« 2004年1月 | トップページ | 2004年3月 »

2004.02.29

新屋英子さんの「身世打鈴」

京都・蹴上で新屋英子(しんやえいこ)さんの「身世打鈴(シンセタリョン)」を見る。十年ほど前、住んでいた町で公演があったのだけど家族が病気になって見逃してしまって以来、なかなか縁がなかったのだが、ようやく念願かなって見ることができた。立ち見も多く出て大盛況。

済州島出身の82歳の在日韓国人女性が身の上話をするという設定の一人芝居。もう三十年以上続けているとのこと。古紙や段ボール箱、古い自転車などを背景に、白服の女性がリアカーを引いて登場。一時間あまりに渡って、15歳で父や姉とともに日本に渡ってきて以来の苦労を語る。アドリブも多いのか、鳥インフルエンザや拉致の話も出る。おそらく、30年の間に、劇はさまざまな変容を経験してきたのだろう。

戦争の記憶がまだ強く残っていたが人々が韓国のことをよく知っているとは言えなかっただろう30年前と、韓国の映画やテレビドラマが親しまれるようにはなったが戦争や植民地支配の加害者責任の認識が薄れている現在とで、どんな違う思いを抱いて新屋さんが演じてきたのかと考える。

2004年 2月 29日 午後 09:44 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.28

写真の中の自衛隊

陸上自衛隊イラク復興支援関係サイト。国民のほぼ半分がイラク派兵に反対している中で、当事者としては少しでも支持してくれる人を増やそうと考えるのが自然だと思うのだが、不思議なくらいそういう気配が感じられない。迷彩服を着た人がにこやかに握手している写真ばかり目立つ。世には千の言葉よりも一枚の写真が人を動かすこともある。しかしそれをここで期待してはいけない。

些細なことばかり気になった。その一:オランダのことを指して「蘭国」と書いているが、これは防衛庁用語なのだろうか。何となく復古的に見えてしまったのだけれど。その二:描画コンテストにて子供たちがCPA施設外壁に描いた絵。占領当局施設の壁に相応しく、軍用機やヘリコプターが飛ぶ下でオランダ国旗や日の丸を振る人々の絵だ。軍隊の一つとして認識されたこと、“日本の旗”を描いてもらったことを誇りに思って掲載しているのだろう。派兵に納得していない者としては非常に複雑な思いにさせられる写真である。今度だれかに足元に書かれたアラビア文字を読んでもらおう。

2004年 2月 28日 午後 09:02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.27

自衛隊でなければ

先日、アナン国連事務総長の演説を国会のネット中継で見た。自衛隊の派遣について、「困難な議論を経て」といった言葉で表現していたと思う。「困難な」というのは、まずは憲法との整合性の問題のことだと思うが、それだけではなく「何をいつまでも議論しているんだろう。もっとさっさと始められる支援をすればいいのに」という苛立ちから出た言葉だったのではないかとも思う。おかしな報道には抗議しよう日記経由でフランスに本部を持つ ACTED という NGO がサマワで給水活動を行なっているというのを知り、少し調べてみて、そんな感想を抱いた。

ACTED (L'Agence d'Aide a la Cooperation Technique et au Developpement) のサイトで Muthanna で検索してみると、ムサンナ地方で給水浄水活動の予定という項目(34万人が恩恵を受けるだろうとの予測が述べられている)や、サマワで学校の復旧支援の予定といった項目がある。Al Muthana と Najaf に関する記述のページでは、給水の目標値が一日に3万立方メートル、20万人への供給を目指した別のプロジェクトもあることが分かる。(ACTED のサイトでは、あまり進捗状況が把握できなかった。それでも、そもそもの数値目標が書いていない自衛隊のサイト―私が見つけられなかっただけかもしれません―よりましであると思う。)

その他、いくつかのサイトをチラチラと見ただけなのだが、Islamic Relief Agency のレポートからは、ACTED が昨年5月には既にムサンナ地方で活動を始めていたことが分かった。アメリカ政府の Agency for International Development の10月の報告書からは、暫定統治機構のもとで米政府機関である USAID が国連や ACTED のような NGO、民間企業などと連携して復興に当たっていることが分かった。

早急に結論に飛びつくつもりはないが、こうやって日本でパソコンに向って調べものをしているだけでは、なぜ「自衛隊でなければならなかったか」という問いに答える要素はなかなか出てこないというのが正直な印象である。給水活動という形の支援に軍隊が必要なのか。国が支援を行なう際に NGO との連繋に重点を置くという選択肢はなかったのか。大規模に宿営地を作るところから始めなければならない自衛隊部隊の派遣はフットワークが重すぎるのではないか。それらの問いに対して、是にしろ否にしろ、私たちは胸を張って答えることができない。その答えを見つけるのに役立つ話を、イラクからニュースを伝える人、イラクで支援を行なっている人たちから、ぜひもっと聞きたいと思う。

2004年 2月 27日 午前 09:36 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.26

青空文庫新着情報RSSを修正(2004/2/26)

青空文庫新着情報RSS(RSS 1.0 形式)を先ほど手直ししました。いろいろといじくったので、新たな問題を仕込んでいたりするかもしれませんが、修正点は以下のとおりです。

  • UTF-8 エンコーディングにした。

  • アイテム数を15個に減らした。

  • 青空文庫サイト外にファイルがある場合(著作権存続中の作品などの場合)に適正に回避処理するようにした(つもり)。

  • dc:dateエレメントを秒まで表記するようにした。(前回の修正の際、NewsGlueで警告が出るとご指摘をいただいていたもの。)

