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2004.12.31

行く年来る年

年の変わり目にあたり、青空文庫新着情報RSSを生成するスクリプトに手を加えました。思えば、私の2004年は、元旦に思い立ってこのスクリプトを作ることで始まったのでした。

青空文庫のサイトでは、新規公開作品の一覧表のページも「そらもよう」のページも、年が変わると旧年中の公開作品や告知が表示されなくなってしまいます。今までは最新の一覧表と「そらもよう」だけを読み込んで解析するようにしていました。今回、年が変わってしばらく(たかだか数日間ですが)の間は年末の情報もフィードに反映されるようにしました。

…というか、「反映されるようにしたつもり」です。部品ごとの動作チェックはやったのですが、実は全体の検証をやっていません。うまくいくかは年があけてのお楽しみ。まあ、ダメだったらダメだったで、なんくるないさあ!

2004年 12月 31日 午前 12:02 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2004.12.30

ビルマの被害は?

ビルマ(ミャンマー)における津波の被害は軍事政権による情報統制のため、ほとんど報じられていない(ユニセフなどによる「最低90人死亡」が現在のところ大手メディアでの唯一の数字である)が、ベンガル湾とアンダマン海に面して二千キロの海岸線を持つビルマ(地図)がかなりの被害を免れなかったであろうことは想像に難くない。

官営の The New Light of Myanmar は、、ラングーン(ヤンゴン)近郊のイラワジ川(エーヤワディー川、Irrawaddy, Ayeyawady)の河口地域を政府の高官が視察し、食料や薬品等を支給したことを報じている。被害を受けた多くの村の名前が挙げられているが、それぞれについて、死者は数名から十数名と書いている。

反政府系の The Irrawaddy はイラワジ川デルタ地帯および南部に延びるテナセリム(Tenasserim)地方に被害があったこと、ユニセフと国際赤十字がビルマ政府から支援の要請を受けていないことを報じている。

反政府系の Democratic Voice of Burma は、Aungba という村だけでも100名以上の死者が出たと伝えている。

隣国タイの話になるが、バンコクの「お金持ち向けの病院」で働いている元留学生から私信で、プーケットからの患者が運び込まれてきていて多忙、現地の病院の状態を想像するだけで倒れそうになる、とあった。

2004年 12月 30日 午前 12:08 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.29

アチェの状況

Govt opens Aceh to foreign journalists, aid workers ― The Jakarta Post の記事。援助団体や報道機関がアチェに入ることをインドネシア政府が認めた。ただし、許可証の発行に時間がかかるらしい。28日朝の段階では、インドネシア国外からの援助団体は依然としてアチェに入ることを許されていないと報じられていた。 GAM (Free Aceh Movement)による分離独立運動封じ込めのため、緊急事態令が敷かれているからだ。直接、海外からの援助を受け入れる代わりに、インドネシア政府はアチェ各地に緊急援助センターを設置したが、それでは不十分だと批判が起こっているという。

28日午前の別の記事は、27日夜11時半になっても、アチェからは被害状況の公式な報告が入っていないと伝えている。28日夜の記事では、Meulaboh という町から、残っているのは20%の建物のみだとの連絡が入ったと伝えている。 

インドネシア国軍(TNI)とアチェの分離派(GAM)が、それぞれ、災害対策のため、停戦することを発表したという記事もある。オーストラリアのデイリー・テレグラフ紙は、これが和平につながるのではないかという希望を述べている。そのためにもユドヨノ大統領は援助物資の自由な搬入を認めるべきだとしている。

日本では、インドネシア民主化支援ネットワークアチェの被害者へのカンパを募っている。

今回の地震と津波の義援金集約先については、スマトラ地震救援情報ブログ(トラックバックをいただいた食べる・聴くブログからたどっていきました)や志葉玲さんのブログにさまざまな NGO の取り組みが紹介されている。

2004年 12月 29日 午前 12:00 | | コメント (1) | トラックバック (4)

2004.12.28

スリランカの津波被害

スリランカの英字新聞サイトらしきところを見て回る。

ColomboPage の記事 ― 死者を一万人超、家を失った人(displaced)を200万人近くと報じている。Chandrika Kumaratunga 大統領が、全国で一週間の喪に服すことを宣言したらしい。また、緊急に援助が必要な物資として、テントや毛布、布、インスタント食品、浄水剤、小麦粉、豆類、米、鎮痛剤、抗生物質、包帯、縫合用品、使い捨て注射器、静脈注射(生理食塩水とブドウ糖)、発電機が挙げられている。

Daily News の記事 ― 甚大災害が宣言されたことを伝えている。大統領が国民に、違いを忘れて助け合おうと呼びかけていると報じている。スリランカ史上最悪の災害と形容しているほか、スリランカでも地震の揺れが感じられたことを報じている。

TamilNet のスリランカ地図 ― クリックで拡大して見ることができる。政府と対立する Liberation Tigers of Tamil Eelam も非常事態宣言を発令したと報じている。

その他、イギリスで発行されている Voice of Lanka や、ムスリム系住民の Muslim Guardian、仏教徒系らしい Lanka Web などにも津波関係の記事が見られる。

当然のことながら、見て回るうちに、タミール解放の虎のサイトや、それに対立するシンハラ系のサイトなどにも足を踏み入れることになる。

2004年 12月 28日 午前 12:05 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.27

赤十字のスマトラ島沖地震義援金

日本赤十字社のスマトラ島沖で起こった地震での義援金の受付は郵便振替 00110-2-5606、加入者名は日本赤十字社。通信欄に「スマトラ島沖地震」と書いてくれとのこと。

27日午後6時半現在、日本赤十字社のサイトにはまだ義援金受付開始が告知されていないが、電話にて確認。義援金の受付はいつもこの口座を用いているそうだ。

12/28 未明追記:義援金受付の告知が出ました。郵便局窓口なら手数料免除とのこと。(新潟の時、ATMで送金したら、しっかり手数料を取られました。ご注意を。)

2004年 12月 27日 午後 06:54 | | コメント (0) | トラックバック (2)

米軍による拷問の新たな資料

US disclosures signal wider detainee abuse ― ボストン・グローブ紙の記事。American Civil Liberties Union などの人権団体が情報公開法に基づいて請求した政府資料で、アフガニスタン、イラク関連の取り調べでアメリカ軍がこれまでに知られていたよりはるかに広範囲に拷問を行なっていたことが明らかになった。

資料には、猛犬をけしかけたり、大音量で音楽を長時間にわたって休みなく聞かせたり、長時間うずくまった姿勢のまま鎖につなぎその場で排泄させたり、極度に寒い部屋と暑い部屋の間を行き来させたり、等の取り扱いが記載されているという。また、これらの捕虜の取り扱い方法が国防省の次官レベルで承認されていたことを伺わせるメモも含まれている。

