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2005.08.31

愛国者法

合州国コネチカット州の公共図書館に対し、連邦捜査局(FBI)が利用者の貸し出し記録やインターネットの使用記録を提出させた。その際、愛国者法(USA Patriot Act)の "National Security Letters" 規定を利用した(と思われる)ことの是非をめぐって、その図書館(の従業員?)と市民団体 American Civil Liberties Union (ACLU)が訴訟を起こしている(読売新聞が27日に短く報じている)。今日(8月31日)、初公判が予定されている。ACLU によるプレスリリース

愛国者法によって、連邦法第18章が修正されたため、その2709条の規定により、FBIはインターネットサービスプロバイダー等に、犯罪への関与の疑いがなくても、個人の使用状況等を裁判所の令状なしで提出させることができるようになり、また提出命令を受けた者はFBIによって提出を命じられたことをだれとも話してはいけないという箝口令がしかれる。そのため、今回の訴状でも、原告の名前や勤務先などはすべて塗りつぶされた形でしか公表されていない。

ペイトリオット・アクトが図書館の守秘義務を犯すものであるという指摘をアメリカ政府は根拠がないとしてきたが、9月に再開する連邦議会での Patirot Act 延長に関する議論を前に、その姿勢が大きく問われることになる。

それにしても、「愛国」という発想が市民の個人としての権利や尊厳に害をなす存在となってしまいがちなのは、どこの国でも同じなんでしょうかね。

2005年 8月 31日 午後 03:19 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005.08.30

さあ選挙

いざ投票に行こうと思ったら、まだこれからが公示期間なんだ。既に三週間ぐらいテレビで選挙だ選挙だって騒いでいたから、もうそろそろかと思ってた。

郵政民営化が争点だって言うから、ブログにも二つも記事を書いて(8月14日8月17日)、次は問題の保険業務だ!と思ったが、テンションが維持できなかった。なんか間延びしていないか、この選挙。

先週後半になっても家から駅までの道筋に選管の掲示板が一つも立ててなかったので、ここらへんは今回は選挙ないのかなあ、なんて思ったけど、いつの間にか掲示板が出て、今朝はポスターが貼ってあった。民主現職・43歳・男性。自民新人・42歳・女性。共産新人・38歳・男性。候補者がいつの間にか自分の年代になったな。子どものころは、大人ばっかりだったのに。当たり前か。

たぶん現職再選かなあ。よく知らないけど。盛り上がりにかけてるものな。小選挙区はいらないから、比例に2票入れさせてくれないだろうか。だめか。一応、投票所で言うだけ言ってみよう。

この間紹介した尾辻かな子さんの『カミングアウト』を読んでいたら、こんな一節があった。議会の構成の偏りを指摘する文章だ:

たとえば、壮年で、男性で、既婚者で、国籍が日本人で、高学歴で高収入な人たち、政治的に強い影響力を持っている人たちでは、どうしても気づくことができないこと、というのがある。

政治には関わっていないので、最後のは別として、他の属性はそのまま私にあてはまる(学歴にしろ収入にしろ、上を見たらきりがないのですが、人口を均等割りに3分割なり5分割したら、という感じで読んでください)。そうなのだ。私には気づかないことって、とっても多いのだ。だから…

尾辻さんが近年LGBTの人たちが選挙のたびに候補者アンケートをやってきたと書いていたので、探してみた。まだ情報が出揃っていないが、投票日までの間(おい、まだ二週間近くあるよ)、ここらへんに注目してみるつもりだ。

追記:尾辻さんのブログにもっと詳しい記述がありました。リンクして、トラックバックを送ります。

2005年 8月 30日 午後 01:56 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2005.08.29

ホワイトバンドを買った

先週、本屋に行ったら、ホワイトバンドを売っていたので買いました。これを身につけたからといって世界の貧困がなくなるわけではない(300円の内訳を参照)のだろうけれど、一人でも多くの人が特にアフリカの問題に関心を持つことにつながればと思うので、毎日、バンドをして出かけています。

今のところ、バンドをしている“同志”は3人見かけました。3人とも20代と思わしき男性でした。気落ちしないでくださいね、オジサンと同じファッションになっちゃったけど。