あと、自動更新する時刻を少し早めて午前6時にしてみました。

表示する内容はほとんど変えていません。エンコーディングを変えたことにより、アグリゲータによっては既に取り込まれていたアイテムがダブって取得されたりするかもしれません。すみません。その一方で、 UTF-8 以外の RSS フィードを表示できないリーダをお使いになっていた方にも今後は利用していただけるようになったと思います。

2004年 2月 26日 午後 07:45 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.02.25

パレスチナの壁

Noam Chomsky の A Wall as a Weapon ― シャロン政権によって建設が進められている壁がイスラエルの安全を守るというより、パレスチナ内部を地理的に分断し、数多くのパレスチナ人を隔離し、土地を奪う(パレスチナ領土内に壁が作られ、壁の外の領域に関してはイスラエル人が有利に使えるようになっている)点で、この壁を侵略の武器であるとしている。壁の建設がイスラエル政府の政策というよりアメリカ政府の祝福のもとに行なわれている以上、アメリカがその姿勢を変えない限り、ハーグの国際法廷で勧告が出されても状況は何も変わらないだろう、という意見。

短い論考であるせいもあり、チョムスキーが書いたとは思えないくらい読みやすく(すみません、過去に翻訳をやった時の恨みつらみです)、また内容的な驚きも少ない気がする。チョムスキーが隠された真実を暴くまでもないほど明らかな、そしてそれにも関わらず全く解決に向けて前進しているようには思えない厄介な問題だということなのだろう。

パレスチナとイスラエルの問題に関しては、たしかに巨視的にはアメリカの政策変更が必要だというのは分かるのだけれど、その土地で対立しながら暮してきた人たち一人ひとりの心や信条の問題としてもこじれすぎてしまっているようにも思う。その心の壁を取り払うには気の遠くなるような時間がかかるのであろう。しかし、それとは異なり、コンクリートの壁は意志さえあればすぐにでも壊すことができるはずである。

パレスチナとイスラエルの間の紛争をパレスチナの視点から報じる ei: The Electronic Intifada にリンク。戦車に投石をもって抵抗するインティファーダとは別世界のような“クールな”サイトなのに、なぜ rss フィードがないのか不思議。とりあえず、ここのを利用してみよう。

2004年 2月 25日 午後 09:59 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.24

うわさの眼鏡CM

asahi.com

イラクの大量破壊兵器は、よく見たら単なる穀物サイロ。わが社の眼鏡をかけていたら間違わなかったのに――こんな風に米ブッシュ政権をちゃかしたテレビCMを仏眼鏡店「ビジュアル」が作製した。

Visual Opticiens (http://www.visual.fr/) の vid1884hq.wmv ですね ("cliquez ici" と書いてあるところ)。炭疽菌だと思ったら砂糖、これもありそう。ちょっと開けっぴろげに笑うには抵抗あるけど。

2004年 2月 24日 午前 10:58 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ピース・イベント・カレンダー

Peace Event Calendar という blog サイトを見つけました。全国の平和運動関係の日程が紹介されています。

実は私、worldpeacenow.jp のサイトを Perl で解析して自前の RSS を作っていたのだけれど、相手が青空文庫とは違って手作業で更新されているサイトなので、自動処理には限界があり、サイトの書式が変わってすっかり使い物にならなくなってしまっていました。worldpeacenow.jp自身で RSS シンジケーションしてくれるかもという話も立ち消えになってしまったし… そんな中で、このPeace Event Calendar のような blog はとてもありがたいです。主催者の方、大変だと思いますが、がんばってください。応援しています。(がんばってくださいなどと言うと、プレッシャーになってしまいますよね。すみません。無理せず、ボチボチ、なんくるないさー!)

平和を願うみんなで、一人に負担がかからない方法、情報が効率よく伝播・収集できる方法、細々とでも長く続けていける方法を編み出していけるといいですね。

2004年 2月 24日 午前 09:42 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.02.23

東ティモールの昨日、今日、明日

日本軍がティモール島(1942年当時、ポルトガル領)侵攻、占領を開始した日である先週の金曜日(2/20)、東ティモール全国協議会など日本の支援団体が連名で、住民虐殺やいわゆる慰安婦徴用などの実態調査、謝罪や補償などを求める申し入れを日本政府に行なった。誠実な対応を期待したい。

第二次世界大戦後、スハルトがインドネシアおよび東ティモールにおいて大量虐殺を行なったのにも関わらず、サダム・フセインに対する現在の姿勢とは全く異なった対応をアメリカ政府が取ってきたことについて、その二重基準を糾弾する記事がある。批判を受けるべきなのは、アメリカへの追従を旨とする日本政府も同じであろう。

イラクの主権委譲がらみの話題に隠れがちであるが、国連は5月20日に終了する予定であった東ティモールへの平和維持支援を一年間延長するらしい。ニュースソースが消えてしまいそうなので、国連の2月20日のDaily Briefingから関係個所を転載しておく。

SECURITY COUNCIL DISCUSSES UN ROLE IN TIMOR LESTE
  • The UN Secretariat has concluded that the continued presence of a UN peacekeeping operation in Timor Leste, for an additional, one-year "consolidation phase," is essential to reinforce and strengthen what has been achieved today, Under-Secretary-General for Peacekeeping Operations Jean Marie Guéhenno told the Security Council today.

  • Addressing the Council's open meeting on Timor Leste, Guéhenno said, "We believe that this additional year of support would make a meaningful difference in enabling the country to reach the threshold of self-sufficiency."

  • The UN Mission, he noted, would include a small military presence, of some 310 personnel. Meanwhile, Timorese now comprise some 11,000 civil servants in the Government, and significant headway has been made in strengthening state institutions.