ACLU のページは、2003年8月にティクリットでアメリカ陸軍に拘束された Obed Hethere Radad さんが拘束中に殺害された事件で、殺害を実行した兵士が軍法会議にもかけられず除隊処分になったことや、2003年12月にモスルで拘束された Abdureda Latifa Abdul Kareem さんが拘束中に暴行を受けて殺害された事件で、解剖が行なわれず原因が究明されなかったことをあげ、重大な人権侵害がアメリカ軍によって行なわれていたとの見方を示している。

2004年 12月 27日 午前 09:22 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.12.26

南米の環境破壊と日本の銀行

Paving the Amazon with Soy ― Sasha Lilley さんによる ZNet の記事。ブラジル西部、アマゾン水系の源流にある Mato Grosso 州で、熱帯雨林やセラード(cerrado)と呼ばれる熱帯草原が開墾されて大規模な大豆畑や遊牧地に化している。世界銀行(World Bank)の態度がその自然破壊への道を開いたと論じている。

大豆の需要が増えているのは、BSE の影響で牛の飼料としての引き合いが増えたため(ただし、合州国での豊作等によって、現在は値が下がっている)。世界銀行の関わりは、その外郭団体である International Finance Corporation を通じてである。マトグロソで大豆生産・取引を一手に行なっている Maggi グループという企業体に IFC が融資を行なった際、環境への影響が少ないという査定をしたため、ヨーロッパや日本の銀行がそれにならって Maggi グループの企業に総計2億3千万ドルもの融資を行なった。Maggi グループは世界最大の大豆生産企業であり、マトグロソ州の知事はその所有者である。この融資を行なった銀行群には、日本のUFJ銀行も含まれている。

世界銀行が監査するIFC の融資は世界の金融市場から資金を調達することのできない発展途上国の私企業に公的な資金を投入することであり、巨大な Maggi グループへの融資はその意義付けから逸脱している。また、銀行からの融資によって Maggi グループと Maggi 州知事はマトグロソでの道路や鉄道等インフラ整備を行なっており、それがさらなる環境破壊を招いている。

熱帯雨林の破壊とアグリビジネス、世界銀行や国境を越えた金融、そして狂牛病と、現代を語る際に欠かすことのできない役者がそろった話であるように思います。さて、私の預金もUFJ銀行にあるのだけれど、どうしたものでしょう。話を知らないだけで、ほかの銀行も同じようなことをやっているのではないかと思ってしまい、違う銀行にしようというほうに考えが行かないのですが…

2004年 12月 26日 午前 12:02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.25

ニューモント社の内部告発

Mining Giant Was Warned on Pollution in Indonesia ― ニューヨークタイムズ紙の22日付けの記事。署名は Jane Perlez さん。インドネシア、スラウェシ島での汚染の状況について、ニューモント(Newmont)社が2001年から知っていたことを裏付ける内部資料があると報じている。

入手した資料の一つは、当時の副社長、Lawrence T. Kurlander 氏が「ニューモント社はアメリカやインドネシアの環境基準を遵守していると公言しているが、実際は違う」と告発したもの。インドネシアのみならず、ペルーやウズベキスタンでの操業に関しても懸念を表明している。

ブイヤット湾では、ニューモント・ミナハサ・ラヤ鉱山から17トンもの水銀が空中に放出され、16トンが海中に投棄されたとされているらしい。ニューモント社はこの数字自体は否定していないが、環境への影響はなかったと主張している。この記事で紹介されている資料では、ニューモント社の調査でも人体に差し迫った影響があるという査定が出されていたと言う。汚染防止の機器(洗鉱器:scrubber)等も十分に機能していなかった。元役員の証言では、コストを下げ、収益を上げるために環境を犠牲にする方針が本社から出されたという。

気化した水銀は熱帯では食物連鎖に入りやすく、危険が大きいという専門家の意見が紹介されている。国立水俣病研究所の坂本峰至研究室長がブイヤット湾には水俣病はないと断定したという話を以前紹介したが、この記事では坂本氏が、ブイヤット湾がニューモント社の廃棄物で汚染されていると考えられ、「環境は完全に破壊されていて、人々は病気だ。しかし、病気の原因は定かではない」と発言したことを伝えている。

このブログでは、ニューモント社の問題を以下の記事で扱ってきた。

2004年 12月 25日 午前 10:53 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.24

ヘミングウェイのクリスマス

Ernest Hemmingway の文体をまねたクリスマスの物語。ほんと、とてもよく雰囲気が出ています。1927年にユーモア作家の James Thurber が書いたもの。Metafilter で紹介されていました。

救い主の生誕を祝う人にも、そうではない人にも、この日が愛と希望と喜びに満ちた平和な日でありますように。

2004年 12月 24日 午前 12:09 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.23

ニューヨークタイムズの一面広告

WAR IS OVER!
IF YOU WANT IT
Happy Christmas from John & Yoko
"Don't need a sword to cut through flowers" J. L.
yoko ono, new york city

という広告が12月20日付けのニューヨークタイムズ(15ページ目)に掲載されたそうです

2004年 12月 23日 午前 09:10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.22

ハンガリー兵、イラクを去る

イラクに駐留していたハンガリー軍が撤退を完了した。12月31日に期限切れとなる派兵の延長が国会で認められなかったからである。ハンガリー軍はバグダッドとサマワの真ん中付近のヒッラ(Hilla)という都市に駐留し、非戦闘任務、主に多国籍軍の兵站輸送を行なっていた。規模は300名程度。

ハンガリー政府は3か月の延長を目論んでいたが、国会でその提案が否決された。国連による新たな決議が必要だという理由である。11月にその話を聞いた時、日本の派兵延長も国会で議決されるのだろうと私は思っていた。どうやら共産主義の軛から脱して15年のハンガリーには、日本よりも強靱な民主主義がすでに根付いているということのようだ。

十月にハンガリーのジュルチャーニ首相が来日する際に資料の翻訳を手伝った縁で、撤退の議決が報じられた時、ハンガリーの新聞特派員に話を聞いた。以下、その時の話の要点:

  • そもそも一年前に派兵を決めたのは現在の野党(当時の与党)で、今回その野党の反対によって派兵延長が否決された。
  • 政府は現在の状況では一年間の延長は不可能だと考え、イラクでの選挙実施までという意味で短期間の延長を提案した。
  • 十月にジュルチャーニ首相が小泉首相と会談した際には、撤退や短期間の延長という話は出なかった。
  • 短期間の延長という提案や延長の否決という流れには、東欧の最大国ポーランドの撤退が大きな影響を与えた。
  • アメリカではなくヨーロッパに付くべきだという世論がある。
  • ハンガリーはアメリカに渡航ビザの相互免除協定を申し入れているが、実現していない。その報復という意味もあるだろう。

日本も、日米地位協定の見直しなど、アメリカが難色を示し続けていることによって滞っている2国間案件があり、非戦闘部隊で治安維持にも関わらない形態の派兵を行なっているなど、類似点がかなりあるのに、どうしてすんなり派兵延長がまかり通ってしまったのか、とても不思議な気がする。

