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2004.05.26

追悼を超えるもの

George Bush never looked into Nick's eyes ― イラクで斬首殺害されたアメリカの民間人 Nick Berg さんの父親、Michael Berg さんの訴え。5月21日付けの英 The Guardian 紙などに掲載されている。

なぜ自分の息子の死を招いた責任を、ビデオに映し出された五人の男だけではなくブッシュ政権に問うのかという疑問に対し、Berg さんは、殺害を実行した男たちが、短い間であったとしても自分の息子とふれあう中で、彼の善良な人柄を感じたに違いないと断言する。それに比べ、ブッシュは彼を失った人たちの痛みや、映像を見た世界の人々の悲しみを感じることができないのではないかと言う。アメリカ軍によって日々殺されていくイラクの人々の心に至っては、何をか況んやである。だから、実際に彼を殺した者たちよりも、安居して、彼の息子を死に至らしめ、今なお人々の生を奪い続ける政策を作る者たちのことを、この父親はもっと許すことができないのである。

Berg さんの文は、悲しみや怒りを伝えるものではない。彼には希望がある。彼は、Nick さんという一人の平和主義者の死が、きっと何千という平和主義者をこの世に生み出したに違いないだろうと考える。また、彼には誠実な問いかけがある。2001年の9月11日の後、アメリカは何をしなければならなかったのだろうか? 「敵」にアメリカの言い分を伝えるのではなく、彼らの声を聞く努力をするべきではなかったのか?

Berg さんの家族のために祈りを捧げる人々は多い。その人たちに対し、Berg さんは、自分の家族たちのためだけでなく、平和のために祈ってくれることを望んでいる。そして祈るだけでなく、平和を要求することを望んでいる。

美しい文、心を打つ文、感動的な文、考えさせる文、涙を誘う文、勇気を与えてくれる文、決意を固めさせてくれる文… 世の中に、読者と文章の間の特別な関係を表す言葉は数多くあるが、私はこの Michael Berg さんの文章を何と表現していいか分からない。読み手としての私は、書き手であるこの父親と、ともに祈り、ともに行動することができる―私はそう確信した。これは決して文章を賞賛する言葉としては華美なものではないが、今日からの私の行動が、言葉の不足を補ってくれるだろう。私はそう誓う。

2004年 5月 26日 午前 12:06 | | この月のアーカイブへ

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ブッシュさん、小泉さん 最近体調が悪くなったのをあなたたちのせいにしていいかい? 続きを読む

受信: 2004/05/28 3:36:32

コメント

日本語訳があるのを今日知りました。
「ジョージ・ブッシュはニックの目を見たことがない」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/338

投稿: Juki | 2004/06/16 7:27:07

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