この延長については、米、英、豪が反対しているという報道もある。

Tourism in Timor?は東ティモールで観光産業が成立するかどうかを考察した記事。インドネシアによる占領や、1999年の住民投票後のインドネシア国軍や民兵による破壊活動から目覚ましく復興を遂げたものの、まだインフラ整備が十分でないとしている。旅行関係の情報は日本語でも、東ティモール全国協議会の旅の情報ページでかなり詳細に手に入れることができる。ディリには日本料理店もあるんだ。へぇ~、へぇ~。

2004年 2月 23日 午後 02:36 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.22

猫の無限連鎖、その後

恩姫の写真が採用された Mike Stanfill さんの The Infinite Cat Project だが、まだ次に続く猫は現れていない。来たれ、萬国の猫!

たしかに、やってみると想像以上に難しいのである。このプロジェクトについて、"Very cute. Not all cats will do that but those that do make it worthwhile." と評している書き込みや、恩姫と同じ写真を前にして、恩姫よりももっと頑なに抵抗した猫の写真を発見。

お利口さんだった恩姫ちゃんには、友人がメールしてくれたボードレールの詩をあげよう。猫の習性や、愛する猫と暮す人の心をとてもよくとらえた、美しい詩だ。訳者の鈴木信太郎さんは1970年没で著作権存続中なので、最初のスタンザだけ引用。

熱烈な戀に耽つた戀人も 謹嚴な學究たちも
圓熟したよわいになると、一様に 猫を愛する
威嚴があつておだやかで、家のほこりとする猫は、
彼等の如く 寒がりで じつとわが家に籠りがち。

Charles Baudelaire の原詩 Les Chatsここにある。

2004年 2月 22日 午後 05:31 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2004.02.21

お疲れさま、Casey Kasem

「第1回 全国高等学校 電子辞書洋楽翻訳選手権」開催という話を読んで郷愁回路にスイッチが入ってしまい、検索していたら、American Top 40 の DJ、Casey Kasem さんがこの一月で引退したという記事を見つけました。

加齢とともにクラシック音楽のほうが好きになり、Top 40 系とは長い間ご無沙汰だったので、私は Casey さんが番組を続けていたことすら知らなかったのですが、中学高校時代の懐かしい思い出です。Casey さん、ありがとう。(遠い目。)

810KHz で聞いていました。FENに関しては、現実はこうだけど、思い出というフィルターを通すとこう見える、ということを認識。

"Keep your feet on the ground, and keep reaching for the stars!"

2004年 2月 21日 午後 06:15 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.02.20

一年前を振り返る

一年前の今日、近づきつつある戦争を危惧して職場の組合で以下の短い声明を出した。言葉足らずではあるけれど、法人化関連の激しい動きの中で、長い文をまとめる時間的余裕が私たちにはなかった。

イラク共和国による大量破壊兵器保持の十分な証拠が国連査察によって見いだされていない状況下においても、その疑いのみを理由として、アメリカ合衆国はイラク共和国に対する武力行使の準備を進めています。

私たち名古屋大学職員組合中央執行委員会は、ここにアメリカ合衆国による武力行使および日本国による戦争協力、そしてあらゆる国の非人道的兵器の保持に反対を表明するとともに、日本国憲法教育基本法名古屋大学平和憲章の精神をあらためて確認し、すべての人々が平和のうちに生きることができる世界を作るために連帯して行動していくことを名古屋大学の全構成員に呼びかけます。


そういった願いも空しく、一か月後に戦争が始まった。一年後の今、振り返ってみると、大量破壊兵器保持という、いわゆる戦争の大義が虚構であったことがほぼ明らかになり、日本の戦争協力の姿勢は派兵によってあからさまになった。

明るい面に目を転じよう。あのころ、通常国会に教育基本法の変更案が上程されるのではないかと言われていたが、それは法人法案審議が長引いたことにより、くい止めることができた。平和のための広汎な連帯が日本各地で、そして世界で強まったことも、私たちがこの目で見てきたとおりである。

来年の今ごろ、振り返る時、これらの「いい面」がもっと強く、大きくなっているよう、力を尽くそう。

2004年 2月 20日 午後 06:26 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.19

新しい電子テキスト・ビューア

ひそかにボイジャーおよび野口さん、富田さんたちの手で開発が進められている「次世代T-Time」のベータテストに参加しています。正月明けにマック版のテストが始まって、ウィンドウズ・ユーザの私は指をくわえてメールのやりとりを見ていたのですが、昨日、ウィンドウズ版が送られてきました。

青空文庫の HTML および XHTML を縦書きできれいに表示します。ローカルのファイルのみならず、ネット上の文書も表示できるところがすごい。Windows 98 と Me では、イオさんの Cp_932.nlsパッチ(リンク先は、イオさんのページが閉じられてしまったため、斎藤寿成さんが保管しているもの)を用いなくても、Xano明朝等の JIS X 0213 フォントさえあれば、第3,4水準文字の表示ができるみたいです。(追記:このパッチを入れないと第3,4水準が扱えないプログラムがあって、入れていたのですが、考えてみれば、素直な普通のエディター等は、フォントだけで大丈夫なのでした。)慌てて、昔使っていたスクリプトをつなぎ合わせて、青空文庫の XHTML の img タグを 0213コードポイントに変換する cgi を作ったりして楽しみながら検証にあたらせてもらっています。

2004年 2月 19日 午後 09:23 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.18

“違う”国へ旅する絵本

roni_sarig_impitom.jpg

イスラエル人の友人から、彼女が昨年出版した絵本 (Roni Sarig, The Journey that Began in Impitom, illustrated by Hana Hirshfeld, 2003, Kinneret Publishing House) をもらいました。私はヘブライ語が分かりませんから、自家製の英訳のプリントアウトを付けてくれました。