2004年 12月 22日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.21

キング牧師とその娘

Daughter misses point of King's legacyWorking for Change に掲載された Byron Williams さんの意見。マーチン・ルーサー・キング Jr. 牧師の末娘 Bernice King さんがアトランタで同性間結婚反対の集会を開いたことを批判している。

キング牧師を我田引水的に引用することによって人種差別等の不正義を正当化するような試みはよく見られるが、キング牧師の娘が同性婚反対という憎しみを助長する運動に父の権威を借りるのは非常に残念だとウィリアムズさんは言う。

ゲイやレズビアン、トランスジェンダーの人たちが払う税金がヘテロセクシャルな人たちのみが享受できるサービスに使われるのは歴とした差別であり、また、キング牧師の生前の言動から、彼がもし今生きていたら同性婚に反対する立場を取ったとは考えられないとし、キング牧師の「バーミンガムの監獄からの手紙」を引用している:

だから、問題はわれわれが過激派になるべきか否かということではなく、どんな過激派になるかということなのだ。われわれは憎しみを掲げる過激派となるのか、愛を掲げる過激派となるのか?われわれは不正義を護るための過激派となるのか、正義を拡げるための過激派になるのか?

この手紙の中でキング牧師は次のようにも述べている。この手紙が書かれてから40年が経った今、この言葉は、より強く私たちに語りかけるように思う:

私はバーミンガムで起こっていることに注意を払わずにアトランタでゆったりと座っていることはできない。どこで行なわれている不正義も、すべての場所での正義への脅威であるのだ。われわれは相互性の網目の中に封じ込まれており、一つの運命の衣に結ばれている。一人に直接影響を与えるものは何でも、みんなに間接的に影響を与えるのだ。われわれはもう、地域的な「よそ者による扇動」などという狭い概念に捉えられてはならない。

2004年 12月 21日 午前 12:08 | | コメント (1) | トラックバック (3)

2004.12.20

サマワの大学生たち

はなゆーさんの記事サマワの大学生たちが日本人にあてたメッセージのことを知りました。要旨は、

  1. 日本はイラクの問題についてアメリカとではなくイラクと話し合いをするべきだ、
  2. 自衛隊が今やっている活動はイラク復興に全く役立っていない、
  3. イラクは一方的な援助を求めているのではなく、対等な関係を築きたい、
  4. サマワの治安は安定しており、自衛隊が活動を限定する理由にはならない、
  5. 殺害や拉致はイスラム的でなく、外国人テロリストの仕業である、
  6. イラクが自分たちの手で問題を解決することのできる国だと考えてほしい、

というものです。特に3番目と6番目の点は、日本国内では、派兵・復興支援などの言葉で論じる際に、意図はどうであれ、かなり後ろに追いやられてきてしまったのではないかと思います。

恥ずかしいことに、私はサマワに大学があるかないかなど、考えたこともありませんでした。思うように情報を見つけることができないでいるのですが、サマワには高等教育機関が三つあって、どれもインターネットにつながっているようです(デンマーク陸軍のサイトの情報)。今回メッセージを共同通信社に寄せたのはムサンナ教育大と科学大の学生たち。イラクの大学生たちと日本の大学生たちが話し合えるような場を作ることはできないかなぁ、と思いました。

2004年 12月 20日 午後 12:06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.19

ダルフールは大丈夫か

スーダンのダルフール情勢が再び緊迫している模様です。この2週間の間に膨大な量の武器や弾薬が運び込まれており、政府・ジャンジャウィード側が大規模な攻勢に出るのは時間の問題だと報じられています(ワシントン・ポスト紙BBC)。

治安監視団を派遣している African Union の  Festus Okonkwo 司令官は、政府・ジャンジャウィード側と反体勢力側(SLA、JEM)のどちらもが停戦合意を違反し、兵力増強を行なっていると語っています。反対勢力側によるNGOへの攻撃も確認されています。

African Union は双方に対し、直ちに戦闘をやめるように警告を発しました(ロイター電)。日本時間で日曜日の午前2時以降、停戦合意違反行為はすべて国連安保理に報告されるとのこと。

最新のロイター電は政府軍が撤退を始めたと伝えています。情勢が好転するとよいのですが。

19日8時追記:アルジャジーラの記事によると、スーダン政府の Mustafa Osman Ismail 外相が撤退拒否を明言したそうです。

2004年 12月 19日 午前 12:02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.18

生ハムとスルメ

立食パーティーで、学生が私の皿を見て「先生、それ生ハムですか?」と聞いてきました。「普通のハムだよ」と言ったら、「先生が食べてると生ハムに見えますね~」「おー、高級感が漂ってるだろ」「ですね~」。

生身の私を知っている人は眉に唾を付けたくなったかもしれませんが、本当にあったやり取りです(まあ、めったにないかもしれない)。一瞬、気をよくしたのですが、考えてみると、いつの間に自分はそんなプチ・ブルジョアの雰囲気を身につけてしまったのだろうと悩むことしきり。アイデンティティの危機か。

私の考えは社会の尺度からすればかなり「左」に寄っていると思いますが、党やセクトや市民団体に属したことはありません。そういう面で立つ位置は違うのかもしれませんが、草加耕助さんのブログ「旗旗」の「ついにこの話題に言及-北朝鮮と拉致問題-」という記事を読んで、ものすごく心にしっくり来るものを感じました。重要な人権問題でありながら、国家主義的な考えの人たちに言説を完全に乗っ取られているという思いは私もあります。そして、「左」という位置が私たちがこの問題に関わっていくことの障害になってきたということも。以前書いた、「左-右」だけではなく「自由意志尊重-権威・独裁主義的」という座標軸も必要だという話を思い出したりもしました(テストを全部やるのは面倒な方は、歴史上の人物がどのような位置にプロットされるかを見るだけでも楽しいと思います)。

食べ物の話に戻します。草加さんの記事より引用:

「古き良き革新」と「懐かしの左翼」の共闘で、黒目さんが付き合っておられるような「新しい人々」を支えて、「一足飛びに回帰した人々」や「ピースな人々」の群れの中に飛び込み、国家という存在に対峙できたらいいなあ。日本政府とかそういう狭い意味ではなくてね。歴史的・過渡的存在としての国家そのものと。私は時間さえ許せばいくらでも「新しい人々」の手足になって働くよ。
それで飲みにいったら若い人々に囲まれながら「おっちゃんの言うてることもう古いわー」とか言われて「何ぬかす。まだまだ時代は変わっとらんわい」とか実は嬉しそうにスルメ齧りながら赤い顔して酒のんでる左翼オヤジを目指そっと。

やっぱりスルメよね。

2004年 12月 18日 午後 03:38 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2004.12.17

