2008.05.18

ナポリでロマ居住区の焼き討ち

イタリアでは今月、保守派のベルルスコーニが首相に返り咲いた。それは国会内の勢力分布の問題だけでなく、市民の間に不寛容が広まりつつあることの帰結であるようだ。

Gypsy shanty towns burn in Naples as Italian police swoop on illegal immigrants - 新政権のもと、先週、全国一斉で不法移民の検挙が行なわれたが、ナポリでは、混乱に乗じて、14日、ロマ(ジプシー)の人々の暮らす Ponticelli というスラム街に火炎瓶が投げ込まれて大火災となり、一帯が焼け落ちた。放火や消火活動の妨害は、マフィアが指示を下したものとも言われている。

イタリアには「ロマやルーマニアなどからの移民には犯罪者が多い」という外国人に対する偏見が蔓延しているらしい。今回の焼き討ちも、ロマの少女が乳児を誘拐しようとしたという“事件”が発端となった。人権団体 EveryOne Group は、誘拐未遂がでっちあげであると結論づけている

イタリアからの強制送還とは少し異なり、フランスではロマの「自主的帰還」事業が進められている。しかし、ルーマニアに帰っても、彼らを待ち受けているのは失業や差別である(Home to Roma, And No Place for Them)。

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2008年 5月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.17

牛の幸せ

牛にはウォーターベッドがよいのだそうだ。乳牛をウォーターベッドで寝られるようにしてあげると、牛乳の生産量が6%から10%ぐらい増えるらしい。幸せな労働者は生産的な労働者である。

Dairy farmers pamper cows to boost milk output というAP電によれば、ヨーロッパやアメリカでは、ウォーターベッド付きの牛舎というのは、かなり当たり前の光景になってきているようだ。寝心地がいいだけでなく、夏は冷水を、冬は温水を入れることによって、温度の面でも、より快適な環境を作ってあげることができる。

記事で紹介されているアイオワ州の酪農家は、牛たちをもっと快適にしてやろうと、牛舎に液晶テレビを設置したという。昼のトークショーとかを見せているらしい。今ひとつ、牛たちの興味をひくとは思えないが。「サウンド・オブ・ミュージック」や「アルプスの少女ハイジ」とかを見せたほうがいいんじゃないだろうか。でも、同じものを繰り返し見せられたら、牛たちも飽きるか。

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2008年 5月 17日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.16

ウクライナのジェノサイド

1932年から33年にかけて、ウクライナでは Holodomor と呼ばれる大飢饉が発生した。300万とも1千万とも言われる人たちが亡くなった。飢饉は、集団農場政策を強硬に推し進めるスターリンがあまりにも多くの穀類をウクライナから移送してしまったために起こったと考えられている。独立を志向するウクライナを罰するために、あえて多くの人を餓死させたのではないかとも考えられ、Holodomor をジェノサイドだと考えるのが主流になってきているらしい。どこでも同じことなのかもしれないが、ここにも否定論者がいるそうだ。多くのロシア人は、これがジェノサイドだったという歴史観には否定的らしい。

Canada set to recognize 1930s Ukrainian famine as genocide - カナダでは、今月下旬にウクライナの首相が訪れるのを前に、国会でホロドモールをジェノサイドだと認定する決議をするようだ。

記事の終わりには、最近、カナダの首相が20世紀初頭の中国からの移民に対する不当な取り扱いについて謝罪を行なったことや、1914年に起こったインド人に対する入国拒否事件に関しても近日中に謝罪をする見込みであることを伝えている。

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2008年 5月 16日 午前 12:45 | | コメント (2) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.15

豪が難民政策を転換

The Australian 紙 "Refugee intake raised to 13,500" およびAP電 "Australia's new refugee policy wins praise from UN, human rights groups"。オーストラリア政府が難民受け入れ枠を拡大するとともに、難民の永住ビザ取得を容易にする政策を発表した。

難民の年間受け入れ枠は13,500となる。イラクからの難民には500の枠が確保されている。保守党のハワード政権の難民政策では、あらかじめ難民申請をしないで入国した場合は、3年間の仮ビザを与えてきた。労働党ラッド政権は、これを変更し、入国後に難民申請をした場合も永住ビザを発行することにしたらしい。