何もかもが丸い“トツゼン”国に住むTikが、斑点ばかりの国や、いすがテーブルみたいな形をしていて卵がサラダみたいな味のする国などを旅してくるという話。

魔法のような話で、子どもと遊んだ後のめまいのような読後感を味わいました。大人の私は、「この本の教訓は?」といった質問がまず頭に浮かぶのだけれど、子どもたちはまず想像力をかき立てられるのだと思います。自分が子どもだった時のことを考えると、まわりは不思議なことだらけでした。そうか、この道をずっと行って、あの丘を越えれば、自分とは全く違う人たちの住む国に行けるのかもしれないと、何年かぶりに真剣に思わせてくれた本でした。

2004年 2月 18日 午後 06:45 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.17

あやしい本

RSSでは "colorless green sunflowers confuse furiously" というタイトルで流れてきた記事。生成文法の話かと思って読んだら、そこにはディープであやしい世界が大きく口を開けて待っていた。

だれが何の目的でいつ書いたか、何が書いてあるかすら分からない世界一謎の文書、Voynich Manuscript。その謎がついに解き明かされたらしい(昨年12月の Nature 誌の記事)という話であるが、そもそもVoynich Manuscriptって何?と思って検索してみたら、かなり上のほうに日本の若者のサイトがあった(http://www.voynich.com/)。

この無頼さんのサイト、ひたすらあやしく見えるのですが、よく考えると、大学院で言語学の研究を志したり、perlで言語処理をやっていたり、端から見るとたぶん私もこういうふうに見えるのでしょう。自己紹介ページの「これまでの歩み」のところで、目立たぬようピンクで色分けしてある三行が特にいじらしくて、応援したくなっちゃいます。

参考:Wikipedia の Colorless green ideas sleep furiously の項

2004年 2月 17日 午後 02:13 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.02.16

電子書籍の価値

Ebooks: Neither E, Nor Books ― Cory Doctorow さんが O'Reilly Emerging Technologies Conference で行なった講演の原稿。Doctorow さんは執筆した本を出版社から刊行するだけでなく、Creative Commons Licence に基づき、電子的にも公開している。Slashdotの記事で知った。

本を「物体」としてではなく「実践」(社会的、経済的ないし芸術的な行動群)として捉え直せば、本を「所有する」という行為に関しても、切り貼りや送信をはじめとするさまざまな加工の可能性を提供する(これを Doctorow さんは "affordance" という語で説明している)電子本のほうが紙の本よりも所有価値が高いと言える、という興味深い意見が示されている。グーテンベルクが活版印刷機を発明して聖書が民衆のもとに解き放たれたころの状況と電子書籍の出現した現代の比較もおもしろい。

電子テキストに「本の未来」を見る人たちのほとんどは、度合いの多寡はあっても、ほぼ頷きながらこの文章を読むのではないかと思う。しかし、企業利益の追求者や「青空文庫のどこが高い志なのか」分からないと言う人(青空文庫の掲示板「みずたまり」の2月14日の書き込みより)には、この種の形而上の議論を理解させることは不可能なのではないかと考えてしまった。

2004年 2月 16日 午後 10:14 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.15

猫の無限連鎖

thumb-eunheui.jpg

Mike StanfillさんのThe Infinite Cat Project ― 猫がパソコンの画面に映っているのを眺める猫、その猫がパソコンの画面に映っているのを眺める猫… と延々と猫の写真を撮っていくプロジェクトです。恩姫の写真が15枚目に採用されました。

写真を撮っている時にはさんざん非協力的だったのに、さきほど、写真を載せたという連絡をもらって見ていたら恩姫がいっしょに覗きこんできました。まったく、もう、猫というものは…

2004年 2月 15日 午前 10:23 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.14

経済制裁は民主化を促すか

2月10日付けの The Irrawaddyビルマの民主化の展望について語る Jose Ramos-Horta 東ティモール外相のインタビューが掲載されています。

ラモス・オルタさんは、アウンサンスーチーさんの拘束が続く現時点で既に行なわれている経済制裁の解除はするべきではないが、拘束解除などの条件が満足されればできるだけ早く経済制裁を解いていくべきだと主張しています。そして、その背後にある一般論として、経済制裁よりも、積極的な経済介入のほうが鎖国状態にある国の民主化には効果的だろうとの考えが述べられています。

I am always ambivalent about economic sanctions. In certain circumstances, I believe that financial economic sanctions and diplomatic isolation are the moral equivalent of waging a war. The difference is only that while a war kills people immediately. Economic and financial sanctions often cause death, but it is invisible because it happens more slowly.

I believe that while sanctions may have a limited impact in punishing a particular regime, it might punish the common people more and it might not induce the changes.