元慰安婦裁判控訴審

東京高裁で12月15日、中国人元従軍慰安婦4人が日本政府に損害賠償を求めた控訴審の判決が出ました。結果は棄却。戦後に立法化された国家賠償法施行前の国家犯罪について賠償責任はないという、かなり技術的な理由です(毎日の記事日経の記事)。ジャパンタイムズによれば、当日は判決の言い渡しのみで閉廷が宣言され、判決理由等の朗読は行なわれなかったそうです。

一審が事実認定を回避したのに対し、この控訴審では、日本軍による強制連行、監禁、強姦などの加害事実を原告の主張に沿って認定しています。原告の方々の無念を思うと、安易に「一歩前進」と言うことはできませんが、社会が急速に反動化し歴史修正主義者たちが跋扈する中で、このことは一定の評価ができるのではないかと思います。また、中国人による個人請求は不可であるという国側の主張を斥けた点も注目に値します。

中国人戦争被害者の要求を支える会声明にあるように、行政当局がこの判決を重く受け止め謝罪と賠償を行なうことを私も要望したいと思います。上告審をしっかりと見守って応援していきましょう。

2004年 12月 17日 午前 12:03 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.16

北朝鮮の核開発

Did North Korea Cheat? ― Foreign Affairs 誌の 2005年1/2月号に掲載された Selig S. Harrison さんの論文。

2002年10月に合州国政府は北朝鮮が核弾頭用のウラニウム濃縮を行なっていると主張したが、その根拠は薄弱で具体性がなく、北朝鮮が行なっていたのはせいぜい、軍事目的には適さず、核拡散防止条約でも認められている低濃縮であったと論じている。アメリカはイラクの“大量破壊兵器”の時と同様、ありもしないものをでっち上げ、「最悪のシナリオ」をまるで明々白々な事実のように誇張してみせたということである。

その結果、北朝鮮は態度を硬化させ、プルトニウム抽出実験を行なうに至ったと見られる。こちらに関しては事実関係が明白であり、蜃気楼のようなウラン濃縮の話よりもずっと深刻である。合州国は政策を変更し、プルトニウムの問題を最重点に扱うべきであると主張されている。

北朝鮮の閉鎖的な政策に惑わされ、疑心暗鬼になってまともな判断ができなくなっているのは合州国政府だけではないように思われる。そして、「緊張緩和と、お互いが徐々に歩み寄ることによってのみ、真実が知られるようになる」のは、核開発問題だけではあるまい。

2004年 12月 16日 午前 07:37 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2004.12.15

グーグルによる図書館の電子化

Google がミシガン大学図書館、ハーバード大学図書館、などと提携し、非常に大規模(総計1,500万冊以上)な書籍の電子化に取り組むというニュース。ブログでは既に TeleRead や Stella さんの StarChartLog が取り上げています。

12月14日 22:30 現在、University of Michigan のサイトに大学側の報道資料が掲載されています。700万冊の蔵書を Google が電子化し、そのエンジンを通じて検索できるようにするとされています。書籍まるごとの閲覧などが学外からできるようになるかについては、「公立大学としての使命に沿った形で電子化資料を提供する。例えば、大学は複写やダウンロード可能なテキストに加工するなど、図書館利用者の便宜を図ることが考えられる」という、ちょっと微妙な書き方がされています。

14 日 23:00 (アメリカ東部時間で 14 日朝 9 時)、予告通り、Harvard University Library にも発表FAQが出ました。ハーバードでの当初のプロジェクトは 4 万冊に限られたものです。時期は明らかではないものの、パブリック・ドメインの書籍については学外からも参照できるようになることが明記されています。

New York Public Library の報道発表は、パブリック・ドメインの書籍の“フル・テキスト”が無料で入手可能になると書いています。

これを書いている時点(15日0時直前)では、スタンフォード大学オックスフォード大学のサイトにはまだ何も掲載されていないようです。Google のプレスリリースもまだみたいです。完全なテキスト化がされるのか、それとも画像+キーワードの形になるのか、フォーマットはどのようなものになるのかなど、気になる諸点はまだ謎のままです。

「図書館利用者のプライバシーは守られるのか」「英語資料の寡占状態がより深刻化するのではないか」「著作権保護期間延長で20世紀が空白の世紀になってしまうのではないか」など心配はありますが、いよいよ本の未来がやってきたという感じです。もしかすると、今日が 21 世紀の本当の始まりなのではないかと思ったりします。 

2004年 12月 15日 午前 12:04 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2004.12.14

ワンガリ・マータイの受賞スピーチ

Guerrilla News Network ― Oslo Diary: Maathai's Moment に今年のノーベル平和賞受賞者、ワンガリ・マータイ(Wangari Maathai)さんの授賞式でのスピーチの抜粋が出ていた(全文はここで読むことができる)。

木はケニアにおける民主的な闘いの象徴となりました。多くの市民が広汎な権力の濫用や腐敗、環境の不適切な管理に抗するために立ち上がりました。…人々は平和の木植え、良心の囚人の解放や民主制への平和的な移行を要求しました。…

グリーンベルト運動を通じて、何千人もの普通の市民が行動を起こし変化をもたらすための力を得たのです。人々は恐怖や無力感を克服することを学び、民主的な権利を守るために働きました。

私たちは、地球の傷を癒す助けとなる必要、そしてその過程で自分たちの傷をも癒す必要があります。そして、全世界をその多様性と美しさ、不思議さそのままに抱擁するよう求められているのです。より大きな生命の家族に自分たちが属しているという意識を取り戻す必要を私たちが認識できれば、これは現実になります。そのような大きな家族と、私たちは進化の過程を共有してきたのですから。

歴史の流れの中で、人類が新しい意識のレベルに移行すること、より高い道徳的な境地に向かうことが求められる時が来ます。恐怖を振り払い、お互いに希望を与える時です。

そして、今がその時なのです。

ノルウェーのノーベル委員会は世界に対して、平和というものの理解を次のように広げてみろという挑戦を出したと言えます。平等な発展がなければ平和はあり得ません。そして、持続可能な環境の管理が民主的で平和的な場所で行なわれなければ発展はあり得ないのです。このように考え方を変える時が来たのです。

2004年 12月 14日 午前 12:01 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.12.13

これはだれのうさぎ?

