2009.11.21

労働組合と多国籍企業

Transatlantic labor union highlights globalization pressures - 資本がグローバル化し、企業の海外進出が進むのにつれ、労働組合運動の国際協力も見られるようになってきた例。ドイツの通信企業 Deutsche Telekom は、ドイツ国内では労働法が組合を重視するため、通信業界の組合 Verdi に友好的な立場を取ってきたが、経営者寄りの労働法を持つアメリカに展開した子会社 T-Mobile では、長年にわたって CWA (=Communication Workers of America)による組合設立の動きを阻んできた。このほど、CWA がドイツ本社と交渉を行なうにあたって、CWA と Verdi が合同で TUnion という組合を発足させた。

T-Mobile 社では、社員が反組合の説明会に出席を強要されたり、上役が一人ひとり社員を呼んで取調べを行なうなど、かなり露骨な組合潰しがされてきたらしい。記者会見の席では、社員の一人が、つけヒゲ、サングラス、野球帽姿で会社内の様子を暴露した。声で人物が特定されないよう、マイクに口を近づけて、囁き声でインタビューに応じたという。

多国籍企業の場合、労働法的な規制はそれぞれの国の法律によるわけだが、ヨーロッパでは、各国間の法制の差異を自主的に埋めるよう企業に合意をとらせる動きが少しずつ進みつつあると記事は指摘している。金属産業、エネルギー産業で特にそれが進んでいるらしい。通信産業でもスペインの Telefonica 社がそのような合意文書を組合と取り交わしているとのこと。

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2009年 11月 21日 午前 01:20 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.20

南アフリカの統計に涙する

SA life expectancy decreases - 南アフリカの人口動態調査の結果。遠い国のことではあるが、読んでいて、胸が痛くなる。

  • 1990年には62歳であった平均寿命が2007年には50歳にまで低下した。
  • 2001年から2006年の間の期間、女性の平均寿命は55歳、男性は51歳だった。これは、2006年から2011年までの期間には、それぞれ51歳、48歳に低下すると予測されている。
  • 平均寿命が最も短かったのはクワズールー・ナタル州の43歳。同州の HIV 感染率は16%。
  • HIV/Aids による死は、2001年には死者の3分の1だったが、2008年には死者の半分に増加した。同時期に、感染率は9%から12%に増加した。
  • 2001年から2006年までの期間には、女性千人あたりの出生率は2.7だった。2008年から2011年までの期間には、これが2.4に低下すると予測されている。
  • 2001/2年から2007/8年にかけて、人口増加率は43%低下した。
  • 2007年には、250万人の子どもが少なくとも片方の親を亡くした。このうち、HIV/Aids によるものは半数以上。
  • 2015年には、子どもの3分の1が少なくとも片方の親を HIV/Aids で亡くすことになると予測されている。
  • 子どもだけの世帯は、2002年には11万8千世帯だったが、2008年には14万8千世帯となった。

あんなに美しい国なのに。あんなに優しい人たちのいる国なのに。

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2009年 11月 20日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.19

著作権をめぐる鳩山首相の残念な発言

鳩山総理大臣が18日、日本音楽著作権協会(JASRAC)創立70周年のパーティーに出席し、著作権の保護期間を70年に延ばすことに「最大限の努力をする」と語ったそうです(INTERNET Watch の記事)。

私は鳩山首相のこの発言に深く落胆します。これじゃ自民党と変わらないじゃないですか。大企業のいいなりじゃないですか。まるで資産の世襲相続を守ろうとしているだけみたいじゃないですか。「欧米並み」なんて単なる外圧じゃないですか。個人の産み出したものを公共の財にしていくことによって世の中は成り立っているのに、そして時代の流れはどんどん速くなっているのに、「死後50年」をさらに延ばすなんて、文化を停滞させるだけじゃないですか。

今年7月に施行された著作権法改正に保護期間延長が盛り込まれなかったため、ちょっと気を抜いていたのですが、また気合いを入れていこうと思います。継続的な取り組みが必要とされているのですね。

著作権の保護期間延長に反対します

バナーを貼れば気合いを入れたことになるわけでもありませんが(笑)。青空文庫の署名活動は既に終了しているので、どこかに新たな展開に向けて適切なリンク先が作られるまで、バナーにリンクは張らずにおこうと思います。よいリンク先をご存知のかた、コメントやトラックバックでお教えいただければ幸いです。

それにしても、民主党も自民党も延長賛成となると、頼りになるのは社民党、そして確かな野党? それともやっぱり海賊党の旗揚げしかない?

