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2005.10.19

転向作家

プロレタリア作家、葉山嘉樹の作品見つかる 中国で」という記事が asahi.com に載っています。最近、紙の新聞を途切れ途切れにしか読んでいない(というか、私が読む前に家族が持ち去ってしまい、読めない。恨)のですが、もう出ていたのでしょうか。文章からは、一昨日か昨日(葉山の命日)の掲載を意識した気配が感じられます。

「竿頭進一歩」(かんとうしんいっぽ=工夫を尽くした上にさらに向上の工夫を加える)という随筆で、『満州新聞』 に1943年7月13日から17日にかけて連載されているのを、文学研究家の西田勝さんが中国の遼寧省図書館での調査で発見したと伝えています。葉山の日記から作品の存在自体は知られていたものの、これまで原稿そのものは見つかっておらず、全集等にも収録されていなかったそうです。「戦前・戦中に日本が進めた満蒙開拓で人々がお国のために食糧増産に突き進む様子が描かれ、祖国のために命をかけて働くことを鼓舞する内容になっている」とのこと。雑誌『ちくま』の11月号に掲載されるそうです。

葉山嘉樹(リンクは青空文庫の作品一覧。すみません、作業中未公開の作品の多くは私が校正を何年間も抱え込んでいるものです)は「淫売婦」「セメント樽の中の手紙」「海に生くる人々」など 、評価の高いプロレタリア文学作品を書いた作家ですが、転向し、満蒙開拓団に参加して、敗戦後の引き揚げ途中に病死しました。漠然と、小林多喜二(壮絶)や黒島伝治(孤高)、宮本百合子(徹頭徹尾とでも形容するか?)に比べて、よくも悪くも俗物っぽいところがあり、もともと時流に逆らえない性分だったのかな、という印象が私にはあるのですが、発見者の西田さんは

「本心だったかわからないが、『転向』の問題を考えさせられる。いつの時代も追い込まれたときに自分の思想と節操をどう保つかが問われる。彼の姿は反面教師になる」

とコメントしています。

自分があの時代に生きていたら、信念を貫いて生きていくことができただろうかと、今までに何度も何度も考えたことがあります。そのたびに、その答えを身をもって思い知らされる社会に暮らさなくても済むように、今のうちから努力しよう、と自分に答えてきました。より一層の努力が必要になってきたのを実感しています。

2005年 10月 19日 午前 09:07 | | この月のアーカイブへ

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