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2004.10.12

著作権保護期間延長の動きを止めたい

著作権保護期間の延長を含めた著作権法の変更の可能性に関し、文化庁が意見を公募しています青空文庫呼びかけ人の富田倫生さんの文章で知りました。

現行の著作権法では、第四節(第51-58条)に定められているとおり、著作権の存続期間は著作者の死後50年を基本としています。このため、原民喜(1951年没)や峠三吉(1953年没)の作品は、だれもが出版することができ、実際にボランティアの人たちの手によって青空文庫でも公開されていますが、下村湖人(1955年没)や高村光太郎(1956年没)の作品は、まだ保護期間中であるため、その作品の入手可能性は出版社の採算見込み次第ということになります。

文化庁の求めに応じて意見を提出した社団法人音楽出版協会等の業界団体の多くは「70年の保護期間が欧米諸国では標準」であり、日本の保護期間が50年のままでは「経済的利益を得る機会を失う」ことになるとして、保護期間の延長を求めています。寄せられた意見は音楽関係団体からのものが多く、文面も近似しています(PDF、1.3MB)。

富田さんは、

過去から連綿と続く文化の大河の中で、積み重ねられたものに育まれ、先人に繰り返しに学んではじめて、人は「創造」に至るのではないでしょうか。 …過去からの賜り物に、あらたな何かを付け加え、しっかりと未来へ受け渡していくためのこうした道筋を、保護期間の延長は狭めてしまうでしょう。

と述べ、保護期間延長に反対しています。

私もまた、反対の意見を提出しようと思います。

直感的には、この十年ばかりの間に社会の右傾化が著しく進んだことが私の心配の根本にあります。大きなエポックがあっても、50年も経つと、そこから学ばれた教訓は再び忘れられてしまう。例えば1929年の大恐慌あたりから1945年の敗戦に至るまでの社会のようすを描いた文学は、これからの時代を生き延びる知恵として活かせるものだと思うのだけれど、出版社が市場で利益をあげることを行動規範とする限り、有名な作家の限られた作品以外の多くの資料は、現代の私たちの目には触れないままになってしまいます。現行法制では、まだ、第二次世界大戦の時代を生きたり戦後の混乱を目の当たりにして死んでいった作家たち何人かの作品に、青空文庫など非商業的なルートで触れることができます。しかし、著作権法の変更によって、それらの作家の作品がそのような形で日の目を見るのが20年遅れてしまったら、社会はもう取り返しのつかないほど新たな戦争に近づいてしまうのではないか。そんなふうに私には思えます。

もっと説得力のあることを書かなければならないと自覚しつつ、とりあえず、著作権保護期間延長の動きに私が思うこと、でした。

著作権法改正要望のパブリックコメントを提出する」ポータル・サイトの大分類「5.保護期間」の細目「(106)及び(107)について」のページを参考にして、締め切りの10月21日(来週の木曜日!)までに意見を送るつもりです。みなさんも、ぜひ。

2004年 10月 12日 午前 12:01 | | この月のアーカイブへ

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コメント

初めて、コメントします。
青空文庫を支持する人々にとって、著作権保護期間の延長は許し難いことなんでしょうね。確かに、没後70年以上経って、まだ輝きを失わない作品というのは、極一部の著者の作品のような気がします。逆に言えば、没後50年では、まだまだ、魅力的な作品があるということだと思います。
ここで問いたいのは、青空文庫の存在が無くても、著作権保護期間の延長に反対するのかどうかという点です。反戦論議は、今現在の青空文庫の影響力を考慮すると贔屓目に見ても、影響は極小な感じがします。

今回の動きを見ると、まだまだ売れ筋な没後50年~70年の著作物が、青空文庫みたいな形態での普及への警戒が大きいのだろうと推測します。

投稿: snow_slow_snow | 2004/10/12 23:02:49

>許し難いことなんでしょうね。
「許し難い」という言葉は私の感覚を適切に表現していません。「まずいんじゃない?」という感じかな。

>没後70年以上経って、まだ輝きを失わない作品というのは
作品の評価については、人によってだいぶ差があると思います。私にとっては、あまり没年とは関係ないような気がします。

>ここで問いたいのは、青空文庫の存在が無くても、著作権保護
>期間の延長に反対するのかどうかという点です。
当然します。ただ、青空文庫と関わっていなかったら、著作権のことに今ほどに敏感になっていなかったかもしれません。

>反戦論議は、…
あ、これは自分の危機感の個人的な背景を書いたのであって、このまま意見書に書くつもりはありません。

>今回の動きを見ると、まだまだ売れ筋な没後50年~70年の著作
>物が、青空文庫みたいな形態での普及への警戒が大きいのだろ
>うと推測します。
そうかなあ、私には文字メディアや小説家の意向が引き金になっているとは思えません。映画、音楽が延びて、文字だけ据え置くのは不整合という消極的な理由じゃないでしょうか。

投稿: うに | 2004/10/14 15:46:40

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