ピーター・ラビットの絵本が日本で翻訳出版されたのは1971年のことだったそうです。私はそれよりもちょっと前に絵本年齢だったので、あまりこのうさぎについて、よく知りません。(ちなみに私は『いやいやえん』などで育ちました。)

Project Gutenberg で、最近ビアトリクス・ポッターの絵本が2冊公開されました(画像付きの HTML です)。一冊はまさに The Tale of Peter Rabbit なのですが、さし絵は Virginia Albert という人が描いていて、よく見かけるピーター・ラビットのうさぎの絵とはずいぶん違います。

もう一冊は The Tale of the Flopsy Bunnies という本で、こちらは Beatrix Potter 自身がさし絵も描いていて、なるほど、こっちは私たちがよく知っているピーター・ラビットという感じです。
Project Gutenberg の図書カードに "Copyrighted: no" とあります。Beatrix Potter の没年は 1943 年。イギリスの著作権保護期間は没後70年なので、通常ならまだ保護期間内であるはずです。Project Gutenberg に全面的に信頼を寄せるとすれば、これらの2作品は保護期間切れではなく、著作権者がパブリック・ドメインに置いたことによって著作権が保護されなくなったということだと思います。保護期間切れではないので戦時加算も適用されないと考え、上の二つの挿し絵をここに掲載しました。

福音館書店のページを見ると、イラストについては Frederick Warne & Co. のコピーライトとされています。会社が著作権を所有していたのだとすると、死後ではなく発表から 70年? 『フロプシーのこどもたち』は1909年出版なので、戦時加算約10年を入れても、大丈夫でしょう。『ピーターラビットのおはなし』のほうは、挿し絵画家の没年によっては、戦時加算の関係で日本ではイラストに著作権が残っている可能性があります。ちょっと心配。また、福音館書店のページでは「ピーター・ラビット」という語句には登録商標(TM)の表示がしてありますね(あ、よく見ると、「ピーター・ラビット」ではなく「ピーターラビットTM」だ)。いまひとつ権利関係がよく分かりませんが、私にはこの稿によってだれの著作権、商標権を侵害する意図もないことを付記します。

2004年 12月 13日 午前 12:04 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.12

ブラウザを替えた

デフォルトのブラウザを Firefox 1.0 に替えて一か月ほど経ちました(システムは Windows XP)。この間、やったこと。

ページ内の検索語ハイライト機能(IE では、Google Toolbar で便利に使っていた):Advanced Highlighter Button という拡張機能をインストールし、表示メニューからツールバーのカスタマイズでボタンを加えた。

Google 検索の初期設定を「ウェブ全体から」にする(デフォルトでは「日本語ページから」になっていた):%Program Files% ディレクトリから降りていって、searchplugins フォルダの google.src ファイルで以下の三行をコメントアウト(行頭に #)した。
#   update="http://www.mozilla-japan.org/jp/l10n/search/google.src"
#   updateCheckDays=7
#   <input name="lr" value="lang_ja">

Azur で開く」を右クリックメニューに追加Launchy という拡張機能をインストールし、Documents and Settings、Application Data と降りていった先の chrome フォルダに launchy.xml というファイルを置く。内容はこんな感じ:

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<configurations xmlns="http://launchy.mozdev.org/configurations">
  <application>
    <label>Azur</label>
    <type>1</type>
    <command>C:\Program Files\Voyager\azur\azur.exe</command>
    <arguments></arguments>
  </application>
</configurations>

PDF を表示させる(なぜか、フリーズしてしまっていた):ツール~ダウンロード~プラグイン~PDF のチェックを外す。Acrobat が起動して、文書が表示できるようになった。

ルビ:XHTML Ruby Support をインストール。 

タブ・ブラウジングTabBrowser Extensions をインストール。ただし、これを入れたため、表示できないページが出てしまいました。

表示できないページと言えば、最近、青空文庫に登録された長塚節の「」(3.6MB)が FireFox では開けません。IE だと何の問題もないのですが…

あと、パス名に漢字やかなが含まれているとローカルファイルがダブルクリックで開けない問題、早く解決してほしいなぁ。 

2004年 12月 12日 午前 12:16 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.12.11

ブイヤット湾汚染、法廷へ

インドネシアの Alwi Shihab 厚生相は、11月24日、以前にここでも取り上げた環境調査報告書で PT Newmont Minahasa Raya 社の環境基準違反が明らかになったとして、裁判による決着を図る意向を示した。ニューモント社側は依然として違法行為の事実はないと主張している(Reuters AlertNet の記事)。

11月28日付けの Tempo 紙は、調査報告書が一般公開になったと伝えている。

ニューヨークタイムズ紙は、11月16日の社説で、Susilo Bambang Yudhoyono 新大統領に対し、報告書を全面開示するとともに、その勧告に十全に従い、ニューモント社から賠償を要求することだと論じている。それは決してやさしいことではない。社説はこう結ばれている。

世界中の大きな多国籍企業と同様、ニューモントの触手はインドネシア社会の奥深くにまで届いている。インドネシアは、多くの第三世界の国々と同様、海外の資本は手放したくない。Rachmat Witoelar 環境相が懇願するように言った「インドネシアから投資家を追い出す役目にはなりたくない」というのは本当だろう。しかし、環境省はこうも言った:「被害者には保護を与えなければならないのだ」。それもまた正しい。

12月9日の The Jakarta Post 紙は、ブイヤット湾住民の代表が 環境相、Siti Fadillah Sapari 保健相と会見した際のようすを伝えている。政府による援助が未だ乏しい中、きれいな水の確保もむずかしく、また、ニューモント社によって建てられた病院も休診が多いため役に立っていない。患者たちは依然、医療費を自己負担している。保健相が善処を約束したほか、環境相が現地視察に赴くことが決定したもようである。

12月5日の AFP 電は、インドネシアを訪問し、環境相や Purnomo Yusgiantoro 鉱工業相と会談したニューモント社の Wayne Murdy 会長が司法取引はあり得ないと述べたことを伝えているが、9日の Reuter 電の報道ではそのような取引の提案があり環境相がそれを拒否したことが伺われる。

2004年 12月 11日 午前 12:05 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.10

図書館と啓発

「ハンセン病文学全集」の紹介をここに書いたことを皓星社にご報告したところ、以下のようなお便りをいただきました。取り上げた朝日新聞の記事について:

小社の意図としましては、全国の図書館で(『ハンセン病文学全集』もふくめて)ハンセン病関連書籍を収集すべきではないか、それこそが啓蒙活動というものではないか、というものでした。ところが文学全集の伸び悩みだけがクローズアップされてしまい、少々困惑しています。

皓星社の代表者の方がほかの場所で語った感想も教えていただきました。

患者・元患者さんの著作物は非常に多い。しかし、その多くは周辺に配布されるだけで、誰でもが読めるわけではない。
啓発活動のために、ハンセン病は感染しにくい・差別はいけないという抽象的なパンフレット(厚労省が作成した啓発用のパンフレットのこと)をいくら配布しても、印象は薄い。しかし、こうした生の声は心に響く。「気の毒だ」と思っていた人たちが、実は「雄雄しく人生を切り開いてきた人たち」と分かったとき、差別は尊敬に変わる。
わずか図書館予算の数万円を割いてこうした書籍を集め「ハンセン病コーナー」というものでも作ってほしい。利用者に知らせ、薦めてほしい、それが何よりの「啓発」ではないか、といいたかった。

