動き出した著作権保護期間見直し
青空文庫呼びかけ人の富田倫生さんからメールをいただいた。11月26日に開催された文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の審議状況が公開され、それによると議論は著作権保護期間の延長の方向に見切り発車的に動き出しているのではないかということである。
試される。(ココログ mix)ブログに、配付資料「著作権法に関する今後の検討課題(素案)」がテキスト化されて掲載されている。保護期間延長関連の部分を抜粋する:
【資料】
著作権法に関する今後の検討課題(素案)
1.基本問題(法制問題小委員会)
(6)保護期間の延長
・著作者の死後50年→70年への延長等
・いわゆる戦時加算特例の廃止
zfyl ブログに、当日の発言のようすが掲載されている。保護期間延長関係の発言(戦時加算の問題以外)は以下にあげる二つだけだ:
小泉直樹委員:「1.(6)も非常に重要な問題。権利関係の大きな変動をもたらすので、慎重に検討頂きたいが、個人的な考えを言うと、延長されたとしても、遡及しないで、既に権利が発生しているものについては適用しない政策をとることをお願いしたい。」
苗村憲司委員:「小泉委員からもあった1.(6)について。これでは保護期間が延長されると読めるので、タイトルを「保護期間の見直し」として頂いた方が誤解がないと思うが。いずれにしても、この部分だけ明確に「延長」となっているので。延長するかどうかも含めて慎重に検討して頂きたい。」
保護期間延長に賛成の意見が全く見られなかったパブリックコメントの結果が十分に検討されたとは言いがたい状況だ。ぜひとも今後、これらの慎重意見をふまえ、あくまでも延長は一つの可能性である(に過ぎない)という姿勢での審議を望みたい。
今後の審議日程には、12月22日の小委員会で「著作権法に係る検討事項(案)」の検討を行ない、1月の小委員会で確定するとある。法制化にむけては、吉川晃文化庁著作権課長が2006年度の国会提出を目論んでいる旨の発言をしている。いったん法案が提出されてしまえば、もっと言えば文科省内で法案作りが始まってしまえば、それを止めるのは非常に困難だ。ぜひとも審議会での検討段階で、保護期間延長を白紙に戻すように、より強く私たちの声を届ける必要がある。
2004年 12月 2日 午前 03:21 | Permalink | この月のアーカイブへ
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受信: 2004/12/06 10:10:51
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コメント
バナーを頂戴して私のページにはり、そこからここにリンクしました。
意見募集に際して、文化庁に送ったコメントも、置いておきました。
ハンマーを固く握りしめています。
投稿: 富田倫生 | 2004/12/03 23:59:14
富田倫生氏が、Aozora blog で紹介されている、ローレンス・レッシングさんの Flash ファイルを「読み」ました。例えば、自衛隊派遣延長がなし崩しで決められたりする、どこともなく管理的・抑圧的な傾向に、アメリカでも心痛める人たちがおられるんですね。
http//ittousai.org/lessig/lessig_free_culture_japanese_1.1.swf(8.45MB)
昨今の「苦戦」しがちな状況にせめてもの思いでバナーを張りました。がんばりましょう!
投稿: ゼファー生 | 2004/12/13 2:28:08