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2005.03.04

貧困の影

UNICEFChild Poverty in Rich Countries 報告書を読みました。豊かな国に広がる貧困。日本では平均の半分以下の所得しかない家庭に育つ子どもが14.3%いるそうです。アメリカやメキシコの20%台よりは少ないですが北欧諸国の5%未満という数字には遠く及びません。

14.3%という数字が大きいのか小さいのかを考えるにあたり、報告書からグラフを一つ引用します(報告書の内容は出典表示― UNICEF, 'Child Poverty in Rich Countries, 2005', Innocenti Report Card No.6., UNICEF Innocenti Research Centre, Florence.―の条件で自由に複製が認められています)。

縦軸は、上へ行けば行くほど貧困の度合いが大きく、横軸は、右に行けば行くほど社会保障関連の財政が手厚いことを示しています。こうやってみると、日本は非常に手薄な社会保障体制で貧困をそこそこ防ぐことに成功していると言えます。逆に言えば、もう少し手厚い保障をすれば、劇的に貧困を押さえ込むことができるはずです(このグラフに関して特に「日本では時に雇用主によって社会的な援助が行なわれるので、実質では助成額はずっと高くなるはずである」という注が付いていますが、具体的に何を指し示しているのか分かりませんでした)。 

報告書はまた、90年代に日本では貧困率が2.3%上昇したとしています。ユニセフの貧困の定義(その国の平均所得の半分以下)は相対的ですが、絶対的な値ではどうでしょうか。厚生労働相の統計を使って、所得層の推移をグラフにしてみました(厚生統計要覧の第1-58表Excelデータを加工)。世帯の所得を200万円ごとに層に分けてみます。が低所得層(400万円未満)、が中所得層(400万円から800万円)、が高所得層(800万円以上)です。高所得層が減り続け、中所得層が横ばいの中、低所得層が増加傾向にあるのが分かります(やっている本人は大まじめですが、きっと多くの人には“今さら”な統計ですね、これ)。

各年度の平均所得と中央値(どちらも万円)は以下のとおりです。もっと新しい数字がどこかにあるのかもしれません。見たいような、怖いような。

年度 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002
平均値 661.2 657.7 655.2 626.0 616.9 602.0 589.3
中央値 540 536 544 506 500 485 476

2005年 3月 4日 午前 12:01 | | この月のアーカイブへ

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コメント

こんばんは。

とても興味深いグラフの提示、参考になりました。
私は医療機関で働いていますが、保険証から患者さんの経済状況など良く分かるんです。

最近は30歳過ぎても、(国民健康保険の)親の扶養家族に入っている人が珍しくありません。
それに国民健康保険が増えてきているような気もします。
昔は低所得の親を子どもが扶養するのが当たり前でしたが、最近は職が無いとか、リストラされたりとかで、年金暮らしの親に養ってもらうケースが多いのです。
そんな若い世代が歳をとった時、どんな生活が待っているかと思うと、国はこれ以上社会保障制度を後退させてはならないと思います。

投稿: nanaya | 2005/03/05 21:35:46

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