いただいたお便りには、限られた新聞紙面に記事をまとめざるをえなかった記者への理解とねぎらいの言葉もそえられていました。

私のブログは、新聞のように紙面の制約があるわけではないので、意図を十分に伝えられなかった記事をそのまま紹介することで終わりにする必要はないと思いました。そこで、ご許可をいただいた上で、上の二つの文章をここに紹介させていただきます。

2004年 12月 10日 午前 08:26 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2004.12.09

ムサンナ県の給水事情と自衛隊の撤退

自衛隊がサマワで行なっている給水について、5月19日の参議院イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会で、自衛隊と ACTED が行なっている給水活動を比較した大田昌秀議員の質問に対し、石破茂防衛庁長官(当時)はこう答えています:

それは先生、比較すること自体が無理なのでございまして、フランスのNGOがやっているのは、今も経済協力局長から答弁がございましたが、これは給水をやっているわけであって、浄水をやっているわけではございません。彼ら自身が水をきれいにするという行為をやっているわけではない。彼らがやっておるのは水を配るという行為をやっているわけですね。その水が一体どのような性質のものであるのか、それは私どもうかがい知るところではございません。

給水だけでなく浄水をやっている自衛隊にはイラクに駐留する意義がある、という主張です。しかし、その後の半年間で状況は大きく変わりました。6月以降、外務省のODA草の根・人間の安全保障無償資金協力で、7基の浄水器がムサンナ県に供与され、設置工事が行なわれています(外務省の報道資料朝雲新聞社のニュース記事)。

上記外務省資料では、供与される逆浸透膜式浄水装置(通称:ROユニット)の性能は毎時4トンとされています。24時間稼働すれば、一日の浄水供給量は96トンになり、7基では毎日672トンの安全な水が供給できることになります。この数字は、現在の自衛隊の一日の最大給水量280トンを遥かに上回っています。自衛隊のサマワ駐留の実質的な意義は既になくなったと言ってよいと思います。

自衛隊は給水のほかに道路や学校の補修と医療支援を行なっています。どちらも、実績がしっかりと報告されていないように思えます。補修工事に関しては、毎日約600人を雇用しているという数字が、防衛庁に近い朝雲新聞社の9月の記事にありました。今、自衛隊員自身が行なっている作業が地元に移管されれば、雇用はもっと増えるでしょう。医療は、指導が中心のようですが、何が行なわれているか、はっきりとは分かりません。

日本政府は派兵期間を延長すべきではありません。もし延長するのであれば、「歓迎されている」「感謝されている」といった大まかな言葉だけではなく、それが必要とされる具体的な根拠、それが効果的であるという数値的な裏付けをしっかりと示すべきではないでしょうか。

2004年 12月 9日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (3)

2004.12.08

ゲットー

Returning Fallujans will face clampdown ― Anne Barnard さんによるボストン・グローブ紙の記事。ファルージャの将来は、約束された「民主主義」よりも「警察国家」に近いものになるのではないかと書かれています。

一月末に選挙を実施するためには、これから数週間のうちに住民をファルージャ市内に帰還させなければならない。しかし武装勢力が混入することも防がねばならず、そのために多国籍軍は、住民を一人ひとり、DNA 採取と虹彩認証でデータベース化することを考えているという。住民は名前と住所を書いた名札を常に着用せねばならず、自爆テロへの懸念から自動車は禁止される。治安の保たれる「モデル都市」がファルージャの未来である。

「イラク人は強い部族に付きたがる。我々は強く、気前のよい部族の役を演ずるべきだ」と米軍将校は語る。イラク暫定政府が十分に機能していないとして、米軍将校たちは、すべてが「自分たちの肩にかかっている」と思っている。移動の自由を制限したまま、復興に向け、どのように人々を働かせるかも難題である。軍が雇用を一手に掌握することも検討されている。

これらの計画はまだ検討中の段階で、当然のことながら「うまくいかないだろう」という意見も出ているようです。本気で一月末に選挙を実施するなら、早晩、全貌が明らかになるでしょう。

この話を読んで、ワルシャワのゲットーを思い出しました。そして、これが「モデル」となって多国籍軍の手でイラク全土に押し進められた姿を考えれば、それを「独立国」と呼ぶべきか「占領/植民地」と呼ぶべきかは、答えが明らかな問いのように思えてしまいます。

2004年 12月 8日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.12.07

「ハンセン病文学全集」を図書館に!

ハンセン病で強制隔離された元患者の詩や小説などを集めた「ハンセン病文学全集」(皓星社)がなかなか売れない。頼みの図書館も買い渋る。理由は全10巻(うち既刊7巻)で1巻4800円という価格だ。元患者の高齢化が進む中、発行元や編集委員は「図書館の蔵書として広く後世に残したい」と訴える。

BOOK アサヒコム:出版ニュースより。出版の経緯や収録作品の紹介などの後、記事は次のように終わっています:

ある図書館の関係者は「小さな図書館の予算は限られている。『ベストセラーを読みたい』という市民の要望に応えるのも図書館の役目なのです」と説明する。

加賀さん(全集の編集委員、作家の加賀乙彦さん)は話す。「隔離され、病気や患者たちの真の姿が知られなかったことが差別や偏見を温存させた。この全集には民主主義が見落としてきた問題が記されている。図書館は貸出率だけに目を奪われず、よい文学を残すという使命を果たしてほしい」

私は、ハンセン病患者・元患者の書いた文学作品は「いのちの初夜」の北条民雄(リンク先は青空文庫)ぐらいしか読んだことがありません。「いのちの初夜」には、小説を書こうとしている佐柄木が、主人公の尾田高雄に

「とにかく、癩病に成りきることが何より大切だと思います」
「誰でも癩になった刹那 せつなに、その人の人間は亡びるのです。…けれど、尾田さん、僕らは不死鳥です。新しい思想、新しい眼を持つ時、全然癩者の生活を獲得する時、再び人間として生きかえるのです。」

と語る場面(私にはかなりの衝撃でした)があり、その思想による“救済”(ないし世界の理解)を著者が目指していたのではないかと思うのですが、彼の他の作品を読むと、この佐柄木の言葉とは違う目で世界や自分を見ているようにも思われます。一人の作者の中でもそうなのだから、同じ病気を患っていたといっても、一人ひとり、そして時代によって、異なった生き方、とらえ方をしていることを、きっとこの全集の作品群は教えてくれるのでしょう。

残念なことに、私はハンセン病元患者の人たちの苦難について、ほとんど何も知らずに来てしまいました。そういう問題について知ろうと思った時、助けてくれる、頼れる図書館であってほしいと思います。 

図書館への購入申し込みが書きやすいように、全集の既刊分について少し冗長に書誌情報を記載しておきます。全国の図書館に「ハンセン病文学全集」を!