インドネシアによる不当な占拠・抑圧と闘ってきた東ティモールの抵抗運動指導者のこの意見には強い説得力を感じます。

ラモス・オルタさんは、ビルマ民主化への具体的な行程に国連が関与することを提案しています。日本政府が国連中心の国際協調から日米同盟に急激に重心を移そうとしているなか、北朝鮮の民主化を考える上でもこの視点は非常に重要だと思いました。

2004年 2月 14日 午後 08:06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.13

自分の性を語る語彙

San Francisco Chronicle 紙の Nuances of gay identities reflected in new language という記事に、性的なアイデンティティを表現する語が集められている。

英語の世界を離れて10年以上経った私には、なじみのない言葉が多い。クイア文学を専門にしている知り合いにこの記事を見せたら、彼女も知らない単語があったと言うから、流通する地域の限られた表現も含まれているのだろう。

う~ん、これを書きながら、かつて自分のすぐ近くにいた友人たちのことでもあるのに、この数か月のマサチューセッツでの同性間結婚に関する議論にあまり関心を払ってこなかった自分に気づく。昨年11月の報道から読み返してみる。

2004年 2月 13日 午後 05:40 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.12

大量破壊兵器求む(CIA)

アメリカの諜報機関CIAがそのウェブサイトの Iraqi Rewards Program という広告で、賞金を出して情報提供を呼びかけています。セキュア・フォームで送信できるそうです。

求めている情報は、攻撃の予定、大量破壊兵器(WMD)、バース党幹部の所在、蜂起情報、行方不明の占領軍兵士の情報です。

こんな広告でWMDが見つかると考えているなら、何のための戦争のつもりだったのだろうと、首をひねりますが…

バース党最高幹部の情報以外には、賞金の額は書いてありません。WMD見つけたら、いくらくれるんだろう。ブッシュのサイン入り色紙だけだったらいやだな。

2004年 2月 12日 午前 07:34 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.11

黒島伝治 ・ Kuroshima Denji

日本のプロレタリア文学を代表する作家の一人、黒島伝治の作品集がアメリカで発刊されることになったと、訳者の Zeljko Cipris さんから連絡をいただいた。A Flock of Swirling Crows and Other Proletarian Writings という題(予定)で University of Hawai'i Press から2005年初頭に出版されるらしい。

黒島の非戦思想や社会的弱者を暖かく見守る目は、新しい世紀を迎えた今も、私たちの胸に強く訴え続ける。侵略や殺戮あるいは貧富の格差の拡大など、黒島が描いた問題は古いようで実に新しい問題であることを、私たちは日々思い知らされている。過去に犯された過ちを繰り返さないために、この英訳黒島作品集の刊行はきっと私たちに力を与えてくれるだろうと思う。膨大な労力を要したであろう翻訳をなさった Zeljko Cipris さんと、出版の英断を下したハワイ大学出版局に大きな拍手を送りたい。

作品集には、以下の作品が収められる予定。(リンクは、青空文庫の図書カード。)

Kuroshima Denji
A Flock of Swirling Crows and Other Proletarian Writings
The Telegram 電報
A Herd of Pigs 豚群
The Sugar Thief 「砂糖泥棒」
Their Lives 「彼らの一生」
Siberia in the Snow 「雪のシベリア」
The Sleigh
A Flock of Swirling Crows 渦巻ける烏の群
The Hole 「穴」
Land Rising and Falling 浮動する地価
The Cape 「岬」
Militarized Streets 武装せる市街

青空文庫の活動に参加する中で、私もいくつかの黒島作品の電子化に携わってきた。上にリンクを示したもの以外にも、青空文庫にはいくつかの黒島作品が収録されている。(作家別作品リスト) Zeljko Cipris さんからの情報では、このうち「反戦文学論」の英訳が近日中に日本プロレタリア文芸批評集の一部として出版されるとのことである。

2004年 2月 11日 午後 04:31 | | コメント (2) | トラックバック (0)

続報:オーストラリアの著作権延長

自由貿易協定(FTA)締結により著作権保護期間を20年間延長する件について、今日付けの豪 The Age 紙に記事が出ました。やはり映画・音楽のみならず、文字メディアにも延長が適用されるようです。Libraries caught in copyright changes より:

"The outcome is bad for libraries," said Colette Ormonde, copyright adviser for the Australian Library and Information Association. "It is bad for students. It is bad for researchers. It is bad for all information users."

この著作権法の改変はオーストラリアの国益を損ね、アメリカの大企業を利するだけだとする意見、政府報道官の苦しい弁明などが紹介されています。そして、記事の最後には Project Gutenberg Australia のことも。
[Australian National University law lecturer Matthew Rimmer] said Project Gutenberg Australia, an online respository of public domain works, was likely to be among the first to suffer.

日米間で自由貿易協定締結の話が出た時には、この部分に「パブリックドメインの文学作品をインターネット上で提供している青空文庫が最初の被害者になるだろうと語った」という論評が入るのだなと思うと、なんとも憂鬱な気分になります。

日本では昨年の著作権法改訂で映画の保護期間が延長されましたが、それだけで流れは止まらないと思います。今のうちから意識を高めておく必要を感じます。

米豪間の自由貿易協定締結と著作権に関しては、昨年10月にLessig Blog 日本語版が既に取り上げていました。

2004年 2月 11日 午前 11:44 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.10

北朝鮮で何が起きているか

国連のWorld Food Programが北朝鮮への食糧援助事業が危機的な状況に陥っていると発表しています。(WFPのニュース・リリース:WFP Food Deliveries Plummet Leaving Millions of North Koreans Malnourished

北朝鮮については、NKZone というblogに注目。北朝鮮で起こっていることを、特に、実際に自分の目で見てきた人に語ってもらおうという参加型ジャーナリズムを目指すblogで、アメリカのメディアには北朝鮮に関する質の高い情報が欠けていることを憂慮して始めたと主催者のRebecca MacKinnonさんは書いています。WFPのことも、私はここで知りました。

日本では、テレビや新聞にも、ウェブにも、アメリカよりはるかに大量の北朝鮮関連の情報が流れていると思いますが、残念なことに、質の高い情報は悪意と偏見に満ちた雑音にかき消されがちです。また、政府が好戦的な思惑で「北朝鮮情勢」を利用しようと狙っていることはアメリカも日本も変わらないように思えます。