オーストラリアでは、政権が交代したことによって、確実に人権への配慮が強まり、寛容な社会への歩みが始まったようだ。日本でも、もうすぐ政権が代わると思うが、こういう変化があるのだろうか。期待するとともに、なんとなくあまり変化がないのではないかという不安がある。まあ、やってみなくては、分からない。

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2008年 5月 15日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.14

差別を乗り越えてきた国

南アフリカでは最近、国外から来ている労働者などが職を奪ったり治安を悪化させているとして外国人に暴力をふるう事件が多発しているらしい。火曜日、ネルソン・マンデラ(今年の7月で90歳になるそうです)が Tshwane 市から自由賞を贈られた際、スピーチの中でこの問題を取り上げたことをヨハネスブルグの Soweto タウンシップの新聞 Sowetan が "Have some humanity - Madiba" という記事で伝えている。

「私たちがどんなに怖ろしい状態からここまで来たかを思い出してください。分裂を乗り越え、今ある姿にまで引き上げることができた国の功績を忘れてはなりません。どんな問題に関しても、またあの破壊的な分断状態にまで身を落とすようなことはやめようではありませんか。ンコシ・シケレリ・アフリカ(主よアフリカを祝福し給え)。」

こういう文脈で言及できる国歌って、素敵ですね。あと、これって以前に書いたかもしれないのですが、南アフリカで店にいる時、ラジオから Nkosi Sikelel' iAfrika が流れてきました。白人の店員さんがそれに合わせて口ずさんでいたので、白人としてこの歌に疎外感は持たないのだろうかと思い、「この曲、好きですか」と聞いたら、「ほんとうにいい曲です」と答えました。うらやましいなあ、と思いました。

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2008年 5月 14日 午前 12:14 | | コメント (2) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.13

石の呪い

オーストラリア中部にある巨大な一枚岩ウルル(Uluru)。以前は植民者の言語で Ayers Rock と呼ばれていた。この先住民の聖地から密かに小石などを持ち帰る人が後を絶たない。ウルルを管理する国立公園事務所には、毎日必ず一通は「申し訳ありませんでした」という手紙を添えて、おみやげに持ち帰られた石が郵送されてくる。たいがいはポケットに入るような小さな石だが、オーストラリア国内からは32キロの、海外からは9キロの岩が送り返されてきたこともある。

ウルルUluru tourists return 'cursed' souvenirs - 先住民の聖地を荒らしたことを恥じて送り返してくる人も多いが、だいたい4人に1人は手紙の中で、その石を持ち帰ってから本人や家族に不幸が見舞ったことを述べている。不幸をもたらす「呪いの石」だと考えているようだ。呪いを本気で信じているわけではないにせよ、「気味が悪いので」という人も多いのだろう、というのが手紙に目を通している人の説明だ。

宗教的な情操と、植民地支配やその後の人種差別という現世的な罪の意識とが、不連続ではないようすが看取できる。

写真は Dennis Kruyt さんが CC-by-nc-sa で公開しているもの

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2008年 5月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.12

国連人権理事会の資料

Gazing at the Celestial Blue ブログの碧猫さんが「国連人権理事会の日本に対する普遍的定期検査に関する報道、いろいろ」という記事を書いています。死刑制度が存続している問題や慰安婦問題などについて、さまざまな国から意見が寄せられたようです。

碧猫さんが指摘しているように新聞各紙の記事は短めで断片的なので、もう少し情報を探してみました。実は見つけただけで、まだ紐解いていません。

まとめ文書を見る限り、日本代表の報告に対し、人種差別や排他的な風潮に関して更に情報がほしいという意見が出たり、女性の人身売買について更なる取り組みを求める声があがったり、入国管理施設への国際機関の査察、代理監獄制度の見直しをはじめとしてさまざまな勧告案が提起されたようです。順番に審査の対象となるどの国にも多くの意見や提案が出されるようなので、そういう文脈の中でとらえるべきものですが、多様な視点から出された意見は私たちが考えていく上でも有益なヒントになるだろうと思います。

