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2005.04.10

版面権と青空文庫

青空文庫の受難の季節は、予想よりも早くやってきました。

文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開」 ― 活字文化議員連盟が超党派の議員立法として今国会に提出する見込みの「文字・活字文化振興法案(骨子案)」とともに民主党のひだ美代子議員のサイトに掲載されています(紙の読売新聞4月1日朝刊4面と表記上の微差を除き同文)。この中で出版活動への支援施策として「版面権の創設(出版者の固有の権利)」が掲げられています。

出版者の権利について」 ― 社団法人日本書籍出版協会著作・出版権委員会が2002年にまとめた報告書。版面権とは、文化庁の吉川著作権課長が2004年9月30日の著作権分科会法制問題小委員会で「出版社に…複写された場合に報酬請求できるというような、そういう権利」を認めることだと要約しています。もう少し詳しい定義を求めて、その創設を求めている日本書籍出版協会のこの報告書を見ると、以下のように定義されています。

権利の種類 著作隣接権
権利の性質 原則としては、許諾権を考える
保護される出版者 発意と責任を持って出版物の企画から発行に至る活動を全体として行う者
保護内容 出版物の版を利用して以下の行為を行うこと
[1]複製(複写機器・写真機器等による複製、電子媒体への入・出力) [2]公衆送信 [3]譲渡 [4]貸与
権利行使のあり方 集中的な管理が相応しい場合等には、報酬請求権的な行使を考える
保護期間 50年(他の著作隣接権に準じる)

権利の所持者に関しては「著作物等の情報を最初に出版物上に固定した者」という案もあったが、それは採らないとされています。

具体的な場面を見ると、「版面をOCR入力によりデジタル化してテキストデータとして利用する場合」 が「出版物の版面構成が、二次利用の媒体への著作物等の取り込みに直接使用され、二次利用の媒体においても、その版面構成がそのまま利用される」場合の例とされ、これには版面権が及ぶとされています。一方、「筆写」は「出版物の版面構成が、二次利用の媒体への著作物等の取り込みに使用されず、二次利用の媒体においても、その版面構成が利用されない」場合の例とされ、これには「出版者の権利として主張するのは難しい」としています。

この法案が通ると、キーボード入力して青空文庫に収録するのはOKだけど、OCRを使って入力したやつはダメということになるのでしょうか。で、遡及効?う~む。 

文字・活字文化振興法については、辺境から戯れ言経由で、StarChartLog の「文字・活字文化振興法」骨子案で版面権創設が語られているで知りました。トラックバックを送ります。

2005年 4月 10日 午前 11:45 | | この月のアーカイブへ

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テレビと本で、出版社が版面権を望んでいることについて、ちょっと書いたけれど、まさか認められるとは思わないで、書いていました。 壊れる前に「版面権と青空文庫」で、法案提出の動きを知ってびっくり。 ...... 続きを読む

受信: 2005/04/10 20:23:52

» 10/27「文字・活字文化の日」をきっかけに考えてみた トラックバック WWW.SEIJIK.INFO/2005
ひだ美代子のホームページにあった「文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開」という文書。ここには「版面権の創設」との文字がある。この版面権に関してだけは、あまりにもセコイのではないかと僕は思う。反対である。柔軟な活字文化発展のためにも認めないほうが良い。... 続きを読む

受信: 2005/11/09 9:31:57

コメント

> この法案が通ると、キーボード入力して青空文庫に収録するのはOKだけど、OCRを使って入力したやつはダメということになるのでしょうか。

このキーボード入力とOCR入力の区別ってどうつけるつもりなんでしょうね……

あと、この問題は「[3]出版物の版面構成が、二次利用の媒体への著作物等の取り込みに直接使用されるが、二次利用の媒体においては、出版物の版面構成とは異なる形で利用されるもの(例:版面をOCR入力によりデジタル化してテキストデータとして利用する場合等)。」の方ですよね。あれ? と思ったので、補足しておきます。

投稿: 大久保ゆう | 2005/04/13 7:53:10

大久保さん、ご指摘ありがとうございました。間違った個所をコピーしていました。後で直しておきます。

投稿: うに | 2005/04/13 22:39:39

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