身の回りで「それ何?」という話になったのは2人(今、夏休みなので、学校に勤めている私はあまり人と会わないのです)。

一人目:「虫除け?」 ― 私も、本物を見た時の第一印象が「猫のノミ取り首輪みたい」だったので、よく分かります。

二人目:「ファイテン?」 ― この人と私はほぼ同じ年齢で、肩が凝るだの体調が悪いだのといった話をよくするので、これも順当な反応だと思います。

認知度はまだまだ低いようです。

2005年 8月 29日 午後 07:40 | | コメント (1) | トラックバック (2)

2005.08.28

王女と麻薬

Camille Saint-Saëns (1835-1921)の作品に "La Princesse Jaune" (黄色い王女、東洋の王女)と呼ばれる一幕のオペラがあるのだそうです。私はサン・サーンスって『動物の謝肉祭』、ピアノ協奏曲、オルガン交響曲ぐらいしか聴いたことがないのですけれど。若い男が写真で見た日本の王女に恋をして麻薬に耽る、という話だそうです(あらすじ)。

ベルリンの Neuköllner Opera House というところがこの "The Oriental Princess" を上演するのですが、そこの Bernhard Glocksin 芸術総監督は聴衆にマリファナを吸いながら鑑賞するように勧めているとのこと(Deutsche Welle の記事)。ドイツでは州ごとに法律が違い、少量の大麻所持は問題にされないことが多いが、劇場という公共の場所で吸うのは連邦法違反になるかもしれず、シュールな公演になりそうだ、と伝えています。

このオペラのリブレットを見ると、はじめのほうに日本語っぽい文が出てきますが、通常の意識のもとでは理解不能です。ちょっと意識をハイにすると分かるのかも。

Neuköllner Oper の Die gelbe Prinzessin のページを見る(あ、私、ドイツ語は分かりません)と、まず、"manga queen" って書いてありますね。相当に現代的な演出みたい。う~む、かなりトリップしないといけないのかもしれません。

マリファナ合法化を求めて運動している日本の団体 Cannabist Internet のサイトにリンク。

2005年 8月 28日 午前 12:01 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2005.08.27

戦後処理と謝罪

チェコ共和国政府が去る水曜日(2005年8月24日)、第二次世界大戦後にズデーテン地方から強制送還されたドイツ系住民に対して、謝罪を行なった。チェコの Prague Daily Monitor に掲載された謝罪文記事。ドイツ Deutsch Welle の報道

チェコ、ドイツ、ポーランド三国の国境線が交わる付近からポーランド国境沿いに広がり、ドイツ系住民も多く居住していたズデーテン地方は、1938年にナチス・ドイツに併合された。戦後、この地方でチェコスロバキアの主権が回復された際、反ファシズムの姿勢をとったことが証明できないドイツ系住民はドイツ、オーストリアにむけて放逐された。反ドイツの民族感情の影響で、実際には政治姿勢のいかんを問わず、200万人を超えるドイツ系住民が退去を強いられたらしい。チェコスロバキアに残ったドイツ系住民も、市民権を剥奪されたりした。

今回の謝罪は、併合以前から居住していたドイツ系住民の中に、チェコスロバキアに忠誠を誓い、反ファシズムの闘いに参加した者がいたにもかかわらず、彼らが不当な扱いを受けたことを公式に認めて謝罪し、それらの人たちの追跡調査を行なうことを約束している。

Jiri Paroubek 首相(社会民主党=CSSD)の内閣(社会民主党、キリスト教民主党=KDU-CSL、自由連合=US-DEUによる左派連立内閣)が発表したこの謝罪に対し、ドイツの Gerhard Schroeder 首相らは歓迎を表明しているが、チェコの Vaclav Klaus 大統領(右派の少数与党、市民民主党=ODS)は、この問題は過去の二国間共同声明などで解決済みであるとして、反発を示している

2005年 8月 27日 午前 11:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.26

京都が見えてくる?

Kyoto on the horizon ― ボストン・グローブ紙の社説(8月25日付け)。ニューイングランド地方の6州(マサチューセッツ、コネチカット、ロードアイランド、メイン、ニューハンプシャー、バーモント)、およびニューヨーク、ニュージャージー、デラウェアの合計9州が、二酸化炭素排出規制に本格的に乗り出したらしい。まず排出量を現状維持し、2020年までに10%の削減を確実にする。この規制により、消費者物価が1%から2%上昇すると見られている。

合州国北東部のこの対策は、ニューヨーク州の George Pataki 州知事(共和党)の主導でまとまろうとしているらしい。この他にも、合州国西岸のカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの3州が同様の対策を検討中。

十分な規制だとは言えないかもしれないが、何もやらずに放っておいていいわけがない。連邦政府(ブッシュ政権)の無策が問われる。

追記:「温暖化いろいろ」というブログが詳しくこのニュースを取り上げていました。トラックバックを送ります。

2005年 8月 26日 午後 04:53 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.08.25

テロリストを追う

The Search for International Terrorist Entities (SITE Institute) ― 「アンサール・アルスンナが犯行声明を発表」等々の情報がひたすら網羅的に、しかも刻々と掲載されています。世界各国のテロリストたちの動向を24時間態勢で監視しているとのこと。年60万円の会費を払えば、ビデオを見たり、声明文の全訳を読んだりできるそうです。お金持ちの「勝ち組」で、アメリカの戦争には大義があるとお考えのそこのあなた、ぜひどうぞ。

たぶんテロリズムとかに詳しい人たちには、よく知られたサイトなのでしょう。私は The Village Voice 誌の記事で知りました。

こういうところをじーっと見ていると、何がテロリズムで何が正当なレジスタンスなのかとか、占領はテロリズムを抑制しているのか煽っているのかとかが見えてくるのかもしれません。

それにしても、1024x768 のモニタでも左右にはみ出すサイト作りというのは、どんなものでしょうかね。それに、速報性がウリのサイトなのに、このご時勢に rss 配信もないなんて。ぶつぶつ。いや、私などの雑魚を相手にしているわけじゃないから、しかたないんですけどね。

2005年 8月 25日 午前 05:09 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.24

教科書は高い

Textbook costs are off the charts ― アメリカの大学生は平均して年間に580ドル(6万円あまり)、教科書を買うのに使っているらしい。学用品を含めると年に898ドル(10万円弱)。1980年代半ばに比べ、一般の物価が72%上がったのに比べ、教科書代の値上がりは186%の値上がりとされている(ちなみに学費等納付金は240%の上昇)。さして急速な進歩のない分野でもやたら改訂版を出したり、CD-ROM 等を付けたりするので価格がつり上がっているらしい。

アメリカの教科書は装丁が立派なのが多いですからねぇ(20年近く前の知識)。日本の大学でも、入門書にしろ専門書にしろ、教科書として指定されるものはけっこう高いような気がしますが(まあ、発行部数が少ないからしかたないのでしょうが)、学生たちはいくらぐらい支出しているのでしょう。学費とか生活費の数字はときどき目にするんだけど。

2005年 8月 24日 午後 05:35 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.23

組合に入りました

えー、ある意味個人的なことで、ことさらにひと様に伝える必要はないのですが、このたび、私、職場の組合に加入しました。全国、全世界の労働組合員のみなさん、どうぞよろしくお願いいたします!

4月に職場を変わって、4か月もぐずぐずしてしまったのですが、私が組合員になるのは今回が初めてではありません。はるか昔には院生TAの組合結成に関わりましたし、前の前の職場では、組合いじめがひどかったので、府県レベルの上部団体にひっそりと個人的に加入していました。前の職場では役員もやりました(役員をやっている間に自分たちの職場を大きく変える法律の成立を許してしまうわ、戦争は始まるわで、精神的にとても消耗しました)。で、今回は過半数組合だし、組合費も給料天引きです。ちょっと出世魚になったような気分です。なんのこっちゃ。

2005年 8月 23日 午後 08:32 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.22

ルラ、危うし

全然知らなかったのだけど、ブラジルで Luiz Inácio Lula da Silva 大統領が危機に立っているらしい。"Lula: the dream is over" という OpenDemocracy の記事によれば、与党(労働党、Partido dos Trabalhadores)幹部の贈賄疑惑(野党の国会議員に金を渡し、国会での票を買っていた)が3か月ほど前に明るみに出て、ルラ大統領自身には疑惑は向いていないものの、辞任を要求するデモなどが起こっている。労働党は国民への謝罪を行なっている。

ルラはブラジル史上初の労働者階級出身の大統領であるが、貧困の撲滅などの公約はなかなか実現できておらず、支持率も低下しているそうだ。

詳しくは分からないけれど、巨悪がしたたかに隠されている一方で希望をもたらす力を持っているはずの人の比較的に軽い“罪”がことさらにあげつらわれているのだったら、どの国も同じだな、などと思ってしまう。