日本に関する報告書は14日に日本の受け持ち国であるフランス、インドネシア、ジブチの3国から提案され、議決されます。

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2008年 5月 12日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (1) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.11

チョコレートの詰め合わせ

「彼は幼いころ、あるヒット映画の主人公の少年時代を演じた。大人になって、彼は、ある意味、その主人公の人生をなぞるように生きてきた。兵隊になり、不人気な戦争に行ったのだ」といった感じで始まる記事を読んだ。"Child 'Forrest Gump' actor leaving Army" というAP電だ。

映画「フォレスト・ガンプ」で子役を勤めた男性は、「国のために働きたい」と考えて大学の途中で陸軍に入り、一年間をイラクのアンバー県で過ごした。今、彼はカンザス州の基地に戻り、来月初めの退役を待っている。イラクについては、「いい経験だった。ひどいことをたくさん見た。たくさんの人が傷ついた。とにかく暴力的だった。私たちが何かいいことができていればいいのだけれど」と語っている。

彼がフォレスト・ガンプの生涯をなぞっているのではなく、アメリカが同じような過ちを繰り返しているだけなのだと考えるほうが正しいと思う。残念ながら、不正義な戦争はまだ続くだろう。彼にも、偶然、反戦集会で話をする機会が巡ってくるかもしれない。

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2008年 5月 11日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.10

隔てる壁

チェコ中部のハブリチュクフ・ブロト(Havlíčkův Brod)という小さな町で、市営住宅の敷地の中のロマ(ジプシー)の人たちとそれ以外のチェコ人たちの住んでいる部分の境にコンクリの塀を作るという話を読んだ(Fence cutting off Roma people gets building permit)。町がこのほど建築許可を出し、費用の半分を負担する決定をしたが、塀を作れと言い出していた住民たち(ロマではない人たち)が費用の残りの半分を負担しようとせず、計画が宙ぶらりんになっているとのこと。

ロマではない人たちは、ロマの人たちが大きな音を出したり、建物や車に傷を付けたり、花壇を荒らしたりすると言う。ロマの団体の活動家は、壁を作るのは何の解決にもならず、就職口を斡旋したり、子どもたちの遊ぶ場所を作るほうがずっと効果的だと語る。

チェコでは、1999年に別の町で同様な壁が作られたが、ヨーロッパ議会を巻き込んだ議論になり、翌年、撤去されたと記事は伝えている。

日本でも、外国人労働者などが増えるにつれて、こういう話が出てくるのかなと思う。そんな時、チェコで壁が問題の解決になったのかどうかを検証するといいと思い、ここに書き留めておく。

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2008年 5月 10日 午前 12:11 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク

2008.05.09

死にゆく猿

Orangutan may be extinct in 3 years - インドネシアのジャカルタ・ポスト紙の記事。カリマンタン島(ボルネオ島)の中部に住んでいるオランウータンが、あと2、3年のうちにも絶滅してしまう危険性があると報じている。

カリマンタン島地図 カリマンタン島中部には約31,300頭のオランウータンが棲息していると考えられてきたが、保護運動家によると、実勢は2万頭程度であると思われる。森林を伐採してヤシ畑がどんどん作られており、オランウータンたちは住み処を奪われている。私にはヤシ油なんてあまり身近に感じられないのだが、かなり急速に開墾が進んでいるらしく、2006年だけで1,600頭のオランウータンが犠牲になったそうだ。

絶滅が危惧されると言えば、パンダなんか千数百頭しか残っていないというのに、東京に連れてきていいのだろうか。かわいいし、友好の証しを示してくれることはとてもうれしいことなのだけど。

消えかかっている動物たちが動物園で簡単に見られることは、私たちに誤った安心感を与えないだろうか。無邪気に動物たちに手を振る子どもたちに、「あなたがおとなになるころには、パンダもオランウータンも、いなくなっちゃっているかもしれないんだよ」って、私たちはうまく伝えられるだろうか。

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2008年 5月 9日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク