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2005.11.28

クミアイ語

クミアイ語のリンク集 ― 最近のこのブログの傾向からすれば、だれでも「団結」とか「さぶろく協定」とか、その方面の語彙集だと思うだろうな。

違います。カリフォルニアとメキシコの国境付近に住む北米先住民の言語 Kumiai (Kumeyaay) の話です。クミアイ語の自生語話者(注1)は300人ほどだそうです。「こんにちは」は "Howka" (または "Auka")、「元気?」は "Mamuyuth miñay?" というのですって。

CounterPunch で "When a Language Dies -- First Kill the Language, Then the Culture" という記事(注2)を読みました。絶滅の危機に瀕する少数言語の話です。地球上には知られているだけで6,000ほどの言語が存在するが、そのほとんど(96%)の話者の人口を合計しても、地球の人口の4%にしかならないそうです。メキシコ国内だけでも64言語が存在し、Nahuatl 語や Maya 語のように百万人以上の話者を持つものもあるが、Aguacateco 語のように話者が22人しかいないような言語もあることが、Carlos Montemayor さんの仕事や Instituto Nacional de Lenguas Indígenas の紹介と併せて記されています。

知らなかったのですが、毎年2月21日は International Mother Language Day なのだそうです。手帳に書いておかなくては。

で、メキシコのマイノリティ言語関係のサイトを見て回っていたら、サパティスタのマルコス副司令官の2001年の演説(英訳)に行き当たりました。演説ではマルコス副司令官が先住民族一つひとつに呼びかけていて、その中に "Kumiai" もあったのです。

先週、さんざんストライキの話を書いたので、「クミアイ」ならおもしろいかな、とウケ狙いで書いたというのは否定しません。一応、マルコス副司令官のすてきな一段落を引用して終わります。

私たちは、ナイーブに正義が上からやって来ると思って待っていたりしない。正義は下からしかやって来ないものなのだ。自由は万人の力によってのみ勝ち取ることができる。民主主義は地面、領土であって、絶えず、それを獲るために闘わなくてはならない。私たちは待つことはしない。

これで一応、「組合」を期待して読み始めた人にも、それなりにご満足いただける記事になったのではないでしょうか。

Iña'ay mat uwuwma! (じゃあ、またあした!)

(注1) 「自生語」:すみません。私(一応、言語学が専門です)が勝手に作った単語で、"native language" の訳語です。普通なら「母国語」か「母語」ですが、国を持たない言語の話者を疎外してしまうとか、特に子育てとジェンダーに関する前提を伴うことが気になるので、新たに訳語を提案してみました。まあ、よほど詳細な議論でない限り、「第一言語」と訳しておけば構わないのかもしれません。

ちなみに、「話者」の部分も音声言語を前提とした表現かなと少し心配ですが、「手話」という語にも「話」が使われているから、大丈夫ですよね。

「自生」というところには、さりげなく、人間固有の言語習得能力が存在し、自然なインプットを与えられるだけで個別言語の体系が話者の脳内、身体内に構築されるというヒューマニスティック、リアリスティックな思いを込めています。漢字で書けば「生成文法」ですね。

(注2) 著者は John Ross さんという人です。言語の話なので、島の制約や遂行分析の John Robert "Haj" Ross さんかなと一瞬思ったのですが、違いました。

2005年 11月 28日 午前 12:01 | | この月のアーカイブへ

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