« 麻薬中毒患者の戦争 | トップページ | 「戦争のつくりかた」を広めよう! »

2004.05.29

イラクの教育荒廃

アルジャジーラが、1990年のクウェート侵攻によって国連から課せられた経済制裁によって、そして昨年の戦争とそれに続く占領によって、イラクの教育環境が極度に荒廃してしまったという問題を取り上げている。

ユネスコの調査によれば、1980年代まで、イラクは発展途上国の中でも突出して多く教育への投資が行なわれる国であったが、戦争後の現在、イラク中部および南部で緊急に修復の必要な学校は 10334 校中 8613 校にのぼる。高値で修理工事が落札されても、実際には壁が塗り替えられるだけであるとか、破けた古い教科書を依然使い続けているとか、昔は無償で支給されていた学用品が今は手に入らないなどの不満の声が聞かれる。経済制裁の影響で新たな学校が建設できなかったため、それまでは一校あたりの生徒数が500人程度であったのが、今は一つの学校でその9倍にものぼる生徒の授業を行なっている。それに伴い、小学校の段階で学校に来なくなる生徒も増加し続けている。そして、それは経済的な理由に限らず、治安への不安なども原因となっているようである。また、学校に通う代わりにマハディ軍の少年兵となる者も多い。主権委譲の前に、既に教育省はイラク人の管轄に戻されているが、今後、教育に十分な予算が配分されるかは不明である。

このブログでも、イラクの教育についてや自衛隊の支援活動について取り上げてきた。(例えば5月3日のこの記事。)このような話を読むたびに、同じような感想を述べるだけで、我ながら考えの広がりのなさにうんざりでもある(継続的に私のブログを読んでいる人がいれば、その人も同じように、あくびをかみ殺しながらこの文を読んでいるだろう)が、やはり一応、疑問点をまとめておこう。派兵そのものの違憲性はこの際、問わないこととして(いつの間にこんなに譲歩するようになったんだ、私? あ、ついでに「経済制裁」という問題についても、ここでは触れないことにします)、次のように考えた。

  • 教育を受ける機会の確保は、民主主義の基盤のはずだ。アメリカの占領は、それに本気に取り組む気があるのだろうか。
  • 日本の軍隊も、そういう不透明な占領に参加していて、復興の責任の一端を担っているのである。そのことに問題はないか。
  • 自衛隊が占領軍の指揮系統には入っていないという防衛庁の説明を信じるとしよう。それなら、独自の復興事業として、自衛隊は十分なことをやっているのだろうか。
  • 自衛隊の立場が上記二つのうちのどちらであったにしろ、日本政府は、数値目標やその達成度の開示にあまりに消極的なのではないか。学校の復旧支援も自衛隊の活動の柱の一つだったはずだ。いくつの学校に行って、どんな復旧作業をし、何名の現地の労働者を雇用したのか、等々、十分な報告をしてきただろうか。

これらの点をはっきりさせなければ、自衛隊のイラク駐留は何の説得力も持たない。表向きには歓迎してくれているサマワの人たちだって、本当は納得できてはいないのではないだろうか。表だって不満を述べないのは、今、日本に冷たくすると、後で企業が来てくれなくなって不利になると思っているからに違いない。

きっと、国会でもこれらのことが何度も何度も取り上げられてきたのだろう。質問されるたびに、小泉首相がはぐらかす。そんな様子が目に見えるようである。野党も、首相を引き出して答弁させることにこだわりすぎているのではないだろうか。防衛庁の事務方に答えさせたらどうだろう。う~ん、官僚は元々だらだらと意味の分からない文を読み上げるだけだから、やっぱりダメか。

本当にどうしたらいいの、私たち?

2004年 5月 29日 午前 12:09 | | この月のアーカイブへ

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イラクの教育荒廃:

» 「同じ痛みがわかるだろ」 トラックバック Negative Stories
「日本人には恨みはないけど、アメリカのせいでいまは外国人はみな嫌いだ。早くこの国から出て行ってくれ。なにもしてないのに家は壊され、金も全部持っていかれて、子供... 続きを読む

受信: 2004/05/29 13:30:50

コメント

イラン映画の「ブラックボード・背負う人」を一度御覧になってください。人が人に教えるということはどういうことなのか?教育とは?などなど・・というような大上段に構えてみなくても、文化の違いをかみ締めながら観ると楽しい作品です。
クルド人のことも絡んだ作品です。


投稿: ten | 2004/06/07 12:40:14

tenさん、ありがとうございました。
http://www.office-kitano.co.jp/blackboards/
ですね。注意を払うことにします。

えっと、みなさん、tenさんをご紹介します。青空文庫の仲間です。今日と、その前のコメントからもおわかりのとおり、映画通として知られています。

投稿: うに | 2004/06/07 12:55:22

映画痛かも・・・(^w^; 

投稿: ten | 2004/06/07 20:47:00

ten さん、こんばんは。映画の御紹介ありがとうございます。
もしかしたら、映画の泉のありかを知っていらっしゃるのではありませんか?

当地でも公開されるのを祈りつつ、地元の映画上映会の方々に働きかけてみます。

投稿: Juki | 2004/06/07 22:58:29

jukiさん
映画の泉ですか・・「処女の泉」という映画ならありますが・・^^;

>当地でも公開されるのを祈りつつ、地元の映画上映会の方々に働きかけてみます

まずぜひ御覧になってください。「教える」ということでは数々の名作がありますよね。フランスのルイ・マル監督の自伝に近いという『さようなら子供たち』も名作です。しかし教育という観念の違い、それは文化の違いであり、宗教の違いなわけですね。それら軽やかにみせてくれるという映画がこの『背負う人』ではないかと思います。

投稿: ten | 2004/06/08 8:55:30

コメントを書く