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2004.09.21

金の煌めきは砒素と水銀の色

その村では漁業が唯一の産業であったが、海から魚が消えてしまった。人々の多くも、発疹やこぶなどの皮膚病を患い始めた。生まれた子どもは、全身にしわや腫れが広がっており、半年で死んだ。

インドネシア、スラウェシ島の最北部、Minahasa にある Buyat 湾での出来事である。アメリカに本社のあるニューモント社(Newmont Mining Corporation)が行なっている金の採掘によって生じるヒ素、水銀などを含んだ廃棄物を、同社が不法に海に放出していたことによる汚染、中毒であると、8月末にインドネシア環境省が断定した。ブイヤット湾住民による損害賠償請求の裁判も進行中である。スハルト政権下での官僚の汚職等を非難する声もあがっている。Newmont 社によるミナハサでの採掘は既に終了しており、既に撤退を始めているが、同社は汚染や障害の因果関係や責任を認めていない。

以上は二週間ほど前に The New York Times 第一面に掲載された "Spurred by Illness, Indonesians Lash Out at U.S. Mining Giant" という記事の要約である。記事の末尾には、ニューモント社役員の「金の採掘によって地元経済は潤ったはずだ」というコメントが掲載されている。寒々しいとしか言いようがない。 この問題については、このほかに毎日新聞の8月16日付け「地球最前線:インドネシア・スラウェシ島 漁村に広がる「水俣病」」というかなり詳しい記事を見つけた。

問題はインドネシアに局在しているわけではなく、また、問題に立ち向かう運動も各所で力を得てきている。"Direct Action in Peru" ― ニューモント社が南米ペルーのヤノコチャ鉱山での試掘を行なおうとしたところ、水銀による水源の汚染を心配する地元住民の反対運動の昂揚により、ペルー政府による試掘の許可が無期限に保留となったと、この Z-net Blog の記事は伝えている。

アメリカ合衆国を拠点とする多国籍企業が利潤追求のために「南」側の複数の国で環境破壊を重ねていて、それが民衆の力によって制止されるという、グローバリゼーションの時代の教科書的な事例である。

このような時代に生きているのだという自覚の薄かった私は、この問題について自分が今、何をすればいいのか、まだ分からずにいる。ここにこの文章を書くのは、それによって私が既に何かを成し遂げたという満足感を得るためではなく、これから自分が何かをしなくてはならないという覚醒を宣言するためである。

2004年 9月 21日 午前 05:53 | | この月のアーカイブへ

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コメント

私は今学校の授業で外国の水俣病について調べていたので凄くいい参考になりました。
ありがとうございました。

投稿: 芽衣 | 2005/09/25 17:10:25

芽衣さん、コメントありがとうございました。

もしこれをお読みになる機会がありましたら、「ブイヤット湾公害訴訟は継続」
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2005/09/post_0950.html
の記事と、そこからたどれるリンクをごらんください。この記事以降に私がブイヤット湾関係で気がついたニュースをまとめてあります。住民の健康被害が水銀に起因するものであるかどうかは、まだ係争中です。ヒ素だった可能性のほうが強いようですし、それすらも裁判で争われています。

投稿: うに | 2005/09/25 23:41:54

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