先日、イスラエル人の友人(以前書いた件について教えてくれた人)と話した時、ホロコーストを許してしまった1940年代の世界の人たちのように自分たちがならないよう注意が必要だという思いをお互いに確認しました。彼女にとってはパレスチナの問題が、私にとってはおそらく北朝鮮のことが一番身近に、重くのしかかってきます。独裁的な政治体制のもとで人権が蹂躙され、多くの人が極めて貧窮した生活を送っていることを黙視しないこと。そしてそれを狡猾に利用しようとする偽善者たちにも組みしないこと。なかなか難しい道が見えるような気がします。

2004年 2月 10日 午後 12:48 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.02.09

オーストラリアが著作権保護期間延長

アメリカ合衆国との自由貿易協定(FTA)締結に伴い、オーストラリアは著作権保護期間をアメリカ法制に合わせて延長するらしいです。Slashdotの記事経由で知った、オーストラリア外交通商省の2月8日付けメディア・リリースAustralia-United States Free Trade AgreementFact Sheet: Intellectual Propetyには "An increased term of protection for copyright material" とあるだけで、対象に小説等の文字文書が入っているかは分かりません。もし入っていたら、gutenberg.net.auユーザには非常に悲しいお知らせかもしれません。(アメリカ国内で著作権が残っていて、今まで保護期間が作者の死後50年だったオーストラリアでは既に保護期間が終了していた文学作品はここに電子テキストの一覧があります。)

自由貿易協定がらみで延長となると、日本も遠からず他人事ではなくなるのではないかと思います。どうなる、青空文庫?!

2004年 2月 9日 午後 08:30 | | コメント (0) | トラックバック (0)

占領軍兵士たちへのインタビュー

Sometimes it is a Soldier's Duty to Tell the Truth ― イラク占領から一時帰国中のアメリカ軍将校へのインタビュー。匿名を保証された上で、不十分な装備で長期の占領滞在を余儀なくされている兵士たちの不満が語られている。ブッシュ政権への批判もとても厳しい。

I don't see Iraq liberated and there are not any WMDs. I was there on some of the searches and I can tell you that we did not actually expect to find anything. Our leaders were telling us we would find them, but most of the officers knew that was bull sh.t.

It has nothing to do with liberation or ensuring a free election in Iraq. No way that will ever really happen. If you could see how they are parceling out the Iraq resources to the contractors there right now, you would understand what I mean. I have seen the profiteering on a first hand basis. I have never seen that level of outright greed even around the Pentagon at budget time.


インタビューアーのJay Shaftさんは、この記事のほかにも精力的に一時帰還兵たちへのインタビューを行なっている。Two US Soldiers Ask: "When will we stop dying so senselessly?" では、インタビューに応えた兵士が、占領軍に対するイラクの人たちの感情を以下のように描写している。
You know, right after the invasion, the average Iraqi was happy to see us get rid of the Saddam regime. You ask the same Iraqi how they feel about us now, and they will openly admit that they hate us as bad as Saddam, or even worse than Saddam.

なぜ反米感情が高まったと思うかと問われて、兵士は、前宣伝とはうらはらに、大規模な戦闘終結後半年経っても経済が全くよくなっていないことを挙げている。その例として、相変わらず高い失業率のほか、清浄な飲料水の不足が特に言及されている。

私たちは、NGOにはできない貢献をするのだからという理由で自衛隊を送り出してしまった。その自衛隊は浄水給水設備の提供による支援を活動の柱にかかげているが、そのための資材は今はまだ日本国内にあり、搬送の日程すら決まっていない。飢え渇いた人たちの失望の広がりが速くないことを祈ろう。

2004年 2月 9日 午後 05:54 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.08

It is not over yet

salam paxさんの Where is Raed? が久々の更新。

Too much gunfire at night. By now almost every Iraqi can tell the difference between a Kalashnikov (what the so-called resistance is likely to carry) and the sound of the machine guns US troops have.

The constant reminders that it is not over yet.


クルド人国家との連邦制も悪くはないかもしれないと思うようになったという話や、シーア派のシスタニ師が必ずしも直接選挙にこだわっておらず、報道で見るよりもずっと穏健な人物であることを知ったという話が出ている。

2004年 2月 8日 午前 10:31 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.07

違憲です

小泉首相の

「この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない。なぜ警察官が必要か、なぜ軍隊が必要か。イラクの事情を説明して、国際政治、複雑だなぁという点を、先生がもっと生徒に教えるべきですね」

という発言(2月2日、派兵ではない平和的なイラク復興支援を求める高校生が集めた署名について記者に問われて)の要点は、軍隊は必要だという主張と、教育内容に注文をつけているという点だと思います。

首相が教育内容に注文をつけるというのは、行政は「教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立」を行なうものであって、教育内容に介入してはならないとする教育基本法第10条の違反である可能性が強いですが、この点をめぐっては判例の間で見解の相違が大きいので、言い逃れができるのかもしれません。

小泉首相の発言は、教育基本法違反よりも、まず、憲法違反という点で厳しく批判されるべきだと私は考えます。

「軍隊が必要だ」というのは、憲法第9条第2項(「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」)とは明らかに相容れない主張です。だからこそ、自民党政権はずっと「自衛隊は軍隊ではない」と言ってきたはずです。そして、憲法のずっと後ろのほう、第99条には、「国務大臣…その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあります。今回の小泉首相のような発言は総理大臣という職にある者には許されないものだということです。

まさか、首相としてではなく個人としての考えを述べたのだとは言わないでしょうから、靖国神社参拝などと違って、きわめて明確に違憲の認定ができるはずです。

首相がこんなことを言ってもいいと思ってしまうところまで世の中が来ているということなのでしょう。小泉首相は、憲法を変えたいという意図を持っている自分は憲法違反の行動をしても許されると勘違いしていると思います。そしてそれを支えている自称・現実主義者たちの責任も重大です。

