (母の日)という作品を出品した。ムガベ政権への経済制裁によってジンバブエの一般市民が極度の貧窮生活を強いられていると語っている。

2005年 12月 3日 午前 12:05 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.02

パレスチナ諸勢力の声明(仮訳)

とりあえず、訳してみました。原文はElectornic Intifada、情報源は P-navi info (11/3012/1)。Falluja, April 2004 ブログに関連記事あり。

誘拐されたCPTのメンバーに関するパレスチナの諸政党による声明

慈悲深い神の名において

「信じる者よ、邪悪な者が何やら知らせをもたらしたならば、その真偽を確かめよ。それはあなたが意図せずに人を害し、後になって己のしたことへの悔いに満ちることのないようにするためである。」(クルアーン49:6)

ヘブロン・パレスチナ行政区のイスラム、民族主義の諸勢力はイラクにおけるChristian Peacemaker Teams (CPT)のメンバーの誘拐に深い憂慮を表明する。

ヘブロン・パレスチナ行政区のイスラム、民族主義の諸勢力は1995年以来の長い間、CPTと共にイスラエルの犯罪や侵害に立ち向かってきた。現在もまだ彼らがイスラエルの犯罪や侵害に立ち向かいパレスチナ市民の財産と声明を守る大きな役割をになっていることを確認したい。

占領者の戦車の前に彼らが身を投げ出したのも一度ならぬことである。パレスチナ人の家を破壊から守るため、身をもってイスラエル占領者のブルドーザーの前に立ち向かったこともある。イスラエル入植者たちによって私たちの子どもたちが登下校の際に脅かされた時には、彼らは子どもたちとともに歩いてくれた。CPTのメンバーは、その行動のために、イスラエル軍兵士や複数の入植地の住民によって逮捕、殴打、追跡を受けている。占領への反対活動のために、パレスチナへ入ること許可されなかったり、占領行政当局によって退去の処分を受ける者も多い。

抵抗活動を行なっている兄弟たちに、そしてイラクで研ぎ澄まされた良心を持つ全ての人々に訴えたい。私たちはアメリカの侵略と占領に立ち向かう立場を共にしている。誘拐されたCPTに所属する四名(二名のカナダ人、一名のイギリス人、一名のアメリカ人)を、私たちパレスチナの人々、そして全てのアラブ人たち、イスラム教徒たちと共に立つ彼らの役割の真価を認め、即時に速やかに解放してほしい。

イラクとパレスチナの人々に自由を。
シオニストとアメリカによる占領に恥辱を。

ヘブロン行政区のイスラム、民族主義諸勢力

イスラム抵抗運動/ハマス
パレスチナ人民党
パレスチナ解放民主戦線
パレスチナ民主連合/FIDA
ファタハ
パレスチナ解放人民戦線
パレスチナ解放戦線
パレスチナ人民闘争戦線

2005年11月29日、ヘブロンにて

2005年 12月 2日 午前 09:25 | | コメント (0) | トラックバック (2)

後日談

11月29日に書いた国民保護法に基づく実動訓練の件について、昨日、福井県危機対策防災課の方から電話でお返事をいただきました。NHK に連絡を取り、私が異議を唱えた発言が実際に行なわれ、報道されたことを確認してくださったそうです。その上で、(1) かの発言は不適切であると考えられるので、今後そのようなことがないように最善の努力をするつもりだということ、そして、(2) 今回の発言の当事者にも悪意があったとは思われないので、個人を特定して責任を追及するようなことは考えていないということをお話しくださいました。

話し方などから、単に“言葉”が悪かったのではなく、もっと根本的な問題として認識してくださっているように思いました。

豊富な経験や理論的な洞察を備えた人ならば、人々の“悪意の不在”の中に、私が感じた“無神経さ”よりも深いもの、つまり差別や偏見の問題があることを解き明かし、それを糾そうとなさるかもしれません。そのような見極めや実行は私には荷が重すぎます。

私はむしろ、今回の出来事によって私もこの県庁職員の方やそのまわりの方々も、有事法制という仕組みによって私たちみんなが暴力的な構造に参与することを余儀なくされてしまったことに気が付いたという事実に高い価値を見出そうと思います。

2005年 12月 2日 午前 12:59 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.12.01

季節の歌

クリスマスツリーも選んで、一人でなんとか車の屋根に載せた。玄関には飾りも付けたし、庭には小さなトナカイの人形も置いた。赤や緑や青の街の灯りの下を車で走って、雪のようなネオンの銀色の光を見たら、君を思い出しちゃったよ。まわりはクリスマス一色。だけど君は見知らぬ人たちの国にいる。たった一つの願いを送ろう。サンタさん、あの男に言ってやってよ。

おじさん、お願いだからあいつを家に還してよ。十二月にひとりぼっちはいやだから。この国は今、クリスマスの季節。君をこの腕の中に、危険から遠くはなれたこの地で、抱きしめていたい。あいつを家に還してよ。

ジングルベルをだれかが歌っている。あ、あれは家の飾り付けにいい!若い子たちがたくさんクリスマスのキャンディを手に持って、ショッピングモールをぶらぶら歩いてる。女の子たちはファミレスで楽しそうに騒いでる。でも、毎日が不確かだと、やれることなんかほとんど何もない。お酒を飲んで酔っぱらうぐらい。きよしこの夜、クリスマスイブに星を見上げて君の無事を祈るよ。

おじさん、お願いだからあいつを家に還してよ。十二月にひとりぼっちはいやだから。この国は今、クリスマスの季節。君をこの腕の中に、危険から遠くはなれたこの地で、抱きしめていたい。あいつを家に還してよ。

天のごとく地にも平和をとか、すべての人に福音をとか賛美歌は言うけれど、どうなっちゃったんだろう。信ずる者よ、今こそ自分の頭で考える時だよ。

おじさん、お願いだからあいつを家に還してよ。十二月にひとりぼっちはいやだから。
おじさん、お願いだからあいつを家に還してよ。十二月にひとりぼっちはいやだから。
あいつを家に還してよ。あいつを家に還してよ。あいつを家に還してよ。

10月に買った Melissa Etheridge さんのアルバム The Road Less Traveled から、"Christmas in America" を紹介します。

雰囲気があまりうまく伝わらない訳になってしまったので、ちょっと解説。話者が女性にでも男性にでもとれるように、中性的に訳したつもりです。自分に置き換えて読んでみてください。「あいつ(my baby)=君」はあなたの近しい人。家族かも、恋人かも、友人かもしれません。「この国」は原文では "America" ですが、感情移入しやすいように、ぼやかしました。

「あの男=おじさん」がだれか、分かっていただけましたよね。

え、分からない? すみません。原文を読むか、聴いてみてください!(RealPlayerが要ります。最初から最後まで聞けます。)

もしあなたの親しい人が遠い地にいるならば、その人とあなたの再会が近いことを私も祈ります。イラクやペルシャ湾、インド洋に派遣された人たち。連れ去られ祖国に帰ることが許されない人たち。それから、きっと今、南米から日本に来た人たちは少し肩身の狭い思いをして遠い故郷の家族を想っているでしょう。彼らや彼女たちのことも。

境遇や信仰の違いを越えて、一人でも多くの人の心に平安が訪れますように。

2005年 12月 1日 午前 12:04 | | コメント (2) | トラックバック (1)

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