本文と全然関係ないのだけれど、Agencia Brasil の写真集が、出典さえ示せば自由に使ってよいということなので、写真を一枚入れてみる。Marcello Casal Jr. さん撮影。

2005年 8月 22日 午前 12:08 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.08.21

アウシュビッツ

NHKの『アウシュビッツ』を見ました。製作したBBCのサイトに内容紹介等があります。NHKでは5回シリーズでしたが、イギリスでは6回の放送だったようです。あらすじを見たところ、今回の放映では、アウシュビッツ解放後にパレスチナへ行こうとした人たちのことなど、いくつかの点が省かれていたらしい。

何とも重い心を残す番組でした。ホロコーストのことについては、それなりに知識を持って見た(アウシュビッツに行ったこともあります)わけだけど、それでも個人的な証言などを聞くと、自分がその人(そのユダヤ人、そのナチス親衛隊員、その隣人、等々)だったらどうしていただろうと、さまざまに思いを巡らさずにはいられませんでした。

大量虐殺を遂行した人たちだけでなく、迫害を生きぬいた人たち、その周りにいた人たちにさえ、良心に傷を負わせてしまう(だれも完全に無辜ではいられなくなってしまう)不条理な状況… そんなことが二度と起こらないように、悪(民族的な偏見とか)には、ことごとく対峙していかなければならないと思い知らされました。

アウシュビッツに勤務していた親衛隊員 Oskar Gröning さん。淡々と証言する彼が、自分の過去とどのように折り合いをつけているのか、興味深く見ていたのですが、それを端的に問われて、彼は自分には大きな罪はないと答えます。うーん、そんなものか(そういう意識のまま、戦後60年を生き長らえていいものなのか)と思いながら更に見ていると、彼がこの番組製作に協力した意図が明かされました。ホロコースト否定論者に立ち向かうため。それが彼の動機でした。

人間というものの複雑さを見せつけられる思いでした。でも、きっと人間の本当の姿はそこにあるのだと思います。それに比べ、例えば「ホロコーストは無かった」と主張する否定論者・歴史修正主義論者たちの、なんと平面的で、人間的魅力に欠いていることか。包括的な否定は、その場にいた人たち一人ひとりの存在の微妙さをすべて消し去ってしまって、きっと、考える人にとって楽なんだと思います。そういうのって、精神の堕落だよね。

2005年 8月 21日 午前 05:18 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2005.08.20

日本人とアラブ人

Bassam Tayara さんの Le Japon et les arabes (日本とアラブ人)という本の紹介がエジプトの Al Ahram 英語版週刊誌に出ています。明治時代を中心に、日本とアラブ、とりわけエジプトがどのような関わりを持ってきたかを描いた本らしいです。

日本最古のアラブ人への言及は唐の肅宗(Sù zōng)帝に謁見した使節の記録である(「だいぢ」または「たし」と記されている)とか、14世紀に旅行家の Ibn Battuta が泉州について書いているとか、14世紀末には「ひしり・むする」という名前のアラブ人が日本に住んでいたとか、へぇ~、へぇ~連発です。その他、江戸時代には西川如見という人が『華夷通商考』でアラブ人のことを論じている、『三才図会』という百科事典にナイル川についてのかなり正確な記述が載っている、などなど。

明治に入ると、日本の使節団がエジプトを訪れたそうです。彼らはスエズ運河の建設や鉄道などに感銘を受けるとともに、なぜエジプトがヨーロッパの支配に屈してしまったのか、なぜモハメド・アリ(お約束のもう一つのリンク)のもとで近代化が進まなかったのか、などに興味を持ったそうです。自らが列強の植民地とならないために、そして自らの植民地支配に、それらの知見が活かされたのではないか、ということです。

柴四朗(東海散士)の『佳人之奇遇』にエジプトの抵抗運動の話が出てくるのだそうです。『佳人之奇遇』は岡島昭浩さんの「うわづら文庫」にありますね(12345678、各ファイルとも4~5MBのスキャン画像PDF)。読んでみようかな。

2005年 8月 20日 午後 02:18 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.08.19

タメ口禁止

体調を崩してしまい、寝込んでいます。

Struth. Mate cops rough end of pineapple ― 豪シドニー・モーニング・ヘラルドの記事。全然分からないので辞書をひきました。"Struth" は驚きの声、"cop the rough end of the pineapple" は「不当な扱いをうける」という意味だそうです。

国会の警備員が訪問者に呼びかける際に、オーストラリアでよく使われる "mate" という語を使ってはいけない(失礼になるから)、という通達が出たという話。批判が出て、翌日(今日)には撤回される予定だとか。

日本だったら、タメ口とか「じゃないですか~」禁止といったところ?