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2009年 11月 19日 午前 12:00 | | コメント (3) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.18

人々を結びつける貧困

A Racial Divide Is Bridged by Recession - 不況によって、白人と黒人の間の壁が薄くなりつつあるというニューヨーク・タイムズの記事。ジョージア州アトランタ近郊のヘンリー郡からの報告。ヘンリー郡は、かつてはほぼ白人だけが住んでいる地域だったが、1990年代になって、アフリカ系アメリカ人が多く移り住んできて、現在では白人比率は6割程度になっている。住民構成の変容に伴って、さまざまな対立も生まれていたが、昨年来の不況は黒人にも白人にも襲いかかり、その結果、職業安定所や食料配給所で両者が顔を合わせる機会も多くなり、互いに打ち解け、思いやりを持つようになってきた、という話。

必ずしも典型的な話というわけではないらしい。例えば、ヘンリー郡に住む白人と黒人の間の所得差は全国平均よりもかなり少ない。白人世帯が69,728ドル(約622万円)、黒人世帯が56,716ドル(約506万円)で差は13,012ドル(約116万円)。全国的には差は2万ドル(約179万円)。また、ヘンリー郡では黒人住民のほうが平均学歴が高い。

生活保護を受けに来た白人に対して、自分の経験からいろいろと助言をしていた黒人女性の言葉に考えさせられる。「私たちは貧しさに慣れているけど、あの人たちは弱いから」「でも、あの人たちのほうが同情を得るのよね。」

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2009年 11月 18日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.17

十億人の飢餓

ローマで「食料サミット」が始まった(毎日新聞)。正式名称は食糧の安全保障サミット(World Summit on Food Security)。多くの国ではもっと端的に「飢餓サミット」と呼んでいるようだ。

サミット開催を前に、この週末、サミットを主催する国連食糧農業機関(FAO)の Jacques Diouf 事務局長が24時間のハンストを行なった: FAO Head starts hunger strike。10億人が恒常的に飢餓を患っている現状、6秒に1人、子どもが餓死していく現状に世界の注意を向けさせるためだ。世界の人々にもハンストへの参加を呼びかけたようだが、私が知ったのは残念ながら終わってからだった(日本では読売新聞が木曜日に報じていたようだ)。

FAO はウェブ署名も呼びかけている: 1billionhungry。こちらはまだ間に合う。

1billionhungry

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2009年 11月 17日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (1) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.16

アメリカ医師会が大麻の合法化に転じる

In Historic Shift, the American Medical Association Sees Value in Marijuana - 先週の火曜日、アメリカ最大の医学専門家団体であるアメリカ医師会(AMA = American Medical Association)が、これまで続けてきた医療用マリファナ合法化阻止の方針を転換した。

今まで、AMA は、大麻には医療に効果のある特性はないとして、アメリカ政府が規制薬物法(Controlled Substance Act)の別表I(Schedule I)にマリファナを含めることを支持してきた。今回、AMA の代議員総会は、科学と公衆衛生評議会(CSAPH)の答申を採択し、連邦政府に対して、別表Iから大麻を削除すべきかどうか、科学的な調査を行なうことを求めている。ただし、諸州で進められている医療用マリファナ合法化の動きに関しては慎重な姿勢を継続している。

今回の方針見直しは AMA の学生部会の発議で始まったものらしい。

保守的な AMA も合法化を容認する姿勢に転じたことによって、アメリカにおける大麻の医療用途での合法化は、まだ数年かかるにせよ、ほぼ既定路線になったのだと思う。議会の勢力分布をよく知らないので単なる想像になるが、医療用の合法化がそれ以外の用途での規制継続と抱き合わせで行なわれたりするのかもしれない。

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2009年 11月 16日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.15

アルゼンチンで同性婚が認められた

Buenos Aires okays gay marriage in Latin America first - アルゼンチンで、男性同士であることを理由に結婚が許可されないことに異議申し立ての裁判を起こした二人に対して、13日、結婚を認める判決が出た。同性婚が合法とされたのは、カトリック教会が強い南米ではこれがはじめて。

ブエノス・アイレスのプライドマーチAlejandro Freyre さんと Jose Maria Di Bello さんの訴えについて、ブエノス・アイレス地裁の Gabriela Seijas 判事は、法律はだれもをそれぞれの事情に照らして同じ敬意をもって扱わなければならないと述べ、男性と女性の間でのみ婚姻が成立すると定める民法の規定を違憲とした。敗訴したブエノス・アイレス市の Mauricio Macri 市長は保守派であるが、市が控訴しない方針であることを明らかにしているので、この違憲判決はこれで確定する見込み。市長は「世界はこの方向に向かっているのだ」と語った。

