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2004.06.29

併合と植民地化

先日、書店で立ち読みをしていて、渡部昇一という人が、日本は朝鮮半島を植民地化(colonization)したのではない、当時のイギリスの新聞でも併合(annexation)と報じている、という主旨の発言をしているのを読んだ。

そもそも英単語の意味論に還元できる問題ではないと思うので反論を書くつもりはないのだけれど、昨日たまたま読んでいた記事にこの二つの単語(の関連語)が隣接して出てきたので、書き留めておく。昨年10月にブッシュ大統領がフィリピンで行なった演説の中の、米西戦争(1898年)後にアメリカはフィリピンを民主化したという描写がいかに間違っているかを論じた文脈である。

Bush's rendition of Philippine-American history bore little relation to fact. True, the U.S. Navy ousted Spain from the Philippines in the Spanish-American War of 1898. But instead of creating a Philippine democracy, the McKinley administration, its confidence inflated by victory in that “splendid little war,” annexed the country and installed a colonial administrator. The United States then waged a brutal war against the same Philippine independence movement it encouraged to fight against Spain. The war dragged on for 14 years. Before it ended, about 120,000 U.S. troops were deployed, more than 4,000 were killed, and more than 200,000 Filipino civilians and soldiers were killed. Resentment lingered a century later during Bush's visit.

「日韓併合」当時の新聞ではなく2004年の雑誌記事の英文であるから、渡部発言の反論にはならない(実のところ反論する価値もない詭弁的発言だと私は考えている)が、"annexation" と "colonization" が、少なくとも現代の英語話者には「相容れない概念ではない」ことが分かる。

上記引用は雑誌 Foreign Policy のウェブ版に掲載された John B. Judis さんの "Imperial Amnesia" という記事から。近刊 Folly of Empire: What George W. Bush Could Learn from Theodore Roosevelt and Woodrow Wilson からの抜粋である。

記事の終わりのほうに、"[T]he imperial mindset sees the people it seeks to civilize or democratize as inferior and lends itself to inhumane practices." とある。20世紀初頭のアメリカや日本の権力者たちのみならず、ブッシュや渡部などの不誠実な発言をする現代の人たちにもこの表現はぴったりと当てはまる。

2004年 6月 29日 午前 12:35 | | この月のアーカイブへ

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