2005年 8月 19日 午後 01:19 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.18

最近のマルコス副司令官

ちょこちょことネットを見ていたら、メキシコの英字新聞を見つけた。スペイン語が読めない私には大きな収穫(ほっ、ほっ、ほっ、余は満足じゃ)。

The Zapatistas: Betrayal and autonomy ― メキシコシティーの日刊紙 El Universal 英語版に掲載された論評。サパティスタ(EZLN)、マルコス副司令官の最近の発言を考察している。

マルコス副司令官は、左翼の民主革命党(PRD)がチアパスのサパティスタ社会の自治確立に非協力的であるとして、痛烈な批判を展開している。PRDは1996年のサンアンドレス合意締結時には自治を支持していたものの、その後、立場を後退させてしまった。PRD内ではCuauhtémoc Cárdenasを中心とする左派と前メキシコ市長Andrés Manuel López Obradorを中心とする中道勢力の間の路線対立があるが、マルコスはそのどちらも「裏切り者」だと述べている。

サパティスタは、今後「もう一つの闘争」を行なうとしているが、それは来年に予定されている大統領選挙そのものを指しているわけではない。むしろ、サパティスタはグローバル化された世界の中では国家権力というものが中心的ではなくなっていくという認識に立っているようだ。グローバル化された階級闘争こそがこれからの戦いだというわけである。

サパティスタたちは、これまでの「人民(people)」という左翼的な概念ではなく、多様な「さまざまな人々(peoples)」がそれぞれ自分らしく暮らしつつ、同時に「自分はメキシコ人である」と名乗れるようなメキシコを作ろうとしているように見える。

この記事を書いた Fred Rosen さんは North American Congress on Latin America という組織の人らしい。このサイトもとても読み応えがありそう。

2005年 8月 18日 午前 12:02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.17

世界の趨勢だからね

正直言って、郵政民営化の問題には全く興味がなかった。今になって一夜漬けのように学ぼうとしている。恥。

詳しい人には「何を今さら」なことなのだろうけれど、自分なりに調べて実感したのは、郵政民営化は、よくも悪くも、「世界の趨勢」だということだ。多くの国で議論され、民営化が実行に移されている。根底には、WTO の GATS (= General Agreement on Trade in Services、サービスの貿易に関する一般協定)があり、競争原理(pro-competitive regulatory principles)の適用拡大を通じて多国籍企業が市場開放を求めている。“グローバリゼーション”を絵に描いたようなものか。このへんの事情は、Canadian Centre for Policy Alternatives の "Return to Sender: The Impact of GATS "Pro-Competitive Regulation" on Postal and Other Public Services" という報告書(PDF)が分かりやすかった。

不思議に思うのは、政府の「郵政民営化の基本方針」などの文書には、このような「世界の趨勢だから仕方がない」、「国際協調のために必要だ」といった理由付けが見られないことである。自衛隊派兵については「国際貢献」を理由にあげ、国際情勢がこれこれしかじかだから憲法を変えるべきだ云々と主張するような人たちは、どうして郵政民営化の問題についてはこういう世界的な位置づけをもっと強調しないのだろう。

関係ないが(いや、何らかの関係はあるのだろうが)、8月4日にアフガニスタンのカンダハルで25年ぶりに郵便局が再開されたという記事を読んだ。ソ連侵攻、内戦、タリバンによる統治、戦争。長い長い手紙にしても書ききれないほどの25年間だったに違いない。私もうれしくなってしまった。

2005年 8月 17日 午前 05:28 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.16

ガザからの撤退始まる

Interactive Graphic: The Pullout From the Gaza Strip ― ニューヨークタイムズ紙に掲載されたガザ地区からの入植者撤退(disengagement)に関する地図。カーソルを置くと航空写真や説明が表示される。赤丸(1,2,3,19)の入植地で激しい抵抗が予想されているらしい。

この地図は、例えば Roads のところに×印を入れると道路が表示されるが、検問所の位置を表示させるオプションはない。パレスチナ赤新月社のサイトにガザの検問所の地図があったので、頭の中で重ねてみる。

撤退したユダヤ人入植者たちがヨルダン川西岸地区や東エルサレムに移住するというイスラエル政府の計画のもとでは、この撤退を「歴史的」と呼ぶのは早急なのかもしれない。でも、きっと、これを歴史の始まりにするのだという私たちの意思が、今日を現実に歴史的な日に変えるのだ。すべての占領に終結を!