  • ハンセン病文学全集 第1巻 (小説1)加賀乙彦・編 皓星社 2002/09 ISBN:4774403903 5,040円(税込)
  • ハンセン病文学全集 第2巻 (小説2)加賀乙彦・編 皓星社 2002/10 ISBN:4774403911 5,040円(税込)
  • ハンセン病文学全集 第3巻 (小説3)加賀乙彦・編 皓星社 2002/11 ISBN:477440392X 5,040円(税込)
  • ハンセン病文学全集 第4巻 (記録・随筆) 鶴見俊輔・編 皓星社 2003/03 ISBN:4774403938 5,040円(税込)
  • ハンセン病文学全集 第6巻 (詩1)大岡信・編 皓星社 2003/10 ISBN:4774403954 5,040円(税込)
  • ハンセン病文学全集 第7巻 (詩2)大岡信・編 皓星社 2004/02 ISBN:4774403962 5,040円(税込)
  • ハンセン病文学全集 第10巻 (児童作品) 鶴見俊輔・編 皓星社 2003/06 ISBN:4774403997 5,040円(税込)

ハンセン病・NEWSブログにトラックバックを送ります。

(表紙の画像は電話で皓星社から許可をいただいて掲載しました。著作権の問題を扱うブログとしては、ちょっとビミョーな処理ですが、オビの「もう一つの流れをつくる」という文字の誘惑に負けてしまいました。)

(どんどん話がずれて行きますが… 皓星社のサイトでオンライン・アーカイブという興味深いプロジェクトを発見。)

2004年 12月 7日 午前 12:04 | | コメント (4) | トラックバック (2)

2004.12.06

季節はずれのエイプリル・フール

ブッシュ大統領がカナダ入国時に戦争犯罪で逮捕されたというニュースを先週読んだのですが、この話は一時 Google News でトップで報じられていたのだそうです(Sydney Morning Herald の記事)。スクリーンショットも付いていました。

日本発のニュースはどんなのが考えられるでしょうかね。「防衛庁長官、与党幹事長ら、そろってサマワで散髪。水節約のため、シャンプーはせず」「小泉首相、また靖国神社へ。道に迷っただけと釈明」とか?

2004年 12月 6日 午前 08:27 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.05

中東情勢と弁証法

 『生命に国境はない ― 中東から見える日本-イラク・パレスチナからの報告』 ― 東京出張のついでに、明治大学で開かれた高遠菜穂子さんと森沢典子さんの講演会に行ってきました。

高遠さんのイラク(特にファルージャ)の話、森沢さんのパレスチナの話の中で繰り返し出てきたのは、情報量の不均衡という問題です。毎日イラク人やパレスチナ人の殺害が起こっているのに、世界のメディアではそれが取り上げられないこと、「スンニ・トライアングル」という線の引き方や、イスラエルとパレスチナ自治区とを単純に2色に色分けした地図(実際にはパレスチナ自治区内の多くの部分をイスラエル軍が治安維持地区として掌握し、道路は検問所や封鎖のため、パレスチナ人の居住地は寸断されている)では実情が見えないことなどについて、実体験と豊富な資料を通じ、非常に説得力のある形でお話を聞くことができました。

アメリカ寄りの情報(あるいはアメリカというフィルタを通して流れてくる情報)のみに頼っていたのでは、フェアな判断ができない。だから、少しでもフェアな状態にしようと全国で報告会に取り組んでいるのだと高遠さんは語りました。森沢さんは、この不公平な状態の中で、あたかもパレスチナ人の“自爆テロ”なりインティファーダが対立の元凶だと考えてしまうこと、9/11 を到達点(結果)ではなく起点(原因)だと考えてしまうことを「認識の暴力」と表現していました。

情報の偏りを何とかしたいというのは、私自身ふだんから願っていることなのですが、お二人の話を聞きながら、私はエンゲルスの『空想から科学への社会主義の発展』を思い出していました。エンゲルスは、事象を個別的に、他から切り離して考察することを形而上学的な見方、あるいは常識的な見方とし、それに対して、弁証法とは事象を現実の運動のうちに、相互関係に目を配りながら考察することだと説明しました。ソ連の崩壊(共産主義体制国家の終焉)とともに、私たちは弁証法的な世界の見方も失ってしまったのではないでしょうか。

他のブログ等を見ると、高遠さんの話題には個人攻撃を意図した子供じみたコメントが付くことが多いように思います。私のブログは、読んでいる人もそんなに多くないでしょうから、心配しなくてもいいのかもしれませんが、そのようなコメントに対しては削除の裁量を用いるつもりでいることを、あらかじめ書いておきます。ほかにいくらでも媒体があるのですから、そちらでどうぞ。

2004年 12月 5日 午後 02:08 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2004.12.04

サマワの水

一昨日の毎日新聞に掲載されたイラク意見広告(PDF、525K)を見て、疑問に思ったことがありました(自分も名を連ねていて、そんなことを言うのも変ですが)。右のグラフです。自衛隊の駐留しているサマワは人口15万人ほどの都市です。そこで給水活動を行なって、それが地元住民の7割以上からよい評価を受けている(朝日の記事)というのですが、どうやったら現地の市民に提供する水とほぼ同量をたかだか数百人の自衛隊員で消費できるのかというのが不思議でなりませんでした。

考えたのは:

  • このグラフが間違っている。きっと政府はこんな見栄えの悪い数字を公表しないだろうから、グラフを作った人がいろいろな数字をかき集めて集計した際、何かの間違いが起こったのだろう。(まず、これを疑うのが当然でしょう。)
  • 現地の自衛隊は水をまさに“湯水のごとく”使っている。(だとしたら、税金の無駄遣いです。)
  • イラク人はあまり水を使わない。(生活習慣が違うといっても、そこまで違うのだろうか…)

国会の会議録を調べたり、ずいぶん遠回りをしてしまいましたが、結局、これが本当に政府が出した数字だということが分かりました。

6月29日に内閣総理大臣が衆議院に送付した「衆議院議員井上和雄君提出イラクにおける陸上自衛隊第一次支援群の人道復興支援活動の内容及びその実績に関する質問に対する答弁書」に

第一次イラク復興支援群にあっては、給水に係る活動を終了した平成十六年五月二十六日までの間、合計約八千八百三十トンの水を浄水した。
このうち、約四千三百四十トンについては無償資金協力によってムサンナー県水道局に供与された給水車等に対して供給し、約四百二十トンについてはオランダ軍に対して供給し、及び残余の約四千七十トンについては自家使用をしたところである。

とあります。グラフの数字そのままでした。

国会の議事録を見る限り、この数字が議論されたようすは見つけられませんでした。いずれにせよ、この数字が出て既ににほぼ半年が経っているのですから、そろそろ新たな統計が発表されてもいいのではないでしょうか。皮肉ではなく、実績が飛躍的に好転していることを祈ります。

(内訳は分かりませんが、給水総量としては、11月25日の衆議院、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会で政府の参考人が「一日当たり二百トンから二百八十トン程度を給水」「三月二十六日から十一月二十四日までの間に、計約四万一千トンを給水」と発言しています。自衛隊員が3月26日から5月26日までのペースのまま消費を続けたとすると、この日までの推計自家使用量は 16,017トン。政府答弁の41,000トンというのが浄水総量だとすればこれは39%、ムサンナ県への供給量だとすればこれは28%になります。)