言い古された正論だとは思いますが、黙っていたら声の大きい者に好きなようにされてしまうだけだと思い、書いておくことにしました。

2004年 2月 7日 午前 12:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.06

禁書リスト

The 100 Most Frequently Challenged Books of 1990-2000 ― アメリカ図書館協会がまとめた、もっとも禁書申し立ての多かった書籍のリスト。Maya Angelouの I Know Why the Caged Bird Sings や J. D. Salinger の The Catcher in the Rye などが並ぶ。

驚いたのは、私の大学院生時代の隣人が上位に載っていたことである。私の猫が彼女の老猫と喧嘩したといって、よく私たちも言い争ったっけ。その田舎町は自由な気風で知られる街で、彼女のように同性を愛する人も、私のような肌の色の違う外国人も、疎外感を味わうことなく、のびのびと暮すことができた。彼女のその本も「子どもに悪影響を与える」という意見は、そこではごくごく少数だったのである。もちろん、その街が決してアメリカの、ましてや世界の縮図ではないことは、私も含め、そこに住むだれもが知っていたのだけれど。

このページの冒頭に次の言葉が載っている。これを書いたJudy Blumeさんはリストで8番目に載っている本の著者らしい。

"It's not just the books under fire now that worry me. It is the books that will never be written. The books that will never be read. And all due to the fear of censorship. As always, young readers will be the real losers."

イラク派兵問題を精力的に取り上げている低気温のエクスタシーのはなゆーさんたちに支えられてきたDoXさんの童話『二本山の兄弟犬』を読む。この作品はこれから禁書や検閲を経験していくことになるのかもしれない。そして、その後ろには、多くの作品が恫喝や訳知り顔の嘲笑に阻まれて書かれぬまま終わるのかもしれない。

2004年 2月 6日 午前 01:00 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.05

Project Gutenberg サイトのデザインコンテスト

Stylesheet Stylebook'CSSを使ったリデザイン・コンテスト'より:

CSSを使ってサイトをリデザインしよう!というコンテストがいろいろなところで行われています。

最近発表されたばかりの“version 2: redesign contest for everyone”では、第1弾として「青空文庫」の元祖ともいえるプロジェクト・グーテンベルクのサイトリデザインコンテストが行われています。こちらは2004年2月29日が締め切りですが、version2ではこれからも毎月新しいコンテストの題材を提供していくとのことです。


もしProject Gutenbergのサイトに自分のデザインが選ばれたら、鬱病(自己診断)も瞬時に治ってしまいそう。こんな時、自分に芸術的なセンスがないことを嘆きます。

コンテストの詳細ページ(上記リンク)の

The Prizes
Some good ones to be announced soon...

が、ワタシ的には今週の踊る!ヒット賞。

2004年 2月 5日 午前 12:58 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.02.04

プッシュ政権による情報操作の記録

The Lie Factory ― ROBERT DREYFUSSさんとJASON VESTさんによる、いかにブッシュ政権が「イラクの脅威」をねつ造したかについての極めて緻密な検証。秀逸なジャーナリズムです。(出典はMotherJonesの1-2月号。)

ブッシュ政権内のいわゆる“ネオコン”による情報操作は、政権発足当初から始まったようです。

In the very first meeting of the Bush national-security team, one day after President Bush took the oath of office in January 2001, the issue of invading Iraq was raised, according to one of the participants in the meeting-and officials all the way down the line started to get the message, long before 9/11. Indeed, the Bush team at the Pentagon hadn't even been formally installed before Paul Wolfowitz, the deputy secretary of Defense, and Douglas J. Feith, undersecretary of Defense for policy, began putting together what would become the vanguard for regime change in Iraq.

これらの人たちが、諜報機関や軍の情報さえも曲げていった過程、そしてイラクでの大規模な戦闘の終結後、大量破壊兵器やアルカイダとのつながり(=テロの脅威)が全く実証されないためブッシュ政権がだんだんと窮地に立たされていくようすが、関係者のインタビュー等を通して明らかにされています。

viewzのEikiさんが昨日の私の記事につけてくださったコメントにも示唆があったように、ブッシュ政権は諜報機関を悪者にしてとかげのしっぽ切りをはかろうとしていくのでしょうが、本当の「悪の枢軸」は政権中枢部にあったということをこの記事は説得力をもって示していると思います。諜報機関や国務省については、以下のようなくだりがあります。

Led by Perle, the neocons seethed with contempt for the CIA. The CIA'S analysis, said Perle, "isn't worth the paper it's printed on." Standing in a crowded hallway during an AEI event, Perle added, "The CIA is status quo oriented. They don't want to take risks."
Two State Department intelligence officials, Greg Thielmann and Christian Westermann, have both charged that pressure was being put on them to shape intelligence to fit policy, in particular from Bolton's office. "The Al Qaeda connection and nuclear weapons issue were the only two ways that you could link Iraq to an imminent security threat to the U.S.," Thielmann told the New York Times. "And the administration was grossly distorting the intelligence on both things."

日本に住む私にとっては、プッシュ政権の「大量破壊兵器とテロの脅威」という標語をそのまま借り受けて強行された派兵がいったいどのような意図や目的を持っているのか、改めて考えさせられた記事でした。

2004年 2月 4日 午後 09:48 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.03

米英政府は昨年5月にWMDの不在を結論していた

US officials knew in May Iraq possessed no WMD ― 英ガーディアン紙の2月1日付け記事。昨年5月には既に大量破壊兵器の不在が明らかになっていたとのこと。

Intelligence sources, policy makers and weapons inspectors familiar with the details of the hunt for WMD told The Observer it was widely known that Iraq had no WMD within three weeks of Baghdad falling, despite the assertions of senior Bush administration figures and the Prime Minister, Tony Blair.