2005年 8月 16日 午前 12:01 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.15

骸骨、祈り

Paper skeleton proves a hit in Japan ― 紙で作る人体骨格模型が日本で大流行(2万体も売れた!)という AFP 電。組み立てに大人でも丸三日かかるのだとか。

作って玄関にでも吊り下げておいたら、人が来た時などにおもしろいかもしれないと思うが、私は人並み外れて不器用だからあきらめる。

終戦記念日。私は、侵略戦争に駆り出された人たちや、ましてやそのような戦争を指導した人たちのおかげで今の平和があるとは全く思わないが、あの十五年にわたる戦争で命を失った諸国の人たちに祈りをささげ、平和を誓う日として今日があるならば、私も祈り、誓おう。

2005年8月15日。願わくば、入植者たちが去っていくガザの人たちが、そして新しい憲法を作ろうとするイラクの人たちが、その置かれた境遇が最良のものではないにしても、少しでも希望を見いだせる日でありますように。

2005年 8月 15日 午前 12:03 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2005.08.14

郵政民営化ですか

個人的には郵政民営化だけでだれに投票するかを決めるつもりはないが、法案を読んでみたりしている(リンク先は衆議院の議案一覧。郵政民営化法案は閣法の下の方)。国民はみんなこれを読んでから投票しろってことですか。とってもしんどいんですけど。憲法を変えるからみなさん読んでくださいと言われるよりましか。

Over there: Update on global postal revolution ― 合州国の郵便配達員の組合 National Association of Letter Carriers の会報誌 Postal Records 7月号の記事(PDF)。ヨーロッパや日本における郵便事業の民営化や規制緩和の動きが短く、読みやすくまとめてある。

スウェーデンとオランダでは郵便職員の雇用が大幅に削減され、パートタイム職員への切り替えが行なわれている。イギリスとノルウェイでは郵便局の半数が閉鎖された。アイルランドでは郵便局が小包業務から撤退した。

郵便配達のネットワークが非都市部や低所得層の住む都市部にも現存していることを利用して新たな事業展開を図る国もある。フランスの La Poste はイギリスの Royal Mail やニュージーランドの New Zealand Post を参考に貯蓄金融事業を強化させる予定である。記事は以下のように締めくくられている。

日本が郵便貯金という成功例を売り払ってしまおうとしているまさにその時に、ほかの国がそれをまねようとしているのは皮肉なことである。

2005年 8月 14日 午前 12:01 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2005.08.13

自分らしく

昨日の朝日新聞夕刊で知りました。尾辻かな子さん(大阪府議)、応援します!

尾辻さんのブログ記事から引用します。

今の社会は、大多数の人とは違う人に対して「おかしい」というレッテルをはり、少数者のおかれている状況に無関心で鈍感な社会のように感じます。この社会を、違いを認め合う社会、違いを豊かさに変えることができる社会にしていくことが、議員としての私の仕事です。そのために、まず自分自身が自分らしく生きることができているのか、と私は問い直しました。誰もが自分らしくと言っている本人が、自分らしさを隠している。本当にそれでいいのだろうか?世の中を変えたいと思うなら、まず自分から変わらないと。そうして、私はこの本で、同性愛者であることを公表しました。

今日(8月13日)に行なわれる東京レズビアン&ゲイパレードにリンクをはります。

2005年 8月 13日 午前 12:43 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005.08.12

イギリスの多文化主義は健在

Cultures aren't equal ― アメリカの保守派コラムニスト Michael Barone さんの論説(8月8日付け)。ロンドンでの爆破事件以降、イギリスで多文化主義(multiculturalism)への逆風が吹いていると論じている。多文化主義はすべての文化は道徳的に平等であるという嘘に基づいていて、自虐的な価値観を生みやすい、等々、軽薄なことが書き連ねてある。