インターネット新聞 JANJAN にこのことを扱った記事(7月27日付け)があります。そこに掲げられた試算を見ると、イラクの人が日本人と比べて水を飲む量が極端に少ないわけでもないし、自衛隊員が日本人としては異常に水を多く使うわけでもないことが分かります。「日本人と比べて」「日本人としては」という尺度が、この文脈で適当であるのかどうかは、私にはちょっと分かりません。

ナンだか・・なア」というブログで、JANJAN よりも早くこの問題を取り上げているのも発見しました。半年遅れですが、トラックバックします。

2004年 12月 4日 午前 12:02 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2004.12.03

延長反対のバナーを作ってみた

とりあえず、著作権保護期間延長反対のバナーを作ってみました。なんとも素人っぽいし、オリジナリティが感じられませんが。png 画像、165 x 50 ピクセル、約8k です。ちょっと左右の幅が大きすぎるかもしれません。背景を透明化したら IE でなぜかうまく表示できなくなってしまったので、白背景です(透明版もこちらに置きます)。よろしかったらコピーしてお使いください。(Creative Commons 風に言うとどういう扱いにしたらいいのでしょうか。ご存知の方がいらっしゃいましたら、お教えください。) 

だれかが作ってくれる、もっとクールなバナーに貼り替える日の近いことを祈りつつ、このブログの左コラム下に貼り付けます。

あ、そうだ、自衛隊派遣のほうも「延長反対」を言わなくてはいけませんね。昨日の毎日新聞にイラク意見広告が掲載されました。まだ募金が目標金額に届いておらず、イラク派兵の期限日、12月14日まで募金を継続するそうです。

2004年 12月 3日 午前 02:09 | | コメント (15) | トラックバック (2)

2004.12.02

動き出した著作権保護期間見直し

青空文庫呼びかけ人の富田倫生さんからメールをいただいた。11月26日に開催された文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の審議状況が公開され、それによると議論は著作権保護期間の延長の方向に見切り発車的に動き出しているのではないかということである。

試される。(ココログ mix)ブログに、配付資料「著作権法に関する今後の検討課題(素案)」がテキスト化されて掲載されている。保護期間延長関連の部分を抜粋する:

【資料】
著作権法に関する今後の検討課題(素案)
1.基本問題(法制問題小委員会)
(6)保護期間の延長
・著作者の死後50年→70年への延長等
・いわゆる戦時加算特例の廃止

zfyl ブログに、当日の発言のようすが掲載されている。保護期間延長関係の発言(戦時加算の問題以外)は以下にあげる二つだけだ:

小泉直樹委員:「1.(6)も非常に重要な問題。権利関係の大きな変動をもたらすので、慎重に検討頂きたいが、個人的な考えを言うと、延長されたとしても、遡及しないで、既に権利が発生しているものについては適用しない政策をとることをお願いしたい。」

苗村憲司委員:「小泉委員からもあった1.(6)について。これでは保護期間が延長されると読めるので、タイトルを「保護期間の見直し」として頂いた方が誤解がないと思うが。いずれにしても、この部分だけ明確に「延長」となっているので。延長するかどうかも含めて慎重に検討して頂きたい。」

保護期間延長に賛成の意見が全く見られなかったパブリックコメントの結果が十分に検討されたとは言いがたい状況だ。ぜひとも今後、これらの慎重意見をふまえ、あくまでも延長は一つの可能性である(に過ぎない)という姿勢での審議を望みたい。

今後の審議日程には、12月22日の小委員会で「著作権法に係る検討事項(案)」の検討を行ない、1月の小委員会で確定するとある。法制化にむけては、吉川晃文化庁著作権課長が2006年度の国会提出を目論んでいる旨の発言をしている。いったん法案が提出されてしまえば、もっと言えば文科省内で法案作りが始まってしまえば、それを止めるのは非常に困難だ。ぜひとも審議会での検討段階で、保護期間延長を白紙に戻すように、より強く私たちの声を届ける必要がある。 

2004年 12月 2日 午前 03:21 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2004.12.01

ボパール+20

これはちょうど20年前の話であり、かつ、現在の話でもある。

1984年12月2日の深夜から3日の未明に、インド中部(デリーの南約700km)のボパール(Bhopal)で米ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation)の工場から大規模なガス漏れ事故が発生した。漏れ出したイソシアン酸メチル(methyl isocyanate, CH3NCO)はボパール市民2万人を殺し、今も12万人以上が失明などの後遺症に悩んでいる。事故後に洗浄等が行なわれなかったため、汚染された土壌からは現在も地下水に有毒物質が混入し続けており、住民の健康を蝕んでいる。インド政府も Madhya Pradesh 州政府も厳しい責任追及を怠たり、被害者の同意もないまま、わずかな保証金で法的な“解決”がなされた。ユニオン・カーバイド社を2001年に買収したダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)は、事故の責任はすべて現地子会社の Union Carbide India Ltd にあるとして、インドで行なわれる裁判への出廷さえ拒否している。

India: Bhopal - human rights in toxic shock ― アムネスティ・インターナショナルによる新たな告発文。上に記したような状況について、「著しい人権侵害が引き続き起こっている」とし、「世界中の人に、ダウ社に現地の浄化対策等を執るよう促すことを呼びかける」としている。

私もその呼びかけに応えよう。以下の文面は、アムネスティの記事や International Campaign for Justice in Bhopal のサイトで見ることができるビデオを参考にして書き、ダウ社に送付した。(送付方法は下記参照。よろしければ、コピーしてお使いください。)

Union Carbide owned the majority of shares of Union Carbide India Ltd. Dow Chemical, which acquired Union Carbide, is therefore to be held responsible for the tragedy in Bhopal. I ask Dow to clean up the contaminated site, to submit Union Carbide to the criminal case, to aid in the economic rehabilitation of Bhopal, and to provide the survivors with long term medical care.

(ユニオン・カーバイド社はユニオン・カーバイド・インド社の株の50%以上を所持していました。ですから、ユニオン・カーバイドを買い取ったダウ・ケミカル社はボパールで起こった悲劇に責任があります。私はダウ社に対して、汚染された土地を浄化し、ユニオン・カーバイド社を刑事裁判に出廷させ、ボパールの経済的な復興を援助し、被害者に長期的な医療を施すことを求めます。)

関連リンクをいくつか挙げる。

このダウ社のページの一番下にある What Do You Think? のリンクから、意見を送ることができる。また、International Campaign のサイトには、各国のダウ子会社等のリストがあり、日本を含むアジア・太平洋地区のページで、電話とファクス番号を知ることができる。 

2004年 12月 1日 午前 12:01 | | コメント (1) | トラックバック (2)

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