記事によれば、アルゼンチンではブエノス・アイレスのほか、北部の Villa Carlos Paz 州と南部の Rio Negro 州で同性間の民事婚(civil union)が認められている。ラテン・アメリカでは、このほか、ウルグアイ全国、メキシコのメキシコ市と Coahuila 州、ブラジルの Rio Grande do Sul 州で民事婚が認められている。コロンビアでも、同性カップルの法的権利がある程度認められている。

画期的な判決を出した判事を讃えるとともに、結婚を勝ち取った二人を祝福したい。

ブエノス・アイレスのプライドマーチの写真は blmurch さんが CC-by で公開しているもの。「みんなが違った形で同じだ」とある。

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2009年 11月 15日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.14

ドイツ、オーストリアの大学でストライキ

German students protest university reforms - ドイツ全国の大学で、水曜日から学生たちによる抗議行動が始まった。ヨーロッパ諸国の高等教育を規格化するボローニャ・プロセスに大学を準拠させるため、ドイツでは来年度までにさまざまな大学改革が行なわれることになっていて、学生たちはそれに反対している。現在よりも学業の負担が増えること、学士号の価値が低下することへの心配が背景にあるようだ。

かつてはドイツの大学教育は無償であったが、2005年度から学費の徴収が行なわれるようになったらしい。現在では、一学期あたり100ユーロ(約1万3千円)ないし150ユーロ(約2万円)の負担となっている。学生たちはそれにも抗議している。

木曜日には、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘンなど20の都市でキャンパスの占拠が行なわれた。テュービンゲンでは立てこもっていた200人ほどの学生が警察に排除された。

隣国オーストリアでも、3週間前から同様に大学でのストが行なわれているらしい。

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2009年 11月 14日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.13

観光地としてのイラク

Is Iraq the next holiday hotspot? - ロンドンで開かれている観光業界の大会 World Travel Market 2009 にイラクの代表が10年ぶりに参加しているという記事。団長の Hammoud al-Yaqoubi さんは、「観光がイラクを再生させる」と、大きな期待を語っている。

治安が安定してきたとはいえ、普通の人がたくさんイラクを訪れるようになるのには、まだ長い年月が必要だろうと記事を書いている。しかし既に「冒険好き」な人のためのツアーが実施されているそうだ。イギリスの Hinterland Travel という旅行社が企画しているらしい。9日間で1,600ポンド(約23万8千円)。ただし、現在のイラクでは旅行者保険はかけられない。

イラクの見どころは、Ur、Babylon の古代都市、エデンの園があったと言われる Basra 近郊(クルーズも楽しめる)、Samarra の al-Askari モスク、等々。Baghdad も歴史的建造物などが目白押しだ。さらには、サダム・フセイン独裁時代の宮殿や、いずれは今も続く戦争の傷跡も観光地となるであろう。

記事には、イラン・イラク戦争が始まるまでは、イラクは日本人にも人気だったと書かれている。うーむ、もう少し早く生まれていれば…

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2009年 11月 13日 午前 12:00 | | コメント (0) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!

2009.11.12

行く川の流れは絶えずして

モルジブやツバルなどの島嶼国家が温暖化による海面の上昇で危機に瀕していることは、近年、よく耳にする。それだけでなく、内陸国でも気候変動で国土が狭くなったところがあるという話を読んだ。

River's change of course alters Uganda-DRC border - ウガンダとコンゴ民主共和国の国境の一部はセムリキ(Semliki)川だ。植民地時代に宗主国が決めた大雑把な境界線を今でもそのまま使っている。ところが、1960年に撮影された衛星写真と現在の地形を比較すると、川の流れが大きく変わってしまったことが分かる。下流では川はウガンダ領内に大きく食い込み、反対に上流のアルバート湖近くではセムリキ川はコンゴ側に移動している。一つの国の村だったところが、今ではもう一つの国の中に入ってしまったりしている。

自然な川なら、どこでもそんなものだろうという気もするが、記事が指摘するのは気候変動の影響だ。セムリキ川の源流であるルウェンゾリ(Rwenzori)山脈の雪と氷は、100年前に比べて激減した。特に1987年以降の減少が甚だしい。その雪解け水がセムリキ川の水量を増やし、川幅を広げるとともに、浸食を促し、流れの形を大きく変える力になっているというのだ。

セムリキ川流域には石油があるという調査もあり、川が形を変えたというのが、のどかな話では終わらなくなる怖れも十分にあると記事は指摘している。

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2009年 11月 12日 午前 12:00 | | コメント (2) | トラックバック (0) このエントリーを含むはてなブックマーク Tweet this!