UK majority back multiculturalism ― 8月10日付けで BBC が伝える世論調査の結果(8月8日から9日にかけて実施されたもの。詳細は PDF)は、Barone の主張が完全に誤りであることを示している。「多文化主義はイギリスをよくしている」と答えた人は62%で、「多文化主義はイギリスの生活様式を脅かしている」と答えた32%の倍近くに上っている。この他、国への帰属意識と旗や王室への忠誠心の間には差があることなどが明らかになっており、興味深い。

先日、アメリカでのイスラムに対する世論調査の結果を紹介したが、その時と同様、政府や右寄りにスピンをかけようとする人たちの思惑にもかかわらず、多くの人々は健全な寛容さを持ち続けているということが見て取れる。

BBC の調査結果については、nofrills さんが詳しく(私のように表層的にではなく)考察しています。リンクとトラックバックします。

2005年 8月 12日 午前 08:19 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.11

サイードの育った街

エドワード・サイードの自伝(注)に、彼が幼少のころ住んでいたカイロの住所が書いてありました。Zamalek 地区、Sharia El Aziz Osman 通り1番地。行ってきました。

写真は、その番地の今の建物(一番右の看板に通りの名が、一番左の看板に番地が書いてあります)と、そこに今住んでいる人たちです。サイードのことは知らないみたいでした。

ザマレック地区はナイル川の中州地帯で、高級住宅地です。ここにある Diwan という書店は、アラブ世界に関する英語書籍がとても充実していました。もう一軒、昨日の写真の Talaat Harb 広場に面した Shorouk 書店という本屋さんもよかったです。ノーベル賞作家のナギーブ・マフフーズ(Nagib Mahfouz)、Sonallah Ibrahim というエジプトの(女性)作家、Mourid Barghouti というパレスチナの詩人の本を買ってきました。どれも The American University in Cairo Press から出版されているものです。

注:Justus Reid Weiner といういわゆるネオコンの人が「サイードの自伝は脚色に満ちている」という趣旨の悪意に満ちた発言を行なっています。そういうのが好きな人のためにリンクを用意しておきました。

2005年 8月 11日 午前 12:02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.10

エジプトでも選挙近づく

写真は、カイロ中心部の Talaat Harb 広場の機動隊です(8月3日)。道の向かい側で野党の支持者が集会を開いていて、その周りを取り囲んでいました。見物人もかなりいたのですが、私は私服警官らしき人から、早く立ち去るように言われました(正確に言うと、身振りで指示されました)。タラート・ハルブ広場では、7月30日にも野党のデモがあり、その際、警官がデモ参加者に暴力をふるったり不当な拘束をしたりしたようです(Human Rights Watch の記事)。

エジプトでは7月に Sharm el-Sheikh の爆破事件があったばかりですし、9月に大統領選があり、その立候補者が出そろった時期だったためか、街には警官や機動隊、兵士の姿が目立ちました。今回の選挙ははじめて複数の候補者が競う形のもの(今まではホスニ・ムバラク大統領の信任投票だった)だということです。現政権への不満は大きいようですが、「どうせムバラクが勝つに決まっている」という予想があり、選挙への関心はかなり低いようでした。

新聞やテレビは政権の広報部のようなものだし、投票でも不正が行なわれるに違いない、と考えられているようです(「投票箱は木製なんだ。あらかじめムバラク票が入れられても分からないんだ」と言われました)。日本でもマスコミにはオルタナティブな視点からの報道が期待できないし、考えてみると投票箱も中が見えないので疑い出せばきりがないわけですが、まあ、それとは不満や不信の度合いが違うのだと思います。  

2005年 8月 10日 午前 08:10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.09

旅行帰りの人にインタビュー

どこに行ったんですか? ― エジプトです。

どんなところでしたか? ― エジプト人がたくさんいました(注)

天気はどうでしたか? ― 暑かったです。

何をしましたか? ― う~ん、エジプトは最近テロがあっただけでなく、アフリカ《貧困》の中にあって、北隣はパレスチナ《占領》、南隣はスーダン《内戦》ですが、そんなことをあまり考える間もなく、観光ばかりしていました。実は観光地じゃないところにも行こうと思ったのですが、通訳の人が見つけられなくて、あきらめました。

注: このパターンは、ほとんどどの国や地域についても使えるアラブのジョークらしいです。その村ではじめてヨーロッパに行った長老に村の子どもたちが聞きました。「ヨーロッパってどんなところだったの?」「ヨーロッパ人がうじゃうじゃしていたよ」等々。

2005年 8月 9日 午前 08:51 | | コメント (3) | トラックバック (0)

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