'We had enough evidence at the beginning of May to start asking, "where did we go wrong?",' [a very senior US intelligence official serving during the war against Iraq with an intimate knowledge of the search for Iraq's WMD] said last week. 'We had already made the judgment that something very wrong had happened [in May] and our confidence was shaken to its foundations.'


小泉首相はいつから知っていたのでしょうか。知っていたのだったら、国会答弁とかで嘘をついていたのだから、当然のことながら辞任ですよね。知らされていなかったのだったら、「日米同盟」の本質を完全に誤解していた人に首相が勤まるわけないですね。どっちにしろ許し難いです。誤報でしたという訂正を読みたいと願ってしまう記事です。

2004年 2月 3日 午後 06:36 | | コメント (1) | トラックバック (0)

ベトナムとイラクと

昨日書いたMillion Book Projectには、チョムスキーのベトナム戦争への痛烈な批判 ― Noam Chomsky, 1967, American Power And The New Mandarins ― が入っています。

その献辞には

To the brave young men who refuse to serve in a criminal war

とあります。

イラク占領はどう考えるべきなのでしょう。「自衛隊は米軍やオランダ軍のような占領軍ではないと考える」というサマワのイスラム指導者の見解(asahi.com)。これはとてもいいニュースですね。しかし、同時に友人からは「自衛隊はCJTF7(イラク占領軍)の指揮下に入る」という占領軍司令部の見解(「しんぶん赤旗」)を知らされ、暗然とした気持ちになりました。

2004年 2月 3日 午前 09:07 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.02.02

Million Book Project と DjVu 画像配信

http://www.archive.org/のテキスト関連アーカイブにあるMillion Book Project ― 文字おこしではなく、スキャンした画像の形で底本を電子化して蓄積しています。表示を信じるならば、現在、10,551点を所蔵。

画像配信形式の一つにDjVuが採用されています。DjVuは、書籍の版下やスキャン画像の電子配信に特化した画像圧縮形式で、TiffやGifなどに比べ、かなり小さいファイルサイズで、かなり大きく拡大してもボケの少ない画像が提供されるようです。これからの注目株ではないかと思います。

私は十二月に開かれた某見本市でhttp://www.zassi.net/という、日本で販売されている雑誌の電子配信デモを見て、興味を持っていました。そこで受けた説明では、版下のレイヤーごとに処理できる、検索可能な文字情報の埋め込みも可能である、ということでした。

Million Book Projecthttp://www.zassi.net/も、表示にはDjVuプラグインが必要です。(それぞれのページにリンクがあります。私はzassi.netのページからダウンロードした日本語版(?)プラグインを使っていますが、Million Book Projectの書籍も問題なく表示できました。

書籍の画像アーカイブとしては、日本では、青空文庫の活動にも参加している大阪大学の岡島昭浩さんが「うわづら文庫」で、PDF形式で明治以降の文学書籍の画像を多く公開していらっしゃいます。また、国会図書館の「近代デジタルライブラリー」が独自形式で書籍の画像を収納しています。DjVuなら、圧縮率や可搬性の点で、もっと使いやすくなるのではないかと思いますが、ファイル作成のためのソフトウェアが高価(LizardTech社日本支社の価格表を参照)であるのが残念なところです。こういう優れた技術の普及のためにも、産学連携やメセナなどの動きがもっとあるといいのですが。

2004年 2月 2日 午後 02:33 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.02.01

みんなで作る旅行ガイド

visited_countries.png

World66 ― 旅の情報を共有して旅行ガイドを作ろうという、話題のサイト。目的地の情報がPDAに入れて持ち歩ければ、とても便利そうです。自分の行ったことのある国を色分けした世界地図を作ってくれます。地図の投影法が決め打ちなのがちょっと残念ですが、「○○条約を批准した国」「一人当たりの年間所得が××以上の国」「国民の半数以上が△△教徒の国」とか、色分けしてみてもおもしろそう。

2004年 2月 1日 午後 10:17 | | コメント (0) | トラックバック (0)

歴史を見る目、汚す手

Recalling Pol Pot's Terror, but Forgetting His Backers ― 1979年、カンボジアのポルポト政権崩壊直後にカンボジアに入ったジャーナリストJohn Pilgerさんによる、映画評とコメント。取り上げられている映画は S21: The Khmer Rouge Killing Machine というドキュメンタリー(監督:Rithy Panh)。Pilgerさんは、ポルポト派の残虐行為とともに、クメール・ルージュを権力の座に押し上げたのが米軍の爆撃による大量虐殺であったことを忘れてはならないと説く。

Derek SeidmanさんのIraqi Democracy and Anti-Chomsky Tantrumsは、サダム・フセイン政権の罪を裁く時、アメリカ政府の共謀関係が不問に付されることへの懸念を表明している。引用されているイラクでの世論調査(1月20日発表、ギャラップ社)の結果も興味深い。

The number one reason Iraqis believe the US invaded Iraq was to "rob Iraq's oil." Only five percent believed that purpose of the war was "to assist Iraqi people", and only four percent believed it was "to destroy weapons of mass destruction." On the crucial question of democracy, an impressive one percent thought the war was fought with a "desire to establish democracy."

ことさらにアメリカとの同盟関係の重要性を強調する小泉の旭川でのスピーチがより一層空しく聞こえる。

2004年 2月 1日 午後 07:55 | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年1月 | トップページ | 2004年3月 »