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2005.09.19

隔離壁をめぐる判決

イスラエルの高等司法裁判所が15日、隔離壁に関する司法判断を下した。Alfei Menashe 入植地を囲む隔離壁の撤去(移動)を命じる一方、隔離壁の建設自体は合法であるというものである(イスラエルの Haaretz 紙の記事)。

西岸地域北西部の Kalkilya (地図)近郊のAlfei Menashe 入植地(地図)は、隔離壁のイスラエル側に位置するため、この地域の近辺に居住するパレスチナ住民は Qalqilya や Habla との往来ができなくなっており、教育、保健などの公共サービスが受けられない。今回の判決は、Alfei Menashe 近郊の村落が他の西岸地域との一体性を保持できるよう、村落が隔離壁のパレスチナ側に入るように隔離壁ルートの変更を命じている。その点では、今回の判決は Alfei Menashe のパレスチナ人たちにとって、画期的な勝利とも言える。

強くイスラエル寄りの報道姿勢をとる the Jerusalem Post の記事は、村落がパレスチナ側に編入されることによって、村民のイスラエル側での就労が困難になると指摘している。結局、どこにあろうと、隔離壁というもの自体がそこに暮らす人たちにとって大変やっかいなものであるわけであるが、そういった一般論の観点からは、今回の判決は到底歓迎できるものではない。ハアレツ紙の記事では、判決の主旨として以下の点が挙げられている:

  1. ハーグの国際司法裁判所の裁定は無効で、イスラエル政府は隔離壁を建設する権利がある
  2. 隔離壁をイスラエルとパレスチナの境界線(the Green Line)からパレスチナ側にはみ出した位置に建設しても構わない
  3. 隔離壁は、イスラエル国内だけでなく、占領地内の入植地を守るために建設することもできる
  4. 隔離壁全体の違法性などを問うことはできず、各地域ごとにイスラエルの治安上の必要性とパレスチナ人の人権とのバランスを考慮して取り扱われるべきである

現在、40を超える地域で隔離壁に関する請願が法廷で争われており、その多くがこの判決を判例として決せられることとなる。エルサレムのまわりの隔離壁については、別の判決が出される予定とのこと。

上記 1 について、判決は、ハーグ国際司法裁判所の国際法上での権威を認めるものの、昨年出された裁定は、イスラエル側の自衛の権利という側面を考慮せずに出されたので無効であるとし、隔離壁の建設はハーグ条約の交戦中の占領(belligerent occupation)下での治安についての規定によって正当化されるとしている。これに対しては、隔離壁に反対するパレスチナ住民は、隔離壁建設が「治安」を目的としているのではなく、イスラエルの領土拡大と境界線の固定を目的とした政治的な動きであると主張している(IMEMC の記事)。

追記:コメント欄でのビーさんのご指摘をもとに、「Alfei Menashe 村」等の表現を一部修正しました。ビーさん、ありがとうございました。

2005年 9月 19日 午前 12:02 | | この月のアーカイブへ このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

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コメント

気になっていたものの、書けていなかったことなので、うにさんが書いてくださっているのを読めて、とても嬉しいです。

それにしても自分勝手やねぇ。「ハーグの国際司法裁判所の裁定は無効で、イスラエル政府は隔離壁を建設する権利がある」ねぇ。言うのは自由ではある…というぐらいかなぁ。

もう一つの問題はイスラエルの司法が下した裁決が実際に守られるかというと、必ずしもそうではないということがあります。ルート変更もどうなることやら。

ひとつだけ、「Alfei Menashe 村」とありますが、アルフィ・メナシェはイスラエルの入植地で、この入植地と一緒にイスラエル側に取り込まれ、他のパレスチナ地域と切り離されたところに、ラス・ティレ村やアッ・ダバー村など4つのパレスチナ村があります。これらの村のことを「Alfei Menashe 村」は指していると思われます。

(実際、この4つの村は悲惨な状況にあるんですよね。医療や学校などへのアクセスがほとんどまともにできないと思います)

投稿: ビー | 2005/09/19 0:31:38

ビーさん、ご指摘をもとに一部書き直しました。ありがとうございました。リンクもありがとう。

みなさま、この記事に限らず、大きく外していることはないと思いますが、ずぼらで知識も不十分なまま書いていますので、ご注意くださいね。

投稿: うに | 2005/09/19 17:47:35

うにさん、どうも。それがやっぱりというかんじなんですが、上の判決や場所にも関連して、こんなレポートが出ました。

"Barrier Route was Planned to Enable Settlement Expansion"
http://electronicIntifada.net/v2/article4188.shtml

B'Tselem/Bimkomによる発表で、後者は知らないのですが、B'Tselem(ブツレム)はイスラエルの人権団体です。また、後で詳細を読んでみますわ。

投稿: ビー | 2005/09/20 19:00:51

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